■反撃する現代四間飛車 |
マイナビ将棋BOOKS 反撃する現代四間飛車 はじめ先生と学ぶ新研究 |
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著者 | 鈴木肇 中村太地/推薦 |
出版社 | マイナビ出版 |
発行年月 | 2024年1月 |
ISBN | 978-4-8399-8528-8 |
定価 | 1,804円(10%税込) |
ページ数 | 224ページ |
本の高さ | 19cm |
[総合評価] | B |
難易度 | ★★☆ 〜★★★★ |
対象棋力 | 中級〜有段向き |
図面 | 見開き3枚 ・問題図1枚 ・解説図2枚 |
内容 | (質)A(量)B |
レイアウト | A |
解説 | B+ |
読みやすさ | B+ |
【本の内容】 |
第1章 対居飛車急戦 テーマ1 △6五歩早仕掛け テーマ2 ポンポン桂 テーマ3 棒銀 テーマ4 斜め棒銀 |
90p |
第2章 対居飛車持久戦 テーマ5 居飛車穴熊 テーマ6 ミレニアム囲い テーマ7 はじめ実戦 |
126p |
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【レビュー】 |
次の一手形式で四間飛車の戦い方を解説する本。 |
第1章は、対居飛車急戦。基本的には▲四間飛車vs△居飛車急戦となっており、扱うテーマは4つ。 テーマ1は、△6五歩早仕掛け。〔下図〕が基本形で、先手が振り飛車なので▲3六歩も突いてあることが特徴。 以下▲4七金△6六歩▲同歩△8六歩▲同歩△6五桂…と定跡の進行で進んだ時に、▲3五歩や▲7五歩を入れるタイミングが「はじめ先生の研究」となる。〔下図〕はその一例。 △6五歩早仕掛けは、仕掛け以降の変化が膨大で、アマでは実戦的に居飛車が勝ちやすい。振り飛車としては、棋力によって以下のようなことを意識しながら読み進めると良いだろう。 ・中級者→中盤の手の流れを体感する ・上級者→▲3五歩や▲7五歩のタイミングを習得する。 ・有段者→はじめ先生の中終盤をマスターする。 |
テーマ2は、ポンポン桂。 ポンポン桂は、居飛車が桂を犠牲にして飛車先突破を狙ってくる戦法。 居飛車が△8六歩と飛車先を突き捨ててから△6五桂とポンと跳ねてくるシンプルな急戦。 〔下図〕が基本形。 ポンポン桂は、載っている戦術書が少なく、どう対応したらいいかわからない人も多い。はじめ先生の研究▲6九飛!〔下図〕をしっかりマスターしよう。 |
テーマ3は、棒銀。 棒銀は古くから指されており、定跡書も多いが、プロの攻防は複雑で、定跡の先からどう指したらよいか急に分からなくなりがち。本書の「はじめスペシャル」〔下図〕は試してみる価値が高いと思う。 |
テーマ4は、斜め棒銀。 ▲四間飛車では、先後の差で▲4六歩が入ることが多く、斜め棒銀は居飛車の作戦として一理ある。(▲4六角が打てず、振り飛車の迎撃手段が制限されている) 本書では、▲4五歩〔下図〕として、角打ちのスペースを空ける展開を推奨。▲6六角の筋も威力が増す。 半面、▲4五歩型は4六の空間が弱点になることもある。準急戦の展開の時に▲4七銀〔下図〕から木村美濃へ組み替えるのが「はじめ流」。 △4二金上と▲4六歩の交換がない形での斜め棒銀〔下図〕では、なんと▲同歩!と取って銀を五段目に進ませてしまうのが「はじめ流」。大丈夫なのだろうか?! |
第2章は、対居飛車持久戦。こちらも基本的には▲四間飛車vs△居飛車持久戦となっており、扱うテーマは3つ。 テーマ5は、居飛車穴熊。1筋を突き合った現代型の居飛穴〔下図〕に、藤井システム調で仕掛けていく。 穴熊が完成する前に、角の利きを活かして攻めて押し切りたい。 テーマの前半は、藤井システムでの攻めのバリエーションを解説。 後半は、振り飛車の攻めを警戒する△2四歩に▲2六歩〔下図〕が「はじめ流」。相手が何で来ようが、穴熊が完成する前に仕掛けよう。 |
テーマ6は、ミレニアム囲い。 ミレニアム対策は、▲5七金〔下図〕〜▲4六金で△4四角にプレッシャーをかける。 中飛車に振り直しての5筋攻めと、引き角からの3筋攻めを狙っていく。裏技として袖飛車もある。 振り飛車からの急戦と、しっかり囲わせて戦う作戦のどちらもアリ。桂頭を狙うのを意識しておこう。 |
テーマ7は、「はじめ実戦」。2023年6月13日の加古川青流戦での▲居飛車穴熊vs△振り飛車ミレニアムが題材。〔下図〕 このテーマは、これまでとあまり関連はなく、内容も難解なので、実戦の流れだけを見ておけばよい。 |
〔総評〕 本書は、先手四間飛車なら同一局面が比較的発生しやすそうだが、「はじめ流」の手によってはかなり奥まで研究していないと指せないようなものもある。 手順を暗記するというより、 ・局面の考え方 ・手の流れ ・攻め・受けの手段(「このような選択肢も考えられそう」) を身につけるようにしよう。 棋力によって役立ちそうな範囲が限定されるので評価Bとしているが、本書の戦型で困っているものがあるなら、読んでみる価値は十分にある。「はじめ流」を取り入れてみよう。 (2024May29) |
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