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將棋ポケット文庫
No.121 将棋一年生 |
[総合評価] C 難易度:★ 〜★★★☆ 図面:見開き2枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 入門〜上級者向き |
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【著 者】 梶一郎 | ||||
【出版社】 大阪屋號書店 | ||||
発行:1956年3月 | ISBN: | |||
定価:80円 | 205ページ/13cm |
【本の内容】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
◆内容紹介(「序」より抜粋) |
【レビュー】 |
入門レベルから、序盤の仕掛けを中心に解説した本。 出版当時は、戦後からようやく棋書の発行が活発化し始めた時期で、まだまだ本による将棋の知識の拡大というのは低迷していた。入門書は特に少なく、ルールもあやふやな人が多かったと推測される。 そこで、本書では将棋のルールから始め、おおむね新聞に掲載されるプロの将棋を理解できるまでに高めようとしたようだ。 全11章で、本編は第7章の戦法解説であるが、入門者がいきなり読むには難しすぎるので、右図のような順番で読んだほうが良いだろう。 各章の内容を簡単に紹介していこう。 第一章から第六章は、入門者用の解説となる。1pで終わる章もあり、なぜ章を分けているかは不明…。 第一章は、「駒の並べ方」。初期配置の説明。 第二章は、「符号の見方」。盤面の番地について。 第三章は、「駒の運び方」。各駒の動かし方と、棋譜の読み方について。 第四章は、「将棋の規則」。禁じ手と特殊ルーツについて。 第五章は、「段級差と駒割」。ハンディキャップの付け方について。昔の基準なので、「平香交じり」など2局or3局セットのものがある。 第六章は、「将棋の術語」。将棋独自の用語(居玉、位取り、居飛車、など)と、一般でも使われるが将棋独特の意味を持つ用語(重い、捌く、縛り、頓死、必至、など)を解説。 第七章は、「駒組と開戦の時機」。本書のメインコンテンツで、圧倒的に多くのページが割かれている。 本章の目的は、序盤の基本定跡から仕掛けまでの手順と意味をマスターすることであり、全体的には相手側の指し手は甘めになってるが、駒の価値などを知らない入門者にはかなり難しい内容である。第六章までは確かに「将棋一年生」だったが、本章はいきなり「将棋五年生」か「将棋中学生」くらいになった印象だ。 (1) 両居飛車戦 入門の知識 (※現代での「相居飛車」のこと) (2) 双腰掛銀戦法(歩交換) (※「相掛かり相腰掛銀」のこと) (3) 棒銀の速攻法 (角換わり▲棒銀) (4) 双腰掛銀(△3三角戦法) (阪田流向飛車の出だし〜角換わり相腰掛銀〜木村定跡の変化) (5) 相懸り戦の初歩 (横歩取らずからの旧相掛かり。双方5筋の歩を突いている) (6) 横歩取り戦法の概略 (△2三歩型) (7) 相矢倉の戦法 (角換わり模様から、後手が角交換せずに、角道を止めたときの変化。▲棒銀と▲四手角の成功例) (8) 振り飛車戦法の心得 (持久戦を推奨している) (9) 四間飛車対居飛車戦 (▲4六銀-3七桂-2六飛の攻め筋) (10) 中飛車と居飛車 (11) 石田流の戦い方 (△石田流で、穏当に本組が組めた場合の攻め筋をいくつか) (12) 急戦型向飛車戦法 (▲7八銀型急戦向飛車。玉型は早囲い) 第八章〜第十一章は、駒の手筋と終盤に関するもので、駒の上手い使い方全般の話になる。 第八章は、「駒の性能と特徴」。駒別の易しい手筋について。飛と角は概説のみで、使い方は多少で解説。駒の相対価値には言及なし。第七章の前に、本章を先に読んでおきたい。 (1) 歩 (4例) (2) 香 (2例) (3) 桂 (4例) (4) 銀将 (4例) (5) 金将 (4例) 第九章は、「詰の基礎知識」。詰将棋というよりは、詰め手筋の解説。5〜7手くらいが多い。「詰み」の概念は既に理解しているという前提である。 第十章は、「寄せ手筋」。囲い崩し全般を解説。 第十一章は、「必至、縛りの要領」。必至問題を解説。 【総評】 入門用とするにはちょっとバランスの悪い一冊。読むのは第7章だけに絞り、当時に指されていた戦法をざっくり理解するための本、と割り切ると良いだろう。例えば、2018年現在に対振飛車の形として部分的に復活した▲4六銀-3七桂-2六飛型の仕掛けや、角換わり模様から角交換しなかった場合の展開などは、参考になる部分もあるかと思う。 ※誤字・誤植等(1956年版で確認): p87 D図 △1三香が抜けている p120 ×「中車飛」 ○「中飛車」 p132 ×「4五銀は、」 ○「6五銀は、」 p147 ×「▲7八玉」 ×「▲3八玉」 p164 ×「龍玉となり」 ○「龍王となり」 p170 ×「第八章」 ○「第九章」 p176 ×「△7一角」 ○「▲7一角」 p178 ×「▲6二角成」 ○「▲6一角成」 |