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■最新の相掛かり戦法

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最新の相掛かり戦法
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プロ最前線シリーズ
最新の相掛かり戦法
[総合評価] A

難易度:★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 野月浩貴
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2010年2月 ISBN:978-4-8399-3476-7
定価:1,575円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 相掛かりの基礎知識   10p
第2章 腰掛け銀戦法 (1)△8四飛型
(2)△8二飛型
12p
第3章 ▲3七桂戦法   14p
第4章 ▲3七銀戦法   14p
第5章 ひねり飛車 (1)▲9七角型
(2)▲8五歩型
32p
第6章 ▲2八飛型 ・はじめに
(1)▲3六銀・△3三角型
(2)▲3六銀・△7四歩型
(3)▲3六銀・後手8筋交換保留型
(4)▲2六銀型
(5)▲4六歩型
120p
第7章 実戦編 5局(参考棋譜付き) 16p

◆内容紹介
プロ将棋の最前線を探るシリーズ第二弾。プロの公式戦でも指されているわりに、相掛かり戦法の定跡書はあまり出ていませんでした。
本書は、野月浩貴七段が相掛かり戦法全般についての基礎知識を押さえた上で、その特長や最新形を解説。さらに実戦に基づいたワンポイント講座を収録するなど、将棋を指すファン、プロ将棋を見るファンのいずれに対しても、良いガイドとなることを目指したものです。


【レビュー】
相掛かりの定跡指南書。

相掛かりは、アマでは人気がない。初手▲2六歩と指したときに△8四歩と来る確率は、わたしの経験上では1割程度である。

プロではある程度指されているのに、どうしてアマでは人気がないのか?その理由は、次のようなことが考えられる。

(1)「相掛かりは定跡化が進んでおらず、本を書きにくい
 →「本がないので指しにくいし、仮に指しても共通の知識がないのですぐに力戦型になってしまう」
 →「人気がなくなる」
 →「本が売れないので出版されない」
 →以下ネガティブスパイラル

(2)後手で互角にor面白く戦える戦型が紹介されていない
 相掛かりの本を紐解いてみると、ヒネリ飛車や塚田SPの本などをはじめとして、「先手が終始ペースを握る」「先手有利の変化で終わる」というものがほとんど。また、プロの勝率も先手が5割3分を少し超えており、他の戦型よりも先手勝率が高い。これでは後手を持つ気にはならない。

ということは、「相掛かりの魅力と指し方を分かりやすく伝え、また先後ともに面白く戦える指し方を解説した本があれば、相掛かりの人気は少し上がる」のではないだろうか。そして、その需要にズバリ応えた本が本書である。

相掛かりの専門書としては、なんと『羽生の頭脳 8 最新のヒネリ飛車』(羽生善治,日本将棋連盟,1994/2010)以来16年ぶりの新刊となる。

読んでみて、本書の特徴をいくつか書き出してみた。

盤面のレイアウトがよい。
 −棋譜のスタートと盤面はほぼ一致しており、必要なところには再掲図もたいていある。
 −図面の下に補足(単なる本文の書き直しではない)が書かれているのが◎。

細かい定跡手順よりは、狙い・思想や、攻め方・受け方の例示が多い
 −銀冠を目指す△2四歩に▲同飛と取れる例、取れない例
 −△6九角の筋、▲6一角の筋
 −▲6八玉型と▲6九玉型のメリット・デメリット

先後が公平で、ココセ順は少ない。
 −後手の勝負の仕方、後手に楽しみのある戦型の解説も多い

コツを伝える言葉がときどきある。
 p158「戦いのパターンは限られているので、微妙な組み合わせの違いで工夫をするのだ。
 p164「第6章で使っている攻めの手筋は、第1章から読んでいくとその中にほとんど出ている。」〜「手筋をいっぱい覚えておくことが大切だ。

また、全編にわたって、野月の「相掛かり愛」が感じられる。別に偏愛的な意味ではないが(笑)、相掛かりの魅力をできるだけ言葉で伝えようというオーラがどことなく感じられるのだ。

 ・岐かれの局面では、著者がどちらを持ちたいか書いてある。「わたしなら先手(後手)を持ってみたい」
 ・p179「最も愛着があり、大好きな戦法だからこそ、一手一手に自分なりの意味を込めて戦いたい
 ・p212「(第6章第2項の棒銀を左に活用する順は)いわば自分だけの定跡手順だった。

各章の内容と印象を少し書き出してみよう。なお、本書は網羅・分岐型の書き方はされていないので、自作チャートは作成しなかった。

第1章 相掛かりの基礎知識
 ▲2六飛型・▲2八飛型の概説、5手爆弾(▲7八金と締まらずに▲2四歩)

第2章 腰掛け銀戦法
 △8四飛型と△8二飛型、1992年の竜王戦第5局(羽生vs佐藤康)がベース。

第3章 ▲3七桂戦法
 ▲2六飛vs△8四飛型が消えたのはこの戦法のせい。▲1六歩に△1四歩と受ける場合or受けない場合の2系統。中原vs米長戦(王将戦、1986.12.15)がベース。

第4章 ▲3七銀戦法
 △8二飛型に対して有力。△3四歩!(p43)の受け方は他書に載っていたっけ?

第5章 ひねり飛車
 対ヒネリ飛車の後手の戦い方がよく分かる。(今までのヒネリ飛車本は先手成功で終わるものがほとんどだった)

第6章 ▲2八飛型
 現在のプロの相掛かりはほとんどコレ、本書のメイン。
 冒頭で「▲2八飛型が見直された経緯」の解説あり。
 第1項の▲4五歩位取りは『最強棒銀戦法 決定版』(飯塚祐紀,創元社,2008)にも詳しく載っているので比較すべし。
 第2項の棒銀を左辺に活用する順は野月のお気に入り。
 第3項は2つに分けてもよい内容。
  (1)△8五飛型
    最前線の棒銀対策。後手はすぐに飛先交換せずに、▲2七銀を見てから交換し、△8五飛と引く。先手の棒銀を押さえ込むのが狙い。メリット・デメリットはp168参照。2009年王座戦の山アvs羽生戦がベース。
  (2)△7二銀-△7四歩型
    p178〜。野月の課題局面。先手の歩交換後、後手がすぐに飛先交換をせず、9筋の突き合いもせずに、△7二銀〜△7四銀と指す。後手の狙いの一つは△7五歩と先手の角の活用を抑えてしまうことだが、先手の対応次第でさまざまな展開に分岐する。第7章に収録されている野月vs渡辺戦以降の研究がベース。
 第4項は従来の引き飛車棒銀▲2六銀型が▲3六銀型と違う点をサラッと。
 第5項は腰掛銀での△6二飛型を先手番でやるとどうなるかをサラッと。

第7章 実戦編
 野月の実戦解説。1局を見開き2pで概説しているのが珍しい。(棋譜は巻末にまとめてある)

本書を読めば、相掛かりを指してみたくなると思う。先手で▲2六歩と突いて、相手が△8四歩と応じてくれるかどうかは本書の売れ行き次第? 相手に▲2六歩と突かれたら、堂々と△8四歩と突いてみよう!(2010Sep30)

※誤字・誤植・疑問等(初版第1刷で確認)
p7参考図 ちょっと変?横歩取り△8五飛戦法がこの形になることはないのでは。▲8七歩を打たれてから△8五飛が一般的。
p35参考図の文章 ×「駒が多く聞いている…」 ○「駒が多く利いている…」
p113第22図 △3五と は有力では?
p106変化図  ×「先手持駒:角歩二、後手持駒:角」 ○「先手持駒:角歩、後手持駒:角歩」
p143 ×「第4章▲3七銀戦法の51ページA図で触れたように」 ○「第4章▲3七銀戦法の48ページ変化図で触れたように」
p169 ×「▲5六銀〜▲6六歩〜…」 ○「▲5七銀〜▲6六歩〜…」



【関連書籍】

[ジャンル] 
相掛かり
[シリーズ] 
プロ最前線シリーズ
[著者] 
野月浩貴
[発行年] 
2010年

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