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JUMP COMICS もみじ 紅葉の棋節 全2巻 |
[総合評価] C- (1巻時点) ↓ D (2巻完結まで) 絵:B ストーリー:B 構成:B キャラ:B |
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【著 者】 里庄真芳 三枚堂達也/監修 | ||||
【出版社】 集英社 | ||||
発行:2018年9月〜2018年11月 | ISBN: | |||
定価:475円(8%税込) | 192ページ/18cm |
【本の内容】 |
〔第1巻〕 (1)桜散り紅葉舞う (2)その手は (3)染井吉野 (4)対 (5)決意 (6)門前 (7)雪柳 ◆内容紹介 〔第1巻〕 あらゆる人を魅了する攻め将棋で天才棋士と謳われた蔵道桜が亡くなって2年──。亡き兄の代わりに夢を叶えようとプロ棋士を目指す蔵道紅葉だったが、周囲からは才能を枯らした“落ち葉”と言われていた。そんな紅葉のもとに突然、女性初のプロ棋士・市原銀杏がやってきて…!? 〔第2巻〕 ついに奨励会員としての一歩を踏み出した紅葉。だが例会初日、赤江竜王門下のホープ・雪柳と対局することになった紅葉は、“鬼の住み処”と呼ばれる奨励会の猛者達の実力を知ることになる。さらには、世代最強と言われるライバルも現れ…!? 若き棋士たちが盤上で魂燃やす青春将棋譚、完結! |
【レビュー】 |
奨励会モノの将棋マンガ。『モミジの棋節』(2017.12)をリメイクしたもの。 〔あらすじ〕 蔵道紅葉は13歳、中学2年生の男子。竜王奪取直前で夭折した天才棋士の兄・桜の背中を追って将棋を指しているが、実力は今一つ伸びない。あるとき、ひょんなことから女性プロ棋士・市原銀杏の弟子になった紅葉は、奨励会に入会して竜王を目指す。 〔主な登場人物〕 [蔵道紅葉(くらみち・もみじ)] 13歳、中2。ボサボサメガネ。スタート時で、中学生全国大会ベスト16。天才棋士だった兄の背中を追って将棋を指している。努力はしているものの、結果を出せていない。悔しいと自傷・他傷(頭突き)の傾向がある。 ⇒前作『モミジ〜』より実績ダウン。 [佐倉銀杏(さくら・いちょう)] 16歳、JK。ツリ目。史上初の女性プロ棋士で、六段。現在はタイトルに挑戦中。紅葉をムリヤリ弟子にして、1ヶ月で奨励会に合格する力を付けさせようとする。 ⇒年齢変更、容姿変更。段位アップ、姐御度アップ、可愛さダウン。性格の「突っ走り」がなくなり、「自由人」が付いた。 [蔵道桜(くらみち・さくら)] 紅葉の兄。超ボサボサ。顔は不詳。天才棋士と称され、攻め将棋。持病のため、竜王戦第7局の対局中に倒れ、死去。 ⇒ほぼ変更なし。 [綿貫櫟(わたぬき・くぬぎ)] 紅葉の同学年。毎年もみじに勝っている。全国ベスト8。オールラウンダー。 ⇒前作の管谷が、綿貫と染井に分割された。 [館虎千鳥(たちとら・ちどり)] 紅葉と同期の奨励会受験者。中学ベスト4、準優勝など、紅葉より実績は上。広島弁で態度が悪いが、桜にあこがれており、実はいい奴? [染井吉野(そめい・よしの)] 中学生全国大会で優勝。身体が弱く、初登場時にいきなり嘔吐。美少年だが、ややキモくてやたらエモい。だいたい汗だく。銀杏の弟子の座をかけて紅葉と対局する。 〔寸評〕 ・前作『モミジの棋節』をリメイクし、「週刊少年ジャンプ」で週刊連載したもの。 ・プロットは、前作『モミジ〜』とほぼ同じ。 ・キャラ、絵、構成は週刊連載用に全面的に描き直し。 ・紅葉の「蹴り」が「頭突き」に変更。 ・銀杏が紅葉をムリヤリ弟子にするための脅しネタが、「スカートめくり」から「私の裸見たクセに」に変更。(どちらも偶然によるもの) ・銀杏とモミジの特訓場所が、公園から蔵道家の屋根裏部屋に変更。 ・四枚落ち特訓はほぼ同じ。 ・「兄の攻めを受け続けて、弟は受けの天才に」もほぼ同じ。 ・銀杏のキャラ的魅力が落ちた…個人の感想ですが。なんで眼を白くした?(カラコン?) ・画力はあまり変わっていないが、絵のブレが若干拡大したような…週刊連載のせい? 雑な箇所もやや増えた。 ・キャラも、魅力を作り込むどころか、少しずつ劣化しているように思います。 ・大会や奨励会の対局シーンが、まるで中学の教室で行われる将棋のよう。私語も立て膝もアウトでしょう。 ・銀杏の観戦態度はちょっぴりマシになりました。 ・変な将棋用語はなくなりました。 ・対局中の会話はやっぱりモノローグにすべき。 〔総評〕 前作『モミジの棋節』のレビューで、私は「伸びしろのあるCだと思います」と書きましたが… 前作の方がまだ良かった…(´・ω・`) 設定などはそんなに悪くないので、もっと丁寧に作れなかったものかと。思春期ならではの心の乱れや弱さとか、それを乗り越えていく様などを描けなかったものかと。 あとがきに、「2話目・3話目のネームが前作ベースから大幅修正」になった旨が書かれていましたが、ジャンプ編集部はこれで良いと思いました?修正させた結果が、下痢と嘔吐ですか? モミジの葉が舞い上がるシーン、染井吉野が扇子をバッと開いて紅葉に挑戦状を叩き付けるシーン、真剣で討ち合う比喩のシーンなど、部分的には良いところもありました。紅葉のツッコミもそんなに嫌いじゃないです。 週刊連載はまだ早過ぎたんだと思います。もっと作家さんの力が付いてからの作品か、隔週や月イチでじっくり描かれた作品を見てみたかったです。残念です。(2018Oct14) 〔2巻(完結巻)を読んで追記〕 浮揚しなかったですね…。1巻ではいくつか良かったシーンがあったわけですが、2巻ではそれもありませんでした。新キャラの女の子も特にどうということもなく。将棋シーンも局面もパッとせず。 「定跡」が「定石」と書かれている時点で、「ああ、作者さんも編集者さんも、将棋への愛も知識もないんだな…」と萎えました。(しかも欄外に用語解説までされているので、単なる誤字ではないです。「指す」「打つ」と「定跡」「定石」は、入門書の一冊も読んだ将棋ファンなら絶対に間違えないヤツですから) 作者さんの「○○したかったけどさまざまな都合でできなかった」的な言い訳がたくさん書いてありましたが、普通に質が足りてません。ガッカリでした。(2018Nov05) |