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第三十五期将棋名人戦 全記録 ──中原名人五連覇で永世名人に── |
[総合評価] B 難易度:★★★ 図面:見開き1〜2枚 (写真挿入あり) 内容:(質)A(量)C レイアウト:C 解説:A 中級以上向き |
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【編 者】 朝日新聞東京本社学芸部 | ||||
【出版社】 朝日ソノラマ | ||||
発行:1976年9月 | 0076-003053-0049 | |||
定価:1,200円 | 190ページ/22cm/H.C. |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【名人】中原誠 (防衛) 【挑戦者】米長邦雄
・【全局解説】「見ておもしろい名人戦だった」(升田幸三)=18p |
【レビュー】 |
名人戦の観戦記。 永世名人がかかっている中原に挑むのは、飛ぶ鳥を落とす勢いの米長。このころの米長は角頭歩戦法を繰り出すなど、乗りに乗っていた。 七番勝負は全局矢倉だったが、第6,7局が分類不能の矢倉になるなど、面白い将棋が続いた。中でも大きな話題になったのは第2局と第4局で現れた右図の局面。相総矢倉4手角で▲4五歩△6五歩と仕掛けたこの局面は、互いに歩を取り込むと不利になるので、千日手になるのが定説だった。 ここで出たのが、米長が温めていた▲6八銀左の米長新手。△6六歩と取り込ませることで局面を打開しようというのだ。結果は1勝1敗だったが、2局とも先手がやや指せるようだった。もっとも、一流棋士でも意見の分かれるところだが… 全体的に挑戦者の方が押していたのだが、「七番を通じて、良くなった将棋を勝ちに行くのが早すぎた」(米長)。米長の自信が勝ちを焦らせたのか、しからば中原のオーラが米長を急がせたのか。名局はなかったが、名勝負だったと思う。将棋も面白かったし、米長のキャラにつられて中原もたまに軽口を叩いたり、楽しい名人戦だった。升田もオススメです(笑) なお、これで中原は十六世名人の資格を獲得。結果だけを見ればストレート5連覇で圧勝だが、5回中4回もフルセットになっている。一つ間違えれば、「中原十六世名人」は生まれなかったのかもしれない。 写真も従来よりかなり増え、この名人戦観戦記もいい感じになってきた。なのに…(2003Jun22) |