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■妙手に俗手、駒余りもあり!実戦詰め筋事典(マイナビ将棋文庫)

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妙手に俗手、駒余りもあり!実戦詰め筋事典(マイナビ将棋文庫)
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マイナビ将棋文庫
妙手に俗手、駒余りもあり!実戦詰め筋事典
[総合評価]
A

難易度:★★
   〜★★★☆

見開き1問
内容:(質)A(量)A
レイアウト:A
解説:B+
解答の裏透け:?
中級〜上級向き

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【著 者】 本間博
【出版社】 マイナビ出版
発行:2018年12月 ISBN:978-4-8399-6791-8
定価:1,339円(8%税込) 400ページ/15cm


【本の内容】
・本書の問題について=4p
第1章 一段玉 (第1問〜第27問)=27問
第2章 二段玉 (第28問〜第68問)=41問
第3章 美濃・銀冠系 (第69問〜第102問)=34問
第4章 穴熊系 (第103問〜第113問)=11問
第5章 矢倉系 (第114問〜第129問)=16問
第6章 舟囲い系 (第130問〜第138問)=9問
第7章 二枚金系 (第139問〜第147問)=9問
第8章 端玉 (第148問〜第166問)=19問
第9章 三段玉・中段玉 (第167問〜第186問)=20問

◆内容紹介
本書は一言で言えば「余詰、駒余りありの詰将棋問題集」です。

詰将棋を解くことは、読む力をつけ、手筋を覚える意味でも確かに有益です。しかし、実戦では詰将棋のように華麗な捨て駒の連続で、しかも駒も余らずに相手玉を詰ませて勝つことはまずありません。
守備駒を清算したり、駒を取ったりの俗手で詰めることがほとんどなのです。

例えば、最も基本的な詰め筋の一つである「一間龍」の詰みも最後が駒余りになるため、詰将棋の問題としては成立しません。よって、詰将棋問題集には一間龍の手筋が載ることはありませんでした。

そこで本書では詰将棋のルール内では出題できなかった実戦に現れやすい形を多数出題しています。具体的には駒取りや駒余り、また同手数で詰む変化もある問題で、間違いなく実戦に役立つ、応用範囲の広い詰め筋を紹介しています。

本書には本間博六段の「本当に将棋に役立つ詰め筋を身につけてほしい」という強い願いが込められています。

どのページをめくって、どの問題を見ても「あっ!これ実戦で見たことある!」「この形、詰むのか!」と驚くこと請け合いです。そして「次は詰ますぞ!」と思うことができるはずです。


本物の終盤力を身につけるためにあえて詰将棋のルールを破った新感覚問題集、ぜひこの詰め筋をすべてマスターして実戦で生かしてください。


【レビュー】
駒余りを許容した詰将棋問題集。

詰将棋のルールに、「持ち駒を余らせない」というものがある。これは、「詰め上がりで駒が余る場合と余らない場合があるときは、受け方の最善の対応は余らない方とする」ということで、「余る方」は誤答となる。逆に、出題者は「最善のときに余らない」ように問題を作る必要がある。

ただし、実戦の詰め力アップのために詰将棋に取り組む人にとっては、ここで一つ問題がある。実戦の詰めでは、どうしても駒が余ってしまう詰め筋があるのだ。

簡単な例は〔下図〕で、▲6二龍に△7二金と合駒した局面。この玉を詰めるためには▲7一銀しかないが、以下△9二玉▲7二龍で、合駒を取って持駒が余ってしまう。

 ⇒ 

「詰将棋のルール」に基づいた詰将棋では、このような実戦の詰め手筋の一部が登場せず、経験値が不足したままになるのである。

また、詰将棋の出題者は平凡な俗手が続く詰め手順は価値が低いとして、あまり発表しない傾向にある。



そこで、本書では「駒余り」も「俗手」も「余詰」(作意以外の詰め手順)も許容し、できる限り実戦の詰め力アップに役立つものを目指して出題している。

また、各章のタイトルにあるように、実戦の囲いをイメージした図を多数出題している。「駒余り許容」なので、「詰将棋」としては無駄な駒も配置されている。



〔問題の傾向〕
・問題図ではヒントは1行。手数表示はなし。難易度は★1〜★5の5段階。ただし、★4や★5でも難解なものは少ない。

・解説は130〜150文字くらいで、まずまずの詳しさ。

・本書では余詰を許容しているため、解説順以外にも詰むルートが複数あることが多い。基本的には、駒余りであってもなるべく長い手順を一応正解としているとみられる。別ルートで詰むかどうかは自力で考える必要がある。

・手数は最初は3手から、長いもので15手くらい。各章ではだいたい後半の方が難易度が上がるが、手数と難易度は直接関係なく、15手詰でも難易度★2だったりする。


〔実際に解いてみた〕
・俗手のみで詰む問題はほとんどなく、たいてい少なくとも一つは好手がある。

・本当の意味で「非常に実戦的」で、実戦でこういう筋で詰ませたい、というものがたくさんある。

・逆に、「普通に詰将棋」というものも交じっていて、いつも俗手という訳でもない。いつもの詰将棋なら易しい5手詰でも、実戦的なものの中に手数不明で交じってくるとなかなか大変。


〔総評〕
実戦での詰め力アップという意味では、とてもトレーニング効果のある一冊です。本書を一通りこなした後の実戦で、今までのわたしではまず無理だった筋で詰ませることができました(実際に詰ませたのは感想戦で、でしたが(汗))。

また、手数がやや長くても平易な手が続くこともあり、手数アレルギーがある方もトライしてみる価値があるでしょう。

暗記するという訳ではありませんが、本書の筋がすぐに浮かぶまで周回するのがオススメです。わたしも2周目トライ中です。

(2020Jan11)



【関連書籍】

[ジャンル] 詰将棋
[シリーズ] マイナビ将棋文庫
[著者] 本間博
[発行年] 2018年

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