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マイナビ将棋BOOKS よくわかる横歩取り |
[総合評価] A 難易度:★★★☆ 〜★★★★ 図面:見開き5〜6枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 野月浩貴 | ||||
【出版社】 マイナビ | ||||
発行:2011年12月 | ISBN:978-4-8399-4116-1 | |||
定価:1,470円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||
・【コラム】(1)8五飛が生まれた日
(2)8五飛の黎明期 (3)悪手と勝負手 (4)温めていた構想(1)
(5)温めていた構想(2) (6)△5二玉型をやってみて |
【レビュー】 |
横歩取りの定跡書。 横歩取りには、大きく分けると「互いに居玉で決戦する超急戦」と「ある程度駒組みを行うもの」がある。また、△3三桂戦法のようにどちらにもなりうるものもある。プロで主流なのは、「ある程度駒組みを行う」ほうで、現在も盛んに戦われている。 本書は、横歩取りのうち、ある程度駒組みを行う△3三角戦法について、分かりやすく解説した本である。 本書の特徴を列挙してみよう。 ・横歩取り△3三角の基本的な定跡・手筋を、広く浅く、分かりやすく解説。 ・視点は先後公平。 ・ほぼ互角の局面では、野月が持ちたい側が書かれている。 例)「私は先手を持って戦ってみたい局面です」(p19) ・コラムは「△8五飛と野月」のミニ自叙伝になっていて、リアルさと、野月の「横歩取り愛ゥ」が感じられる。 ・互角の局面では、後の指し手の方針や狙い筋がよく書いてある。 ・横歩取りは指し手の意味が分かりにくいことが多いが、本書ではしっかり指し手の意味を言語化している。 例1)「▲4六歩は、これから好形を作るので、それが嫌なら攻めてきてください、という手です」(p111) 例2)「後手の△2五歩は、将来的に先手玉が中段に逃げ出した時に、この歩があることにより詰む、詰まないに影響するとの意味です」(p123) ・横歩取りを指しこなすコツや、将棋上達の考え方も言語化している。 例1)p20「端攻めなどは持ち駒の歩の枚数が重要な要素となるので、歩を使わせることは大事です。」 例2)p49「「手に困ったら△2五歩」が△8五飛型の格言」 例3)p63「激しい順は毎回必ず読みに入れて、チャンスと感じたら飛び込みましょう」 例4)p104「横歩取りは盤面全体が戦場となることが多いので、破られてもよい場所とダメな場所をしっかりと把握しておく」 ・図面の下にときどき補足コメントがついている。 載っている戦型は、ほぼ登場順。(山ア流(旧)だけは、新山ア流とのカラミで後ろの方に載っている) ・1970年代に多かった「内藤流空中戦法」(△8四飛型、相中住まい) ・1990年代の「横歩取り中原流」(△8四飛+中原囲い) ・1997年〜2010年ごろの「△8五飛戦法」(△8五飛+△4一玉型中原囲い) ・2010年ごろ〜最新の「△8五飛+△5二玉型中原囲い」(新山ア流対策) ・最新の「△8四飛+△5二玉型中原囲い」(どうせ△8四飛と引くなら、最初から引いておく) いつものようにチャートを添えておこう。 「プロの横歩取りを見てても意味がよく分からない」という人にはオススメの一冊。個々の指し手の意味も、戦型選択の背景も「よくわかる」。(2012Jan24) ※誤字・誤植(初版第1刷で確認): 初版第3刷でも未修正だそうです。(パルテノンさんthx!) p22に「中原囲いとは、その名の通り、中原誠十六世名人考案の囲い」とあるが、形自体は江戸時代から存在している。中原が相掛かりや横歩取りで組み合わせて好成績を挙げたため、「中原囲い」と呼ばれるようになった。 p46 ×「第1章の22頁でも解説しましたが、中住まいは…」 ○「第1章の14頁でも解説しましたが、中住まいは…」 p22では中原囲いについて解説している。 p93 ×「先手玉は詰まないので、後手の勝ちです。」 ○「先手玉は詰まないので、後手の負けです。」 p135 ×「第91図(130頁)と…」 ○「第91図(132頁)と…」 (2013Nov19名無しさんより指摘あり) p162 ×「第119図(158頁)の図面。」 ○「第119図(160頁)の図面。」 (初版第3刷,パルテノンさんご指摘thx!) |