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週将ブックス 裏定跡の決め手 |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)A レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【編】 週刊将棋 | ||||
【出版社】 毎日コミュニケーションズ | ||||
発行:2007年8月 | ISBN:978-4-8399-2552-9 | |||
定価:1,449円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
◆内容紹介(MYCOMホームページより) |
【レビュー】 |
さまざまな手筋・戦法と、囲いについて解説した本。 第1章は、7筋〜9筋に着目した手筋や戦法。1筋〜6筋について書かれた『手筋の裏ワザ』の続編部。格言と絡めた手筋・秘手っぽい手筋と、奇襲・B級戦法的なもの(現在「週刊将棋」に連載中の“ワンダー戦法”に似た感じ)がごった煮になっている。6筋〜9筋は盤面を左右反転してしまえば4筋〜1筋と同じなので、本書では主に「先後の関係で、盤面の左側で発生するものが多い手筋・戦法」を中心に解説してある。 第2章は、囲いに関する解説で、書き下ろし。ノリは第1章と同じで、1テーマにつき3例4ページが基本。 囲いを紹介する本や、囲い崩しを解説した本はたくさん出ているが、「ここが違うと堅さが変わってくる」「こういう組み替えを意識していく」という視点で書かれたものはあまりない。むしろ、第2章だけで一冊出してしまったほうがよかったんじゃないだろうか?“裏定跡本の一部”として埋没させるには惜しい。 第1章・第2章とも、お役立ち度は玉石混交で、「これは知っ得!」から「相手がミスらなきゃダメじゃん…」というものまでさまざま。しかし、どれも一度は読んでおきたい内容だ。要は、書いてあることを妄信せずに、自分で取捨選択をすればよいのである。 「アマ四段同士の実戦から取材」というものが多く、ターゲットは二段〜四段くらい。内容的には非常に面白く、読み応えのある一冊だ。 ただ、個人的にはタイトルに不満がある。本書は一応『手筋の裏ワザ』の続編ということになっているが、この「裏定跡の決め手」というタイトルはおかしい。続編であることが全く分からないし、本筋から少し外れた裏定跡や決め手について書かれたところは少ない。むしろ「あまり知られていないが、知っておくと得をする(かもしれない)知識」について書かれた本だ。確かに本棚にあれば手を伸ばしてしまいそうなタイトルではあるが、読者を混乱させるような書名はやめてほしい。内容が面白く、読みやすさも少しがんばった(※1)だけに、余計そう思う。(2007Nov22) ※1:元の連載では、1講座につき3つの局面を解説していることが多かった。これを4pに編集する際、どうしても2つめの話がページをまたいでしまう。同じような講座を書籍化した『すぐに使える将棋の手筋』はこのまたがった部分が異常に読みづらかったが、本書ではなるべく棋譜部分がページをまたがないようにしているため、読みやすさは格段に向上している。 ただし、第1章の後半はあまり工夫がなく、読みづらかった。担当者が違うのだろうか? |