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初段への近道 フィードバック方式 定跡次の一手 |
[総合評価] A 難易度:★★★ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:B 解説:A 中級〜上級向き |
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【監 修】 深浦康市 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:2005年12月 | ISBN:4-8197-0382-X | |||
定価:1,575円(5%税込) | 214ページ/21cm |
【本の内容】 | |||||||||
・次の一手問題=計200問
◆内容紹介(「本書の手引き」より抜粋) |
【レビュー】 |
初段を目標にする人が対象の次の一手問題集。 本書の最大の特徴である“フィードバック方式”とは、次のようなもの。 ・似た手筋・思想・考え方を用いた2問がセットになっている。 ・上段が初段クラスの問題、下段がやや易しい問題。 ・上段が分からなければ下段にチャレンジし、もう一度上段に戻る(フィードバックする)と、さっきよりも分かりやすくなっている。 “本書の手引き”には、「上段を10分考えても解けなかった場合のみ、下段に取り組む」と書いてあるが、もちろん上段が解けた場合も下段に取り組んで構わない。人によっては、下段を先に解く方が効率的だろうし、下段問題だけを先にすべて解いてしまうのもアリだ。この辺は各人が好みの学習法を採用してほしい。 問題のジャンルは、「序盤感覚編」「仕掛け編」はまさに“定跡次の一手”。定跡書によく載っていそうなものから変化手順まで、「初段クラスならマスターしたいもの」が厳選されている。とはいえ、単に定跡の知識を問う「ここはこう指すところです」的なものは少なく、「良くするための考え方重視」になっている。「寄せ手筋編」はいわゆる“終盤の定跡”で、60問中39問(65%)が部分図の問題。残りは全体図問題で、自玉との兼ね合いを考える必要あり。 問題のレベルは初段クラスにちょうどよい程度。難問奇問は皆無。三手の読みを問うものがほとんどで、多くても9手先くらいが読めればOK。また、問題のタイトルが強力なヒントになっているので、これを見れば難易度はグッと下がる。5級以下の人でも、最初の一手にたどり着けると思う。見たくない人は、半開きにすれば見えないようになっている。 解説は、単に正解の手順だけでなく、変化手順や失敗手順、考え方や思想・構想まで多彩で詳しい(MYC○M系の問題集とはえらい違いだ)。この解説は金子タカシ氏を髣髴(ほうふつ)とさせるが、本当の執筆者は誰なのだろうか?(深浦八段は“監修”) 「フィードバック方式」と聞いたとき、ゲームブック(Wikipedia)のようなものを想像していた。つまり、選択肢がいくつかあって、選んだ答えによって次に解くべき問題がどんどん変わっていき、レベル合わせをしながらステップアップしていくようなものかと。実際の本書はそこまで凝ったものではなかったが(笑)、全体の出来やバランスが非常に良いため、「使えるトレーニングブック」になっていると思う。税抜き1500円は問題集としては高いが、この質・量なら決して損をしたとは思わない。 |