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■最新振り飛車破り〈上〉

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最新振り飛車破り〈上〉
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将棋最強ブックス
最新振り飛車破り〈上〉
ゴキゲン中飛車破り
角交換振り飛車破り
石田流破り
[総合評価] C

難易度:★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)B(量)B
レイアウト:A
解説:B
読みやすさ:A
中級〜上級向き

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【著 者】 屋敷伸之
【出版社】 創元社
発行:2012年3月 ISBN:978-4-422-75137-5
定価:1,365円(5%税込) 208ページ/19cm


【本の内容】
第1章 ゴキゲン中飛車破り
(超速)
A:対△4二銀型
A':対△4二銀型(△6二玉保留)
B:対△3二金型
C:対△3二銀型
D:対△3二金・△4二銀型
・覚えておきたい復習問題=16問
104p
第2章 角交換四間飛車破り A:△2二飛と転回する
B:後手は四間飛車のまま戦う
・覚えておきたい復習問題=8問
54p
第3章 石田流破り A:△6二玉(▲4八玉)から囲いを急ぐ
B:△3四飛(▲7六飛)から石田流を急ぐ
・覚えておきたい復習問題=8問
52p

◆内容紹介
プロアマ問わず猛威を振るっているゴキゲン中飛車、角交換振り飛車、石田流。本書は各戦法の弱点を見抜き、
コンパクトな囲いと素早い動きで相手を撃破する、振り飛車破りの解説書。スピード感あふれる細心かつ大胆な攻めが、やみつきになること間違いなし。攻め駒を巧みに操り、振り飛車陣をどんどん揺さぶって、一気に勝ちに持ち込む醍醐味が味わうことができる。最新の振り飛車に苦しんでいる人におすすめの一冊。


【レビュー】
角道オープン型振飛車の対策本。

角交換を歓迎する振飛車はこの10年間で非常に多く指されるようになった。いつでも角交換があるので、駒組みには慎重さが求められ、従来の「角道クローズ型振飛車」に対する仕掛けはあまり通用しない。

プロでは持久戦になることも多いが、アマでは速攻したい人も多いはず。そこで本書では、ゴキゲン中飛車・角交換四間飛車・石田流という3種類の振飛車に対し、できるだけ簡素な囲いで速攻を仕掛ける作戦を提案している。

各章の内容を、チャートを添えながら紹介していこう。

第1章は、△ゴキゲン中飛車vs▲超速。いま現在では、プロで最も多く戦われている戦型だ。細かく解説した本もすでに何冊か出ているが、従来の本では持久戦になりそうな局面でも仕掛けていくのが本書の特徴。

A:△7二玉+△4二銀。意外にも他書にはほとんど載っていない。というか、2筋の守りがおろそかになっているので、超速の狙いが実現しやすいようだ。そもそも中飛車側が指してはいけない形か。
A':▲4六銀に△4四銀と対抗する形。普通はそこから持久戦になるが、本章では▲7八玉〜▲6八金で囲いを済ませて仕掛けていく。
B:美濃囲い+△3二金型。先手は▲6八銀と囲っただけで▲3五歩と仕掛けていく、速度重視の作戦。これも他書にはなさそう。
C:△7二玉+△3二銀型。『速攻!ゴキゲン中飛車破り』(中村太地,MYCOM,2011.09)のp143〜p145に該当する。中村本よりもやや詳しく書かれている。
D:△7二玉+△3二金・△4二銀型。『ゴキゲン中飛車の急所』(村山慈明,浅川書房,2011.12)の4.11に該当する。



第2章は、△角交換四間飛車の対策。最近では藤井猛九段が多用している。

▲3六歩として、銀を繰り出す形を用意しておくのが本章の骨子。△2二飛と2筋の逆棒銀を狙う形には、▲3七銀〜▲4六銀としておく。後手が△4四銀〜△3三桂と対抗するのを待って、▲5六角から3四歩を掠め取る。1歩持てば、1筋と2筋から仕掛けるのが狙い。

後手が四間飛車のまま戦う場合は、△3三銀は当分固定されたままなので、3四歩は浮き駒にならず、▲5六角は狙えない。そこで、(本書の中では唯一)持久戦になる。玉頭位取りから、後手が銀冠に組み替えようとして離れ駒ができるのを待つ。



第3章は、▲石田流の対策。4手目△4二玉として角道を止めさせ、飛先を突かずに8手目△6四歩とする。いわゆる「山本流石田封じ」(『杉本昌隆の振り飛車破り,』(杉本昌隆,MYCOM,2007)の第7章で紹介)とは少し違っていて、本戦法では銀の進出を急ぐ。

先手が囲いを急げば、後手は自陣の囲いもそこそこに(△4二玉型のままで)右四間から速攻を仕掛ける。先手が▲7六飛と石田流本組を急げば、飛が近いと見て△6三銀〜△7二飛から7筋を攻める。

なお、『最新版 勝てる石田流』(鈴木大介,創元社,2011.01)の第1章Bでは、8手目△6四歩に対して(当然のように)▲5八金左としており、本書とはそもそも対応が異なる。石田流使いから見ると、本書の先手の対応はA・B両方とも違和感がある。



これまでのチャートで見てきたように、本書では一つの変化がほとんど一本道で終盤の入口まで進み、すでに居飛車優勢と思われる局面から分岐が始まる。そこに至るまでに、振飛車側から見るとやや違和感のある手があるが、そこはほぼスルーされている。

どうやら、「相手に緩手・疑問手を指させて優勢に導く」※1という手法を採用しているようだ。近年の棋書では(初心者向けの本以外では)あまり使われてなくなってきていたのだが…。一応、本書はところどころに級位者向けであるような記述がある※2ので、“アリ”かもしれない。(ただし本書の内容自体は、もう少し上のレベル向けだと思う)

わたしはこの手法はあまり好きではない。本の中では分かりやすく「先手必勝」にしやすいが、実戦で実際に使ってみるとガッカリしやすく、棋書全体への信用度が落ちるからだ。

とはいえ、本書が全然使えないというわけではない。角交換系の振飛車に対して速攻したいという需要はあるわけで、仕掛けるまでの陣形の組み方や、仕掛けてからの戦い方は参考にできる。本書と同じ局面に持ち込めるとは思わない方がよいが、「こういう指し方もある」というのは知っておくと良いだろう。むしろ、振飛車側が対策のために読む本かもしれない。(2012Mar19)


※1 ^ 特に、p91〜92の「△5六歩と垂らした歩をすぐに▲6五角(△5六歩と△7四飛の両取り)から取って優勢」というのは、ちょっと居飛車に都合が良すぎるのでは。確かにその局面では△5六歩は指したい手ではあるが。

※2 ^ p138「アマ3級を目指すには…」 p175「級位者は…」など。



【関連書籍】

[ジャンル] 
振飛車総合
[シリーズ] 
将棋最強ブックス
[著者] 
屋敷伸之
[発行年] 
2012年

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