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■終盤のメカニズム

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終盤のメカニズム
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マイナビ将棋BOOKS
終盤のメカニズム
[総合評価] B

難易度:★★★
   〜★★★★☆

図面:見開き3〜4枚
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:B
中級〜有段向き

【著 者】 宮田敦史
【出版社】 マイナビ
発行:2012年10月 ISBN:978-4-8399-4467-4
定価:1,575円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 寄せのメカニズム 9テーマ 20p
第2章 受けのメカニズム 9テーマ 20p
第3章 攻防のメカニズム 7テーマ 30p
第4章 宮田の格言 ・玉の早逃げで駒を入手
・穴熊の桂は跳ねるな
・穴熊は金銀を埋めろ
・端玉には端歩
・美濃囲いは玉の斜め後ろが急所
・中住まいには▲4四(6六)桂を狙え
・穴熊には王手のかかる形にしろ
・中原囲いは玉頭が急所
・終盤は駒の損得より速度
・玉は下段に落とせ
42p
第5章 実戦編 中級
〔総譜なし〕
・小林宏七段戦(2011.07.20 第20期銀河戦予選)
・堀口一史座五段戦(2002.02.08 第28期棋王戦予選)
・森内俊之名人戦(2005.10.28 第24回朝日OP選手権)
・佐々木慎四段戦(2002.04.30 第15期竜王戦6組)
・村山慈明五段戦(2008.10.21 第67期C級1組順位戦)
・青野照市九段戦(2008.07.08 第50期王位戦予選)
・吉澤大樹アマ戦(2001.12.25 第15期竜王戦6組)
・泉正樹七段戦(2002.08.09 第11期銀河戦予選)
60p
第6章 実戦編 上級
〔総譜あり〕
・佐々木慎五段戦(2006.06.26 第37期新人王戦)
・久保利明八段戦(2004.10.20 第23回朝日OP選手権)
・小林裕士七段戦(2012.02.07 第70期C級1組順位戦)
42p

・実戦の即詰み問題(1)〜(6) (3〜9手詰)

◆内容紹介
宮田敦史、驚異の終盤力の秘密がついに明かされる!

詰将棋解答能力は将棋界随一、詰将棋解答選手権チャンピオン戦で最多5回の優勝を誇る宮田敦史六段による終盤講座です。
「スーパーあつし君」のニックネームでプロからも一目置かれる宮田六段の処女作。
まず、理論編では部分図、全体図を用いて、終盤戦に必要な寄せ、受け、攻防手を解説。複雑に見える終盤も、実は部分的な手筋の組み合わせであることが分かるはずです。
さらに宮田六段考案の終盤の格言も紹介します。現代将棋ならではの新格言もあり、終盤戦の指針として大いに役立つはずです。
続く実戦編は理論編の応用。宮田六段の実戦を例として、プロの終盤を詳細に解説します。宮田六段が実戦の終盤で何を考えているか、どれほど深く読んでいるか、そのレベルの高さには驚嘆するしかありません。
詰将棋の、終盤の天才が多角的に終盤をとらえた、まさに画期的一冊です。


【レビュー】
終盤の解説本。「将棋世界」誌で連載された講座「終盤のメカニズム」から一部引用して、大幅に加筆したもの。

宮田六段は終盤に強い棋士で、特に詰将棋の解答力で他を凌駕する力を持つ。その終盤の正確さは信頼性が高く、竜王9連覇の渡辺明に近い評価をする人もいる。

本書は、詰み直前の最終盤について、精密に解説した本である。

各章の内容を一覧にしてみた(下表)。章によって難易度が異なる。★3は初段くらい、★4は三段くらいと思ってほしい。
難易度 内容 詳細
第1章 ★3 必至問題 部分図による必至問題。1手必至から7手必至まで。前半は、基本の必至とその応用形が2テーマ1セットになっている。
玉頭を押さえて金頭桂/退路封鎖の▲1三角/▲4一馬+腹銀▲3二銀/複数の詰み筋/左右挟撃/両王手
第2章 ★3.5 凌ぎの手筋 詰みや詰めろを凌いで1手稼ぐ手筋を部分図で解説。
中合いで詰み逃れ/合駒の選び方/捨て合い/打歩詰めに誘導/捨て駒で1手稼ぐ
第3章 ★4 詰めろ逃れの詰めろ 一見負けていそうな局面を、攻防の一手で逆転させる。有力手が複数あるときは、両方を詳細に比較検討している。本章も部分図を使用。
攻防の角打ち/玉頭戦の桂跳ね/攻防で合駒を入手/歩突き/逆王手狙い/玉頭戦の玉上がり/玉頭戦の制空権
第4章 ★4 終盤の格言 終盤で思い出したい格言を解説。著者オリジナルの格言もいくつかある。全体図を用いて、やや複雑な局面を1テーマ4pで詳細に検討。
第5章 ★4.5 実戦の終盤 宮田の公式戦の終盤戦を解説。1局につき4p〜10p、総譜なし。宮田の詰め力を生かした鋭い寄せあり、時間に終われて詰みが見えないときや、厳密には詰まないときの実戦的な指し方もあり。
第6章 ★4.5 実戦の終盤 宮田の公式戦の終盤戦を解説。第5章よりも複雑で難解な局面で、ページ数もより多く割いている。解説の難度は第5章と大差なし。章末に総譜あり。


第5章と第6章の実戦編は、トッププロの終盤術を公開した伝説的名著『光速の終盤術』(谷川浩司,日本将棋連盟,1988/2011)を髣髴とさせる。特に、「詰めろかどうか」については非常に細かく解説されている。

本書は「終盤のメカニズム」と銘打っているが、終盤戦の最低限の原則などは省略されている。つまり、

・1手スキ(詰めろ)、2手スキ、3手スキ…の考え方
・必至の概念、決まり手のパターン

などは、あらかじめ他書などで学んでおく必要がある。


内容は精密で、特に詰めろの検討などは他書に見られないほど濃くて細かく、非常にわたし好みではある。ただ、全体的なバランスとしてはどうだろうか?

上述のとおり、原理原則から書かれているわけではないので、読み始めのハードルはやや上がっている。また、前半(第1章〜第4章)と後半(第5章〜第6章)のつながりはあまりなく、全体として「終盤がどんな構造(≒メカニズム)になっているのか」という点についてはまとまっていないように思えた。各テーマの内容は濃いものの、それぞれが点として散在しており、面としてのつながりが乏しい印象。

無理に一冊にしない方が良かったんじゃないかと思う。前半に概説を追加したもので一冊、後半の実戦編で固めたもの(もちろん総譜つきで!)で一冊、計2冊にすれば、非常に強力な終盤本の決定版になっただろう。

個人的には、第5章・第6章をベースにした本で、「プロの終盤はここまで読んでいるのだ!」というのを見せてつけてほしい。実現すれば、ある意味で『光速の終盤術』を超えたものが出来上がると思う。それを読んで育った将来のプロ棋士は、現在よりももっと高みに上れるのだ。かつて『光速の終盤術』を読んだ世代が、プロの終盤力の大幅底上げを担ったように。

本書はちょっと惜しい感じになったが、次回作にはものすごく期待したい。(2012Dec14)


※誤字・誤植等(初版第1刷で確認):
p91上段 △「これで簡単なようだが 、」 ○「これで簡単なようだが、」 読点の前に半角スペースが入っている。



【関連書籍】

[ジャンル] 
寄せの手筋
[シリーズ] マイナビ将棋BOOKS
[著者] 
宮田敦史
[発行年] 
2012年

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