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■渡辺明の居飛車対振り飛車T〜中飛車・三間飛車・向かい飛車編〜

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渡辺明の居飛車対振り飛車T 〜中飛車・三間飛車・向かい飛車編〜
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NHK将棋シリーズ
渡辺明の居飛車対振り飛車T
〜中飛車・三間飛車・向かい飛車編〜
[総合評価] A

難易度:★★★☆

図面:見開き3枚
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

【著 者】 渡辺明
【出版社】 日本放送出版協会
発行:2008年2月 ISBN:978-4-14-016161-6
定価:1,050円(5%税込) 215ページ/19cm


【本の内容】
第1部 中飛車 第1章 急戦はなぜダメか
 ├・▲4六銀急戦
 ├・▲4六金戦法
 └・▲3八飛戦法
第2章 居飛車穴熊の猛威
 ├・居飛車穴熊が主流戦法になるまで(△6四銀型中飛車)
 └・△4三銀型中飛車、鶴翼の陣と魚鱗の陣
第3章 ゴキゲン中飛車、居飛車穴熊を撃退
 ├・一目散に穴熊を目ざすと
 ├・▲5七銀型の穴熊
 └・ゴキゲン中飛車対超急戦▲2四歩
第4章 ゴキゲン中飛車超急戦型
 ├・▲4八銀〜▲4六銀型(戦っている駒が多い)
 ├・▲5八金右型の変化(大決戦)
 ├・決戦しない△3二金型
 └・▲7八金型の安全策
第5章 丸山ワクチンの攻防
 ├・丸山ワクチンの基本
 ├・丸山ワクチンの対策(5筋歩交換を狙う)
 ├・佐藤流の▲9六歩
 └・遠山流△7二金
第6章 居飛車▲4七銀型の新対策
 ├・危ない△4二銀
 ├・△6四歩と様子を見る
 ├・△4二金型の戦い
 └・一歩損覚悟の△3三角
第7章 ゴキゲン中飛車の実戦
 ├・H17.05.19(王位戦リーグ)渡辺−谷川(▲7八金型)
 ├・H18.10.31(竜王戦第2局)渡辺−佐藤康(丸山ワクチン▲9六歩vs遠山流△7二金)
 └・H18.11.29(竜王戦第4局)渡辺−佐藤康(▲5八金型vs△9筋連続突き)
116p
第2部 三間飛車 第1章 急戦は難解
 ├・▲4五歩早仕掛け超急戦
 └・▲3七桂型急戦
第2章 切り札は居飛車穴熊
 ├・穴熊対石田流
 ├・△5三銀型対居飛車穴熊
 ├・端攻めを急ぐ
 ├・早めの▲6八角
 └・とにかく固める松尾流穴熊
第3章 升田式石田流の復活
 ├・鈴木新手▲7四歩
 └・見直された▲4八玉
56p
第3部 向かい飛車 第1章 向かい飛車の怖さ
 ├・一直線穴熊は危険
 └・向かい飛車対居飛車美濃囲い
第2章 向かい飛車の実戦
 ├・H13.12.04(王位戦予選)渡辺−松尾(居飛穴+美濃囲い、居飛車失敗例)
 └・H16.10.07(朝日OP予選)渡辺−南(銀冠穴熊vsダイヤモンド美濃)
37p

◆内容紹介
将棋の戦型のなかで、居飛車対振り飛車は現在プロ・アマ問わず最も多く指されている戦型です。「ゴキゲン中飛車」や「居飛車穴熊」など人気の戦法の変遷をたどりながら、それぞれの戦法の特色と戦い方のコツを解説。

※2007年4月〜9月のNHK将棋講座をまとめたもの。


【レビュー】
主に動く振飛車vs居飛車の戦いを解説した本。

ゴキゲン中飛車が登場して早10年。その流行は衰えを知らず、居飛車党の棋士までが後手番用の戦法として採用するようになった。ゴキゲン対策もさまざまなものが現れたが、棋書の出版が追いついておらず、特に二段〜四段クラス向けに分かりやすく書かれた本が不足しているのが現状だ。『最新戦法の話』(勝又清和,浅川書房,2007)や『最前線物語(2)』(深浦康市,浅川書房,2006)などに書かれている内容ではどうしても理解しきれない部分もあると思う。また、石田流も鈴木新手や棒金対策の発達により復活を遂げており、「角交換を想定した力戦振飛車」は全盛の時代にある。

本書はそんなゴキゲン中飛車をはじめとした「動く振飛車」を非常に分かりやすく解説している。特に第1章の中飛車編は、中飛車vs居飛車の「互いの対策の歴史」を追う形で書かれており、構成も良い。

 ツノ銀中飛車 > 急戦
→居飛車穴熊 > ツノ銀中飛車
→ゴキゲン中飛車 >居飛車穴熊
→さまざまなゴキゲン対策

さらに解説も、指し方の狙い・思想から具体的な指し手まで、非常に明解。もともと渡辺は初著作の『四間飛車破り【急戦編】』からハイレベルな明解さで定評があるが、少し対象棋力のレベルを下げてもすごく解説が上手いと思った。ただし、あまり細かい変化には触れていないので、辞書的な使い方を求めている人には合わないだろう。

また、戦型そのものの解説だけでなく、棋力そのものをレベルアップさせるためのアドバイスも随所に書かれている。いくつかの例をメモったので、参考にしてほしい。

「正直いって、細かい手順を一手一手考えるのは後回しでもいいのです。目の前の局面がどういうものか把握し、方向性を間違えないことが重要。まず正しい枠組みを作る。そして枠組みの中で読みを進める。この枠組みのことを一般的に『大局観』といいます。」(p29)
「穴熊を考える上で重要になってくるのが、この『勝ちやすい形』なのです。駒損をしているが、自陣は穴熊が手付かずで攻めが続きそう。これは『勝ちやすい形』。玉は薄く、持駒も少ない。けれど相手の攻めが切れている。これも『勝ちやすい形』。優勢なのは間違いないけれど指し手が難しく、一手間違えたら逆転される。わずかに不利でも指し手の方向性が分かりやすい。どちらか選ぶとしたら皆さんはどうしますか?」(p37)
「『将棋に万能の戦法はない』。自分の主張だけをすべて通せるような戦法はなく、相手の陣形を見て自陣も変えていかなければならない。そんな中で進歩が生まれる。それが現代の将棋だと思います。」(p59)
「このように、何がどうなるとどちらが得で、それを実現(逆の立場から見ると阻止)するためには今何を指すべきかを考える。多くの手を読むよりも方向性が重要なのです。」(p187)
「相手が指したら『この手のねらいはなんだろう?』と考えるクセをつけていきたいもの。」(p212)

他にも第2章で三間飛車(+石田流)、第3章で急戦向飛車の解説をしているが、こちらの方は壮大な戦法史を追っているという感じではなく、ややボリューム不足かもしれない。解説はかなり良いけど。

解説自体は見開きで完結するようになっている。ここ最近のNHK将棋シリーズに比べると格段に見やすくなっている。(編集者さんがLv-upしたかな)

この「力戦振飛車」の分野は、まだまだ棋書が足りないので、本書の内容は多くの人が新鮮さを感じると思う。定跡書としては食い足りないかもしれないが、本書を読んだ後に棋譜ならべを数多くこなせば、効率的に吸収できると思う。オススメ。(2008May26)



【他の方のレビュー】(外部リンク)
ギズモのつれづれ将棋ブログ
将棋棋書ブログ
棋書解説&評価委員会
本読みの記録
三軒茶屋 別館(前半部)
Amazon.co.jp: カスタマーレビュー




【関連書籍】

[ジャンル] 
振飛車総合
[シリーズ] 
NHK将棋シリーズ
[著者] 
渡辺明
[発行年] 
2008年

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