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マイナビ将棋BOOKS これからの相振り飛車 |
[総合評価] A 難易度:★★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 有段向き |
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【著 者】 西川和宏 | ||||
【出版社】 マイナビ | ||||
発行:2014年6月 | ISBN:978-4-8399-5099-6 | |||
定価:1,663円 | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||
・巻末チャート=3p |
【レビュー】 |
相振飛車の戦術書。 相振飛車は、序盤から工夫ができて、個性が出せる作戦である。飛車を振る位置、玉型、端歩の関係、攻め重視か受け重視か…など、さまざまな選択肢があって、同一の将棋にはなりにくい。 その中でも、先手が振飛車志向で3手目▲6六歩として、後手が「対抗形にはしません」と4手目△3二飛とするのはよくある形で、本書ではこの形一本に絞っている。最近(2014年時点)は、「3手目▲6六歩が受け身になりやすい」との理由で減少傾向にあるが、「西川流」をバックボーンとした先手の積極的な駒組みでリードを奪える可能性がある。 本書は、3手目▲6六歩・4手目△3二飛の相振飛車での、先手の新しい駒組みを模索する本である。 本書の内容を、チャートを添えながら紹介していこう。 |
序章は「本書を読む前に」で、本書の前提となる基礎知識の紹介。 ・本書の駒組みは、ノーマル振飛車党か、矢倉/相振り党にオススメ。 ・相振飛車で△三間飛車が人気なのは、美濃囲いで堅守速攻がしやすいから。 ・一方、▲向飛車は囲いに柔軟性があり、攻めに厚みがある。よって、ゆっくりした展開では作戦勝ちしやすい。 ・西川流〔右図〕(p14、8筋を伸ばして四間飛車)を見せて、後手の駒組みを制限し、▲向飛車の作戦勝ちを狙う。 |
第1章は、▲向飛車vs△三間飛車、△速攻型。▲8六歩に△7二銀を急ぐ形。 第1章・第2章では△三間飛車+美濃の優秀性を見ていく。そして、第3章・第4章で「西川流」で△7一玉型美濃を牽制する指し方を調べる。 「西川流」において、序盤で(オーソドックスな▲7八銀〜▲6七銀と6六歩を守る手を入れずに)▲8五歩〜▲8八飛と突っ張る理由は、p18〜を参照。手早く8筋歩交換を見せ、▲8五飛と引いた形が、後手の仕掛けを制限しやすくなる。 |
第2章は、▲向飛車vs△三間飛車、持久戦。後手が△7二銀を急がず、ゆっくり駒組みする。先手は▲7八銀からオーソドックスに指してみる。 この場合、△3五歩が早いので、△3六歩▲同歩△5五角の筋が怖いが、飛角交換を恐れなければ大丈夫。すばやく3筋歩交換して△7二銀と囲う将棋が本線となる。本章の指し方は、△三間飛車+美濃の優秀性がよく出ている。 なお、本章に限らないが、ときどき分岐のところで各手の長所・短所が明記されているのが本書の工夫となっている。 |
第3章は、▲四間飛車vs△三間飛車、急戦。第2章の▲7八銀〜▲6七銀を先にする指し方では先手が主導権を取りにくいので、先手は銀も飛も動かさずに▲8六歩〜▲8五歩と突っ張る「西川流」を採ってみる。 これに対し、後手が△3六歩から咎めに来るのが本章。最強の順で戦うと、玉が中空へ飛び出す恐い変化もあるが、先手有望と見られている。研究では先手が凌ぎ切れているが、実戦的には先手が勝ちにくいようにも思える。後手も怖いので、あまりやってこられることは少ないかも? |
第4章は、▲四間飛車vs△三間飛車、持久戦。第3章の急戦で後手が上手く行かないとなれば、持久戦になるのは自然。これならひとまず西川流の主張が通ったことになる。 後手がおとなしくして△7一玉型美濃に組むなら、先手は矢倉を構築して作戦勝ちを狙える。後手が先手矢倉を阻止しようとするなら、代わりに△7一玉型美濃を放棄することになる。 この作戦が上手く行けば、3手目▲6六歩の相振飛車が再燃し、その影響でノーマル振飛車が復権する可能性もある。 |
第5章は、「対穴熊」。これまでの章では後手が美濃囲いを目指してきたが、本章では後手が穴熊を目指す。先手は西川流ではなく、△3五歩に▲7八銀という、第2章の指し方になる。西川流に穴熊ならどうなるかも知りたかったところではある。 対穴熊には金無双で速攻が多いパターンだが、本章では矢倉や美濃で戦う作戦を解説。 西川流自体がかなり突っ張った作戦なので、序盤は指すこなすのが難しいかもしれないが、難所を無事に通り抜ければ、これまで苦労していた展開から抜け出せる可能性がある。 先手でノーマル振飛車を指したいが、相振飛車にされたときに困っているという人は、ぜひ一度試してほしい。(2019Jan13) |
※誤字・誤植等(初版第1刷で確認): p82 ×「本譜はB△3六歩…」 ○「本譜はA△3六歩…」 p121 ×「▲4七成香」 ○「△4七成香」(パルテノンさんご指摘thx!) |