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■藤森式 青野流 絶対退かない横歩取り

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藤森式 青野流 絶対退かない横歩取り
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マイナビ将棋BOOKS
藤森式 青野流 絶対退かない横歩取り
[総合評価]
A

難易度:★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 藤森哲也
【出版社】 マイナビ出版
発行:2019年2月 ISBN:978-4-8399-6873-1
定価:1,663円(8%税込) 240ページ/19cm


【本の内容】
序章 青野流の基本的な狙い   6p
第1章 すぐに△7六飛   16p
第2章 △2二銀・8二飛型   22p
第3章 △4二玉、△4一玉型 第1節 △4二玉型
第2節 △4一玉型
60p
第4章 △5二玉▲7七角型   54p
第5章 △5二玉▲7七桂型   52p
第6章 その他の対策   24p

・【コラム】(1)ふじもり将棋教室 (2)海老澤さんへ

◆内容紹介
プロ棋戦で爆発的な流行を見せている「青野流」。横歩取りでこの戦型でないほうが珍しくなっていると言っても過言ではありません。本書はその「青野流」に絞った初の戦術書です!

攻めの棋風の著者、藤森哲也五段の手によって、ただでさえ攻撃的な「青野流」がさらに過激な戦法と化します。攻めて、攻めて、攻め倒す。引くことのない攻めっ気120%の「藤森式」青野流を身に付け、ライバルを木っ端微塵にしましょう!


【レビュー】
横歩取り▲青野流の戦術書。

青野流は、横歩取りで▲3四飛に△3三角と上がった時、▲5八玉〜▲3六歩と、飛を引かずに右桂の活用を目指す戦法。2002年に青野照市九段が初めて指したが、当時は△8五飛戦法全盛期で、あまり注目はされなかった。2012年頃から再注目され始め、2018年の升田幸三賞を受賞。そして2018年には、プロの横歩取りといえば青野流というくらいまで流行している。あまりにも先手の勝率が良いため、横歩取り自体が減少気味で、プロの相居飛車の主流は角換わりに移行している。

横歩取りは、一般的に先手の歩得の代償に後手が先攻することが多いが、青野流は先手が先攻しやすい。
・「相手(後手)が形を決める前に発動できる」(まえがきより)
・「自分(先手)の好きなタイミングで攻めていける」(〃)
・「攻め筋はわかりやすく、勝つときは攻め放題で相手がサンドバック」(〃)

ところで、青野流はこれまでいくつかの本で断片的に解説されてきたものの、一冊丸ごと青野流という本はなかった。

本書は、青野流の基本から、さらに攻撃に特化した「藤森式」の青野流まで、青野流のうち先手が攻める変化を中心に解説した本である。「藤森式」は、基本的に攻め重視で、引く手はなし。行ける時は行くスタンスである。


各章の内容を、チャートを添えながら紹介していこう。


序章は、「青野流の基本的な狙い」

・横歩取りで△3三角としたとき、通常は▲3六飛から飛の形を整えるところで、▲3四飛型のまま▲5八玉と上がる。
⇒居玉を避け、角の王手がかかりにくくしている。
・▲3六歩〜▲3七桂で右桂を活用する。
⇒後手が漫然と組めば、すぐ▲4五桂で角が動けず(▲3四飛で△3二金が抜かれる)、先手必勝になる。後手が青野流のことをあまり知らなければ、案外このパターンになるかも。



第1章は、「すぐに△7六飛」

先手が▲3六飛と引かない(▲7六歩を守らない)ので、後手が「取れるなら取る」とすぐに横歩を取ってきた場合。これは角交換から先手良し。

〔青野流のコツをメモ〕
・青野流では▲3八銀で自陣が引き締まることが多い。
・チャンスがあれば常に桂を中央へジャンプする。
・攻めor受けで迷ったら、敵玉めがけてもっとも厳しそうな攻めを繰り出そう。
・左桂の活用も常に意識する。両桂が跳ねられたらまず成功。



第2章は、「△2二銀・8二飛型」

後手がじっくり指そうとする。△8二飛は、△3二金にヒモを付ける意味。それでも、1手かけて飛を引いても▲8三歩のタタキが入るので、先手は手を作れる。(ただし、p46結果6図で後手持ちだと思うなら、後手番を持ってこの変化を選んでみるのもアリ)

〔青野流のコツをメモ〕
・▲8七歩は基本的に打たない。
・金銀を盛り上げる展開にはなりにくい。
・先手の攻め駒は、飛角桂桂歩。



第3章は、「△4二玉、△4一玉型」。2節に分かれる。

△4二玉は、△3二金にヒモを付けつつ、5三のカバーする手。半面当たりが強く、二枚桂で5三の地点を狙うと王手になるのがデメリット。

△4一玉は、△3二金にヒモを付けて、中原囲いへの発展を狙う。上部の攻めから遠いのはメリットで、△4二銀型中原囲いになれば急戦はないので、後手番で青野流の急戦が苦手な人はこれを選ぶべきだろう。

〔青野流のコツをメモ〕
・持久戦なら▲8七歩は打つ。
・▲1一角成が実現するならほぼ成功。



第4章は、「△5二玉▲7七角型」

後手は△3二金にヒモを付ける△4二玉型や△4一玉型ではなかなか大変なので、△5二玉型の中住まいで囲いを簡略化して、バランス重視で攻め合いを目指すのが主流になってきた。激しく乱戦になりやすい。

△5二玉▲3六歩に△7六飛と横歩を取ってくる。次の△8八角成を受けて、先手は▲7七角(本章)か▲7七桂(第5章)か。

本章の▲7七角は難しい変化が多く、手将棋模様の中盤に戻ることもある。ややプロ好みで、アマには不向きかもしれない。

〔青野流のコツをメモ〕
・△5五角に▲2二歩の手筋は要マスター。
・▲2三歩の垂れ歩で金を斜めに誘え。(変化によってはやらない方が得なことも分かってきた)



第5章は、「△5二玉▲7七桂型」
△5二玉型で後手が横歩を取ってきたとき、▲7七桂が「藤森式青野流」。一時的に角道が止まるが、すぐに左桂の活用が見込める。両桂の跳ね出しが先手の理想。

〔青野流のコツをメモ〕
・5筋の歩を切って(▲5三桂成など)手番を後手に渡すと、△5六歩の反撃が速い。
・後手の角をずらせば▲6五桂が実現する。



第6章は、「その他の対策」。△8五飛と△6二玉の2つを解説する。

△8五飛は、後手が横歩を取らず、あえて▲7七桂と跳ねさせる作戦。△8二飛と引くなら乱戦は難しく、先手はヒネリ飛車を目指す。△2五飛なら▲2八歩と受ける。▲7七桂とせずに、▲3六歩と突っ張るのもある。

△6二玉〜△8二歩はソフト調。低く謝ってキズを消している。ただし、それでも先手が仕掛けることはできる。




【寸評】
・各ページのサブタイトルで、ときどき「がんがんいこうぜ」「あばれるくん」「右ひじ左ひじ」「月にかわっておしおき」など、ゲーム・お笑い・アニメなどが元ネタのワードが出てくる。棋士もわたしたちと同じような生活をしてるんだなぁ、と少しうれしく思います。(分からない人にはチンプンカンプンでしょうけど……)

・第3章〜第5章では、章末に参考棋譜がショートコメント付きで計10局(各1ページ)掲載されている。戦術書での参考棋譜の掲載形式としては◎。(個人的には、本文の内容を補完する棋譜はたくさん欲しいですが、自戦記はそんなに欲しくはないのです)



【総評】
これまで体系的に学ぶことが難しかった(「将棋世界」の特集講座などもあったが)青野流を一冊にまとめているのは◎。本書のテーマである「先手の攻め」は全体的に貫かれているし、それ以外の展開についても触れられているので、青野流独特に指し回しを身に付けることができるだろう。

青野流はまだまだ流行が収まる気配はないし、先手番なら後手が超急戦策を採らない限りはほぼ誘導できるので、研究も生きやすい戦型。本書で勉強して星を稼ごう。また、後手を持ちたい人にももちろんオススメで、本書を読んで、どの形なら自分の持ち味が出せるかを考えておこう。(2019Feb26)



【関連書籍】

[ジャンル] 横歩取り
[シリーズ] マイナビ将棋BOOKS
[著者] 藤森哲也
[発行年] 2019年

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