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■戸辺流相振りなんでも三間飛車

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戸辺流相振りなんでも三間飛車
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マイコミ将棋BOOKS
戸辺流相振りなんでも三間飛車
[総合評価] A

難易度:★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 戸辺誠
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:2009年4月 ISBN:978-4-8399-3162-9
定価:1,470円(5%税込) 224ページ/19cm


【本の内容】
序章  相振りなんでも三間飛車の概要   10p
第1章  先手三間飛車対後手向かい飛車   28p
第2章 相三間飛車の攻防   34p
第3章 後手三間飛車対先手向かい飛車   64p
第4章 後手三間飛車対先手向かい飛車   36p
第5章 実戦編 ・「先手三間飛車からの速攻」対窪田義行六段戦
・「兄弟子との大熱戦」対佐藤和俊四段戦
・「システム成功の一局」対小林宏六段戦
・「自分らしい将棋」対藤倉勇樹四段戦
44p

・【コラム】(1)三段時代の思い出 (2)デビュー戦 (3)トッププロの将棋から (4)奨励会員と研究

◆内容紹介
本書は三間飛車一本で戦う相振り飛車の戦術書です。
人気の高い向かい飛車を相手に、シンプルかつ攻撃的な駒組みで主導権を握ります。
後手番のときは穴熊に組み、工夫の4四銀型で金無双からの速攻を封じたり、意表の飛車転回を見せたりと、著者の最新研究手順がぎっしり詰まっています。戸辺流なんでも三間飛車は、すぐに指せて、なおかつ楽しい戦法です。


【レビュー】
相振飛車の定跡書。

従来、相振飛車の飛の位置は「向飛車>三間飛車>四間飛車>中飛車」の順で、向飛車が望ましいといわれてきた。つまり、相振りでの三間飛車は亜流の位置づけだった。また、相振りでの穴熊は有力ではあるが、金無双からの速攻に弱いとされていたため、一時は「相振りの囲いは美濃囲い、展開によっては矢倉が望ましい」という空気ができつつあった

それに風穴を空けた一人が、本書の著者・戸辺六段である。本書では、「攻撃的な三間飛車で相振りを戦うことは十分可能」とのスタンスで一貫している。それはひとえに、第3章で解説される「戸辺流」が優秀だからだと思われる。ただし、戸辺流を使いこなすにはある程度の知識と感覚を習得することが必要だ。

本書は、戸辺流をメインとした相振飛車での三間飛車の戦い方を解説した本である。

各章の内容を、チャートを交えながら紹介していこう。

序章は、本書の概要の解説。基本的には、先手番では3手目▲7五歩から石田流をメインとする。「攻撃態勢を早く作り、先攻を目指す」(p8)。一方、後手番では▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛から、穴熊をメインとする。対金無双には、先手に「穴熊崩しの理想形を許さない、工夫の駒組み」(p10)で対抗する。

また、本章では▲石田流vs4手目△5四歩の乱戦についてもサラッと解説。結論としては、乱戦は先手やや不満なので、△5四歩には▲6六歩と収めて相振りを目指す、として第1章につながっていく。

第1章は▲三間飛車vs△向飛車。▲石田流に対して後手が相振りを目指す場合、4手目△5四歩から△5三銀型の向飛車が圧倒的に多いとのことで、石田流使いには避けて通れない道である。先手は早めに▲5六銀と上がり、△4四歩を突かせるのがポイントとなる。「金無双と△5三銀のバランスはよくない」(p21)ので、後手は美濃囲いを選択することになる。

〔必修手筋〕
 ・▲5六銀から▲6七銀のバック(飛の横利きを通す)
 ・△2四歩(早めに突いておくと、先手の囲いが美濃か矢倉かが分かる)
 ・「端の次は▲7四歩、ここの2ヶ所を攻められると美濃囲いは極端に弱い」(p37)





第2章は、相三間飛車。▲石田流に対して、4手目△3五歩と突っ張る形で、ずいぶん昔からある。両者が石田流党の場合、互いに譲らず相三間になることは多い。昔は相金無双になるのが定番だったが、近年は組み方の工夫で美濃囲いも選べる。本章では、高美濃vs金無双、矢倉vs金無双、相高美濃の戦いを解説していく。結論的には「同形は先手やや有利」のようだ。

〔必修手筋〕
 ・▲4六歩(いち早く▲4七金型を目指す)
 ・△3四飛には▲8六歩(△8四飛の揺さぶり対策)
 ・▲3六歩△同歩▲同金(浮き飛車を圧迫する)
 ・美濃囲いに組む▲3八銀に△2八角は、▲4一角(飛金当たり)があれば受かる
 ・▲6五歩△同歩▲7四歩△同歩▲5四歩△同歩▲9七角





第3章は△三間飛車vs▲向飛車。基本的に後手は穴熊を目指す。普通に指すと、金無双からの穴熊崩しが強力なので後手が勝てない。そこで、本書のメインである「戸辺流」の登場となる。

戸辺流の特徴は、以下の通り。
 ・△3五歩を保留し、一直線に穴熊を目指す
 ・△4二銀〜△5一金と低く構える
 ・△3三銀〜△4四銀で先手の理想形(▲6六角+▲7七桂型)をけん制する
 ・左金は横ばいで、6二に飛を回るスペースを作っておく


金無双の攻めの理想形を許さなければ、穴熊の堅さが生きてくるというわけである。




第4章は△三間飛車vs▲新向飛車。従来、相振りの▲向飛車は、▲6八銀〜▲6七銀を強化してから▲8八飛と回るのが駒組みの手順だった。これは、後手が3筋歩交換から△6六飛!と横歩を取りにくるのを防ぐ意味だったが、新向飛車では銀上がりを後回しにして、▲7七角〜▲8八飛〜▲6八銀と組む。5七に隙がなく、左銀が浮いていないのが大きな特徴で、「▲6五歩を突くのに苦労していた先手にとっては、6七銀を保留することによって2手早く▲6五歩を突ける」(p146)という利点がある。

▲新向飛車に対して△穴熊を目指すのは難しいので、後手は3筋をすばやく伸ばしていく。△3六歩に対し▲同歩と取れない(△同飛〜△6六飛がある←6六歩を銀で守っていないため)ので、▲2八銀△3七歩成▲同銀△3六歩と押さえる展開になる。この押さえた歩の攻防が、この戦型の焦点となる。

後手は、スキの少ない美濃に組む。左銀を△3三銀〜△4四銀と繰り出していくのは、第3章の戸辺流と変わらない。




「相振りなんでも三間飛車」というタイトルから、『なんでも矢倉』(森下卓,創元社,2004)のような級位者向けの内容を想像していたが、実際にはプロでも通用する有段者向けの内容だった。駒組みが比較的分かりやすく、攻め将棋の人にはオススメ。特に石田流党で相振りが苦手な人は、戸辺流のツボをマスターして戦えるようにしたい。(2011May28)

※誤字・誤植等(初版第1刷で確認)
p22 「第5図から△6四歩と突いてくる形と△6四歩を突かない指し方があるので、順番に解説する。」→「△6四歩を突かない指し方」の解説が見当たらない。また、「第5図からの指し手@」はあるが、「第5図からの指し手A」は見当たらない。
p139 ×「攻撃陣に渇を入れる」 ○「攻撃陣に活を入れる」 ※ちなみに「喝を入れる」は誤用。
p212 ×「先手三間飛車・穴熊VS先手向かい飛車・矢倉」 ○「後手三間飛車・穴熊VS先手向かい飛車・矢倉」



【関連書籍】

[ジャンル] 
相振飛車
[シリーズ] マイコミ将棋BOOKS
[著者] 
戸辺誠
[発行年] 
2009年

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