中原誠の 解いてごらんよ詰将棋 | [総合評価] B 難易度: (前半)★★☆ (後半)★★★★ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:C 中級〜向き |
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【著 者】 中原誠 【編】 日本棋道協会 | ||||
【出版社】 フローラル出版 | ||||
発行:2001年12月 | ISBN:4-930831-38-5 | |||
定価:1,300円 | 224ページ/19cm |
【本の内容】 |
・詰将棋=計200問+例題9問 詰将棋のルール=4p(例題3問) 詰将棋を解くコツ=10p(例題6問) 初級問題(3手詰〜5手詰)=70問(3手詰=40問/5手詰=30問) 上級問題(5手詰〜13手詰)=130問(5手詰=5問/7手詰=34問/9手詰=68問/11手詰=22問/13手詰=1問) ◆内容紹介 上級問題を百三十問、その中から切り取った3手詰を40問、5手詰を30問、初級問題として用意。 |
【レビュー】 |
詰将棋問題集。 まずは下の2つの図面を見てほしい。 左図が表紙の問題。パッと本筋が見えれば易しいかもしれないが、王手の候補がたくさんあって結構悩まされる。特に「取れば詰みだろう」と▲4一金や▲2一金から考えた人や、無難な王手の▲4二金から考えた人は、かなり迷路に入ってしまう。そこで諦めて(?)裏表紙を見ると、右図の問題が載っている。易しい3手詰だ。では、左図から右図に持っていくには…と考えれば、もうお分かりですね。 このように、本書は二部構成になっていて、前半の初級問題(3〜5手詰)は後半の上級問題の収束部分だけを切り取った問題になっている。上級問題には「第○問を参照」とあり、分からないときは該当する初級問題を先に解けば、ぐっと難易度が下がる。もちろん、初級問題も立派な詰将棋になっており、3〜5手詰としてはそこそこの難易度がある。なお、上級問題には初級問題とリンクしていないものも含まれている。 わたしは初級問題をコンプリートしてから上級問題に挑んでいった。初級問題から上級問題まで、問題は手数順に並んでいるが、リンクしている問題の並び順はランダムなので、上級問題に達するころには初級問題の内容はすっかり忘れており、結局もう一度初級問題を解く羽目になった(汗)。 しかし、リンク先の初級問題を解くことで、難度が飛躍的に下がるのは間違いない。詰将棋を切り取ってもう一問という手法は、『勝つための詰将棋81』(桑原辰雄,MYCOM,1994)などで実践されており、本書が初めてではないが、3手5手まで切り取ったのは面白い。詰将棋の解き方としては邪道な気もするが、わたしのように7手詰め以上になるとなかなか解けなくなり、投げ出しがちになってしまう人にはなかなかよい構成だと思う。 ただし、普通に7手詰め以上を解ける人にとっては、前半の初級問題は問題数を水増ししているだけのように感じられるかもしれない。 本書は個人的には結構面白かったのだが、残念なのは解説のショボさ。冒頭で、例題9問の説明をしているときは非常に詳しく分かりやすい解説で、「これは神解説の詰棋書か?!」と色めきだった(笑)が、本編の解説は必要最低限レベルだった。 ※右図の3手詰でも難しかった方は、本書の対象棋力に達していませんので、『3手詰ハンドブック』(浦野真彦,日本将棋連盟,2005)などから始めてください。 |