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プロを攻略する 巨泉流飛車落定跡 |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:B 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段者向き |
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【著 者】 大橋巨泉 【監 修】 大内延介 | ||||
【出版社】 講談社 | ||||
発行:1977年9月 | 0076-480093-2253 | |||
定価:850円 | 188ページ/20cm/H.C. |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
◆内容紹介(序論・本文より抜粋) |
【レビュー】 |
飛車落ちの定跡&個人実戦集。著者はTV番組「クイズダービー」などでおなじみの大橋巨泉。 飛落ちでもっともメジャーな定跡は右四間である。かなり完成度の高い定跡であるが、細かい変化が多くマスターするのは大変。また、攻め始めたら一気に攻め切る必要があり、少しでも間違えると反撃されてしまうという、線の細さがある。 そこで、「もっと下手が勝ちやすく、力を出せる指し方はないか」と多くの人が試みた。文人でいえば、山口瞳やつのだじろうなど。この“巨泉流”もその中の一つである。 右図が巨泉流の理想形で、ポイントは以下のようになる。 (1)序盤は右四間に構える。 (2)▲4八飛に△3三桂以外ならただちに▲4五歩と仕掛ける。 (3)△3三桂なら、▲6六歩〜▲6五歩と位を取り、さらに▲7八銀〜▲6七銀上と位を補強する。 (4)△1四歩には▲3八金と上がる。また△1三角には▲4七金と上がる。 (5)▲7八飛と振り直し、石田流に構える。 (6)囲いは▲2八玉-▲3八金-▲4八金型が基本。 (7)玉頭の位は取らせる。 (8)△5三銀-△3一角型を見てから▲9七角と上がる。ただし△4五歩のないときは上がってよい。 (9)端は1筋は受けない。9筋は受ける。 (10)態勢が整ったら、▲7五銀〜▲6六飛から総攻撃開始。 ずいぶん覚えることが多いように見えるが、実際には下手の指し方にさほど紛れはない。本書の実戦譜を並べれば、比較的簡単にマスターできる。“玉は堅く、攻めは厚く”が基本。二枚落ちの二歩突っ切りと似た攻撃型であり、飛角の打ち込みにも強い。唯一、玉頭からの継ぎ歩攻めがあるが、それだけ。上手の一番堅いところを攻める右四間定跡との違いは明らかだ。 本文の解説は、前半が定跡。42pと多くはないが、ツボはしっかり押さえられており、十分役立つレベル。後半は自戦解説で、大内延介八段(当時)や東公平氏のコメント入り。山口瞳と違い、あまり盤外の余計なことは書かず、その将棋のことについてのみ真摯に語っている。洒脱さはないが、個人的に好感度は高い。惜しいのは量が少ないこと。大内プロとは百番以上指したとのことなので、それらの棋譜もピックアップしてくれたらAだったのだが…。 著者が語るとおり、「この戦法は何かを学ぶためのものではなく、プロに勝つための戦法なのである」(14p)。二枚落ちでいえば銀多伝に相当する戦法といえよう。この辺は好みや棋風の問題であって、どちらが良い悪いということはない。わたしは二枚落ちは銀多伝で通したので、飛落ちはしばらく巨泉流でやってみようと思う。(2005May18) |