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■羽生の一手詰

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羽生の一手詰
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SUN-MAGAZINE MOOK
初心者でも必ず解ける詰将棋
羽生の一手詰
名人の脳の秘密
直観力・論理力・発想力がUPする!
[総合評価] C

難易度:★☆

見開き1問
内容:(質)B(量)C
レイアウト:A
解答の裏透け:C
解説:B
初心〜初級向き

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【監修】 羽生善治
【出版社】 マガジン・マガジン
発行:2010年5月 ISBN:978-4-89644-738-5
定価:700円(5%税込) 191ページ/18cm


【本の内容】
【構成】 相崎修司 【イラスト・漫画】 バトルロイヤル風間

・かんたん将棋ガイド=9p
第1章 直観力が身につく一手詰(第1問〜第27問)
第2章 論理力を鍛える一手詰(第28問〜第54問)
第3章 発想力が広がる一手詰(第55問〜第81問)

・【歴史に残る一手】これが羽生マジックだ!=計3p
 ((1)受け編 (2)攻め編 (3)大逆転編)
・【インタビュー】羽生名人に聞く=計10p
 ((1)羽生名人vsコンピュータ (2)ライバルは脳を活性化する? (3)趣味のチェスでも名人!? (4)将棋の対局は体力勝負! (5)年齢で変わる脳の使い方)

◆内容紹介(「はじめに」より抜粋)
本書の問題は一手詰ばかりになっていますが、だからと言って一手だけ考えればよいという訳ではありません。変化や合駒、他の候補手もあるので、問題によってはトータルで十手以上読む事もあるかもしれません。何回も繰り返して読む事によって、詰みの型が解ってきますし、脳を鍛える体操にもなっているはずです。


【レビュー】
1手詰オンリーの詰将棋問題集。

1手詰の詰将棋本は、この数年でかなり充実している。1手詰専門のものだけで4冊(再版と本書を除く)、1手詰専門ではないが多く扱っているものも含めると10冊前後になる。(1手詰専門書の比較は『1手詰ハンドブック』(浦野真彦,日本将棋連盟,2009)のレビューを参照してください)

というわけで、「また1手詰の本か」という前に、ちょっと待って。前述の本たちは、初心者〜初級者向けとはいえ、いずれも将棋ファン用である。つまり、「これから強くなっていきたい、その第一段階として1手詰を解いていこう」という人向けである。

一方、本書は、「コンビニでの販売を前提とした本」である。つまり、ターゲット層は「まったく将棋は知らないが、羽生は知っている」または「子どものころに将棋で遊んだことはあるが、ルールはあやふや」「銀って後ろに行けたっけ?」という感じ。従来の1手詰本よりもさらに将棋に縁遠い人たちを狙っている。

※なお、コンビニ販売されると聞いていたので、発売日から3〜4日ほど、帰宅途中のコンビニを6〜7件回ってみましたが、どこにも置いてませんでした。orz 中型書店にすら置いてなかったので、やや大きめの書店に行って買ったのですが、翌日にサークルKで3冊発見しました…(´・ω・`)

さて、(気を取り直して)本書の内容を紹介しよう。

1手詰問題は、全部で81問。通常の詰将棋本と比べても少なめだが、700円という価格とターゲット層を考えれば妥当なところか。図面は大きく、駒は駒型の絵で書かれているが、持駒は活字のみ。図面の右上に10字程度の短いヒントがあり、最下段には「羽生ペディア」(後述)が載っている。第1章〜第3章と3つに分かれているが、難易度や傾向に大差はない。

解説は、正解図1枚+失敗図1枚+解説文100字程度。矢印を使って駒の移動を示しているので、初心者にも分かりやすい。ただし、正解手が大きな太いフォントで書かれているが、問題図の方に思いっきり裏透けしている。レイアウトの工夫で裏透け防止できたはず。

問題十数問ごとの合間に、2pずつの「羽生インタビュー」や、羽生マジックの紹介、バトルロイヤル風間の漫画などが挿入されて、息抜きになっている。羽生インタビューは、“名人”や“天才”として聞かれている内容が中心だが、「プロデビューの年にスーパーマリオをやっていた」という軽い話もある。ちなみにカバーを外すとバトルロイヤルのイラストが描いてある。

「羽生ペディア」は、羽生に関する豆知識や雑学。タイトルの由来はもちろん「Wikipedia」から。Wikiの「羽生善治」の項に載っているような豆知識、羽生に関連のある棋士紹介(まさかハッシーが載るとは!)、羽生の著書・インタビュー等から発言の抜粋(羽生ヲタでも知らないものがあるかも?)、棋戦紹介など。

1手詰の良書は他にいくらでもあるが、「そもそも書店の棋書コーナーに行かない人」もしくは「将棋コーナーの存在自体を知らない人」に対して訴求できているという意味では、成功していると思う。今後もこの路線の棋書がときどき出版されることを期待したい。(2010May28)

※ちょっと気になったのは、「1手詰」「持駒」といった表現がふりがなや説明なしで使われているところ。何がおかしいかって?表記の問題である。世間的には、「1手詰め」「持ち駒」と送り仮名をつけるのが一般的。「1手詰」「持駒」は、初心者が「いってづ?」「じごま?」と思っても不思議ではない。



【関連書籍】
 『
羽生の三手詰
[ジャンル] 
詰将棋
[シリーズ] 
[著者] 
羽生善治
[発行年] 
2010年

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