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■石田流の基本 【早石田と角交換型】

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石田流の基本 【早石田と角交換型】
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最強将棋21
石田流の基本
【早石田と角交換型】
[総合評価] A

難易度:★★★★

図面:見開き4〜5枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 戸辺誠
【出版社】 浅川書房
発行:2012年11月 ISBN:978-4-86137-037-3
定価:1,470円(5%税込) 240ページ/19cm


【本の内容】
プロローグ
第1章 ▲8六歩からの速攻
第2章 ▲7四歩からのさばき
第3章 待機策の8四飛型
第4章 根強い人気の右四間飛車
第5章 石田流外しの角交換

◆内容紹介
「乱戦にしない」が合言葉の石田流定跡書、第2弾!アマチュアに人気の
升田式石田流が登場。今度のテーマは「角交換」です。

前巻【本組みと7七角型】では、角道を止めてのじっくりした戦いを取り上げました。では、角道を止める前に居飛車が飛車先を伸ばしてきたら、どうすればいいのか?本書【早石田と角交換型】では、また違ったタイプの戦いについて解説していきます。「しっかり玉を囲ってから攻める」というコンセプトを引き継ぎ、石田流の入門者に親切な内容に仕上がりました。

早石田は互いに角を手持ちにするタイプの石田流。石田流に興味のある将棋ファンには、「升田式石田流」とも呼ばれる早石田の駒組みを知っている方も多いでしょう。そして、陣形を組み上げたはいいものの、どこから動いていいかわからず戸惑うことも意外と多いのではないかと思います。早石田は歩の上で駒が動くことが多いので、歩をぶつけていくようなわかりやすさがないのです。けれど心配は御無用。本書ではそうした早石田独特の手作りのコツを、駒組みのポイントとともに学んでいけます。タネがわかれば手自体は難しくありません。「こんな攻めがあったのか!」という快い驚きが待っているはずです。

居飛車はいろいろな形で攻めを待ち受けますが、そのいずれにも対応できる指し方を紹介しました。このメインテーマのほか、
右四間飛車と「石田流外し」の角交換作戦、この2つへの対策を収録。

アマチュアに人気の右四間飛車は、受け方を知っているかいないかで大きな差がつきます。特に本書で紹介した指し方は決定版ともいえる内容ですので、これを覚えれば右四間はまったく怖くなくなるでしょう。

石田流外しの角交換は、プロでも用いられている注目の対策。本筋の指し方はもちろん、「いかに指し慣れた形にもっていくか」ということについても力を注いで解説してあります。

前巻と本書を読めば、あなたの石田流に死角はなくなります。実戦で自信を持って、安心して指せる石田流を身につけましょう。


【レビュー】
石田流の解説書。『石田流の基本 【本組みと7七角型】』(戸辺誠,浅川書房,2012.02)の続編。

3手目▲7五歩からの石田流は、無事に角道を止めて▲7六飛型に組めれば、本組みや▲7七角型から高い攻撃力を得られた。それが前著で解説された形。ただし、石田流には角道を止めることができない形がある。

一つは、居飛車が△8四歩〜△8五歩と連続して飛先を伸ばしてくる場合。角道を止めると8筋が受からないので、飛先を受けるには、角道を止めずに飛を浮くしかない。後手も、次に▲6六歩と角道を止められると、飛先を突っ張った意味がなくなるので、必然的に角交換になる。(なお、先手が望めば、序盤から大乱戦になる型がいくつもあるが、本書では扱わない)

もう一つは、後手からあっさり角交換し、石田流そのものを拒否してしまう場合。以前は「後手で手損はひどい」とまったく顧みられなかったが、対ゴキゲン中飛車の丸山ワクチンの影響もあってか、最近は有力な石田流対策と見られている。

この2つに加えて、石田流側が主導権をとりにくい△右四間飛車という作戦もある。

本書は、3手目▲7五歩からの石田流において、本組にならないorなりにくい展開である升田式石田流、対右四間飛車、4手目角交換(6手目もある)を解説した本である。


各章の内容を、チャートを添えて紹介していこう。

第1章は、升田式石田流での▲8六歩からの速攻。▲7七銀型から▲8六歩と仕掛け、飛交換を狙っていく。仕掛け方は簡単だが、彼我の陣形によって成否が変わってくるので、「イケる形」と「イケない形」の違いをマスターしておこう。

なお、「居飛車からの△8六歩の速攻」も第1節で詳しく述べられている。升田式石田流の序盤の基本事項なので、最後まで正確に覚えていない人は再度確認を。



第2章は、早めの▲7四歩から捌く形。以前は、早い▲7四歩は「位を失って損」と言われていた。「早い段階で▲7四歩と突く形は比較的新しく、」(p92)。「押さえ込まれるか、手を作れるか、ぎりぎりの攻防」(p91)になりやすいので、本章で学べるテクニックを駆使したい。

基本は、▲5五銀と出て、中央で威張ること。▲5五銀という手自体は昔からあるが、少し思想が変化している。

昔の▲5五銀は、次に▲4六銀と玉側に引き付けていた。現代の▲5五銀は、△5四角(飛を狙う)を阻止して居座り、後手が銀を追い払おうとして形が乱れるのを待つ。

具体的には、△5四歩と突いたり、△7三金〜△8四金と来たときが先手のチャンス。



第3章は、△8四飛型。居飛車側の最新形である。7筋を浮き飛車で受け、しばらく△6四歩を突かずに争点を作らずに待つ。第1章の▲8六歩や、第2章の▲7四歩を防がれているので、石田側の難易度は高い。

有力なのは、▲5五銀〜▲4六角の里見新手(2010年6月)。『最新版 勝てる石田流』(鈴木大介,創元社,2011.01)では、「正しく対応されると先手苦しい」となっていた。本章では、▲3六歩と角の退路を確保することで、「先手有望」になっている。

また、▲4六角を保留して▲5六歩と突き、将来の角打ちに余裕を持たせておくのも有力。好みによって使い分けよう。



第4章は、対△右四間飛車。石田流側が主導権を握りにくく、苦手な人も多いと思う。右四間側は「これ一本」の人が多いので、経験値の差ができやすい戦型でもある。

右四間側としては、4手目△4二玉で角道を止めさせて、争点を作ってから右四間にする。基本的にはこれだけでセット完了。石田流側としては、左銀を上がるタイミングと、駒をぶつけるか、凹まされても手が続かなければ良しとするかの判断を見極めたい。

なお、『杉本昌隆の振り飛車破り』(杉本昌隆,MYCOM,2007)の第7章で紹介された「山本流石田封じ」が、1ページだけではあるがコラムに載っている。大まかな指針と、「山本流外し」の指方も示されているので、目を通しておきたい。



第5章は、早い段階での後手からの角交換。石田流そのものを阻止しようとする作戦で、大別して「4手目角交換」と「6手目角交換」がある。

このうち、4手目角交換に▲同飛と取ったとき、△4五角▲7六角と筋違い角を打ち合ってから、先手が美濃囲いにできるかどうかがプロでは重要なテーマであるが、乱戦になりやすい。そのため、「自分から乱戦にしない」をモットーとする本書ではほとんど扱わない。基本的には、▲3八金からの金美濃で十分戦えるとのこと。

4手目角交換に▲同銀もある。こちらは、△4五角を防ぐためにいったん▲6八飛と振り、あとで▲7八飛と振り直す。三間に振れるので、こちらの方が戦いやすい人も多いだろう。

また、角交換のタイミングをずらす「6手目角交換」には、すでに飛を振っていることを生かす。具体的には、△4五角の筋を先▲6八金の1手でケアし、玉を囲う前に7筋にちょっかいを出しておく。



△8四歩〜△8五歩と連続して伸ばす形は、先手に早石田系の乱戦がいくつもあるため、後手がよほどの自信を持っていなければ突きにくくなっている。そのため、本書前半の升田式石田流は使う機会が減っているかもしれない。

ただし、石田流側としては、△8四歩〜△8五歩対策は何か一つ必要なので、早石田系に自信のない人は、本書を精読して升田式をマスターしておきたい。

また、本書後半の対右四間、対角交換は石田流にとって対策マストの案件。総合的に見て、石田流党には必読の一冊だろう。居飛車党としては、角道を止めさせるのであれば、前著だけでかまわない。(2012Dec06)


※誤字・誤植等(初版で確認):  ◆2014年3月第2刷ではすべて修正されているそうです。(名無しさんthx!)
浅川書房直販で購入したところ、誤植対応表が同梱されていました。(以下の◇マーク。書店売りの本に挟まれているかどうかは不明)
p102 ×「以下これまで見た手順を経て第4図へ」 ○「以下これまで見た手順を経て第6図へ」
◇p129 第9図 ×「△5二金、△6三金」 ○「△4一金、△6二金」
◇p130 結果図 同上
◇p130 A図 同上
◇p130 B図 同上
p206 ★(注釈)の参照先が見当たらない
p206 ×「△5二金左」 ○「△5二金」



【関連書籍】
 『
石田流の基本 【本組みと7七角型】
[ジャンル] 
三間飛車
[シリーズ] 
最強将棋21
[著者] 
戸辺誠
[発行年] 
2012年

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