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横歩取りは生きている 大橋柳雪から現代まで |
[総合評価] S 難易度:★★★★ 図面:見開き3〜4枚 内容:(質)S(量)A レイアウト:B 解説:A 有段者向き |
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【著 者】 沢田多喜男 | ||||
【出版社】 将棋天国社 | ||||
発行:1981年2月 | ISBN:----- | |||
定価:1,000円 | 152ページ/18cm |
【本の内容】 | |||||||||||||||||||||||
実際の目次とは多少違います。
棋譜は計21。(総譜でないものを含む) |
【レビュー】 |
横歩取り△4五角戦法の定跡変遷について書かれた本。 △4五角戦法は、1978年に谷川浩司四段(当時)が実戦で用いたことで大流行した。アマプロ総がかりで研究した珍しい例だが、実はその起源は江戸時代にある。大橋柳雪・著の「平手相懸定跡奥義」に、ほとんどのことは書かれていたのである!しかしそのことを知る人はほとんどおらず、プロ苦心の一手が実は柳雪定跡と同じだった、ということも幾多とあったようだ。 4五角戦法については、本書を読む前に「横歩取りガイド」と「羽生の頭脳10」である程度の知識は持っていたが、どうもしっくりこなかった。本書とほぼ同じ変化が書かれているのだが、乱舞する妙手のすごさがいまひとつ伝わってこないのである。それが、本書では柳雪定跡と現代の研究を逐次比較されているのを読んでいくうちに、「この手を発見するのに○年かかったのか!」とか、プロ・アマの高段者が変化の難解さにキリキリ舞いする様が伝わってきて、新鮮な感動があったのである。妙手一つ一つの息づかいを感じたとき、やっと本書のタイトルの意味が分かった。おかげで、もうひとつ腑に落ちてこなかった△4五角戦法のツボを、気づかぬうちに修得できた。 本書出版後も研究は進み、枝葉の部分では結論が変わったところもある。それは他書で補う必要がある。しかし△4五角戦法の95%は本書でカバーしているし、集大成である「横歩取り道場 第三巻」が出版されても、本書の価値は少しも変わらない。久々に「読んで良かった!」と思えた本である。 なお、本書は普通の書店では扱ってないと思う。将棋天国社へお問い合わせを。(2002Nov13) |