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■豊川孝弘の将棋オヤジギャグ大全集

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豊川孝弘の将棋オヤジギャグ大全集
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豊川孝弘の将棋オヤジギャグ大全集 [総合評価] B

難易度:★☆

図面:なし
内容:(質)B(量)C
レイアウト:A
解説:B
読みやすさ:A
初級以上向き

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【著 者】 豊川孝弘
【出版社】 主婦の友社
発行:2017年10月 ISBN:978-4-07-427520-5
定価:1,080円(8%税込) 192ページ/19cm


【本の内容】
第1章 豊川孝弘七段の将棋愛 Q&A(インタビュー) 14p
第2章 将棋オヤジギャグ大全集 ・マンモス
・人名シリーズ=66ギャグ
・形勢シリーズ=19ギャグ
・指し手シリーズ=40ギャグ
128p
第3章 豊川孝弘七段の基本手筋詰将棋 20問 44p

◆内容紹介
将棋ブームで話題、将棋オヤジギャグで話題の豊川七段初の書籍!オヤジギャグ紹介はもちろん藤井四段との対局も振り返る!

藤井聡太四段の29連勝をきっかけに今や将棋ブーム。将棋オヤジギャグがテレビの将棋解説やテレビの情報番組で話題なのが豊川孝弘七段です。「同志社大学」(同飛車のこと)、「両取りヘップバーン」(両取り)、「ニフティ」(二歩)などノリと勢いで連発されるオヤジギャグは新たな将棋ファンを開拓しつつあります。

本書では、豊川七段の定番&最新オヤジギャグを約130作品紹介しています。そして、あの藤井四段との対局などを振り返るインタビューも収録。果たして藤井四段の強さの秘密とは何なのか? さらには、豊川七段オリジナル最新詰将棋(一手、三手、五手、七手詰め)も多数紹介。

この一冊で将棋が100倍楽しくなる! 将棋が100倍好きになること間違いありません。


【レビュー】
豊川の将棋ダジャレを集めた本。

藤井聡太四段の大活躍で、テレビで一般に広く知られるようになった棋士の一人、豊川孝弘七段。将棋の解説中にダジャレ(オヤジギャグとも)を連発することで有名になった。(なお、将棋ファンにはずっと以前から知られている)

将棋とダジャレは、実は古くから関係があり、特に縁台将棋や川柳、さらに格言ではよく使われていた。「その手は桑名の焼き蛤」(その手は食わない)とか、「三桂あって詰まぬことなし」(「計算」とかけている)が有名。ただし、それらを専門に扱った本は少なく、さまざまな文献に当たらなければならない。

そういう意味では、本書はこれまでになかった類の本であり、企画的にはそれだけでSである。


じゃぁ、なんでBにしたか?

実は、本書は中身がスカスカで、80pくらいの分量を192pに引き伸ばしているのである。

〔右の写真〕は、本書のメインコンテンツである第2章の見開きの例。本章では、125のダジャレ(本書ではオヤジギャグ)を1pにつき1つずつ紹介していく。ページ内の上部3/5がダジャレ(見出し)で、下部に150〜180字くらいで、ダジャレのネタ元の説明と、使用例が解説されている。

さすがに見出しに場所を取り過ぎじゃないですか?

例えば、かなり余裕のあるスペースに、実際に豊川がダジャレを使った時の局面図を挿入して「この手はちょっとイカンガーじゃないですか?」とか、NHK杯の解説でダジャレを言った瞬間の写真とかイラストとかがあれば、1pにつき1ダジャレでも良かったかと思う。本書の内容なら、見開き6ダジャレくらいが適正量だろう。(そうすると第2章はわずか42pになってしまう…)

内容自体は面白く(そう感じられるかどうかは人それぞれだが)、ずっと聞いてると(読んでると)中毒性がある。うっかり日常で言っちゃいそう(笑)。言うなら徹底的にやらないとね…。

  参考:オヤジギャグ一覧
  
(※全てのオヤジギャグはAmazon等で目次から普通に見られます)

全体的に、1970年代後半以降に生まれた人、あるいは棋士の名前を熟知してない人には全然分からんものが多いね…。まぁ、第1章によれば、解説中にオヤジギャグを言うときはスルーで全然構わないらしいので、分からないなら分からないでいいのかも。


他の章も見てみよう。

第1章の「豊川孝弘七段の将棋愛」は、主に藤井聡太四段戦を振り返るインタビュー。まだダジャレの解説もしていないのに、冒頭から「(藤井の棋譜が)ナイチンゲール」と飛ばしている。他には、「(外食禁止は)コマネチ」「藤井そうたったか」「新潮社な熟考タイプ」「驚きマンモスでした」と、普段の豊川ギャグを知らない人には「ちょっと何言ってるか分かんない」状態なのだが、第2章を読めばちゃんと分かる。

なお、本章も行間がかなり広めに取られており、タレント本のよう。


第3章の「豊川孝弘七段の基本手筋詰将棋」は、1手〜7手の易しい詰将棋が20問。

ヒント・解説にもオヤジギャグが入りまくりなのは○。ただし、オヤジギャグの意味を忘れていると、五十音索引がないため、該当ギャグを第2章から探すのが大変。

解答が裏透けしまくっているのは×。解答が極太ゴシックなので、意識しなくても完全に見えてしまう。第2章で多用した網掛けをここで使えばいいだけなのだが。

詰将棋はかなり易しく、Lv.1〜3程度。内容紹介文には「豊川七段オリジナル最新詰将棋」とあるが、どこかで見たようなものや、頭金を打つだけのようなものもあり、作品性はほぼない。「詰将棋の解説でオヤジギャグを使うとこうなる」という事例集だと思えばよい。



企画的にはすごく面白いのに、作り込みの甘さ(というか薄さ)は「藤井ブームが去る前に出版しちゃおう!」という感が否めない。レア度込みでのBなので、もし前例の本があったとしたらCです。
(※2017Nov07追記:ダジャレ満載の前例としては『公望流メリケン向飛車戦法』(横山公望,三一書房,1995)がありました。ただし、ダジャレの説明はなく、ごく自然に(?)用いられています)

第2章だけでいいから、事例の四コマ漫画を付けて、増補改訂版として作り直してくれないかな。小中学生向けの四字熟語の参考書のイメージで。それだったらもう少し高くてもまた買います。

※誤字・誤植等(第1刷で確認):
p180 ×「この▲2二歩で詰む…」 ○「この▲2二歩成で詰む…」 清水一応成ります南。
内容紹介文 ×「豊川七段初の書籍!」 ⇒ マンモス!2004年に『
パワーアップ戦法塾』を出版している。これはヘンゼルとグレーテル、阿寒湖。うっかり八兵衛?プロミス?それともまさか、ゴーストがバレタン星人?
内容紹介文 「ニフティ(二歩)など」 ⇒ 本書の中になかった功。



【関連書籍】

[ジャンル] 
その他
[シリーズ] 
[著者] 
豊川孝弘
[発行年] 
2017年

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