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谷川の21世紀定跡(2) 横歩取り△8五飛戦法 |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 谷川浩司 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:2002年3月 | ISBN:4-8197-0367-6 | |||
定価:1,300円 | 213ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
横歩取り△8五飛戦法の定跡書。 …といっても、△8五飛戦法の全体をカバーしているわけではなく、▲6八玉型と角交換型だけに絞ってある。この2つは、先手側から少し攻めやすく、谷川が好む形だということだ。中でも『横歩取り△8五飛戦法』(中座真,日本将棋連盟,2001.02)に載っていなかった「松尾新手△5五飛」と「角交換型▲5六角急戦」は横歩党必見。 各章の内容を、チャートを交えながら紹介していこう。 第1章のプロローグでは、横歩取りの歴史と△8五飛戦法登場の経緯が書かれ、読み応え十分。 第2章の▲6八玉型は、▲7八金が浮き駒になるのを防ぎ、簡素な構えでそこそこ堅く、谷川好みの攻撃型の陣形だ。反面、左銀を▲6八銀と使えないため、5七の地点がかなり薄い。 下図の基本図から、松尾新手△5五飛(角の利きに飛を出る)と従来の定跡である△7五歩or△8六歩に分かれる。(従来といっても、出版時点では△8五飛戦法の登場から3年くらいしか経っていないが) 第3章は、角交換型。「山ア流」とも呼ばれる。▲8七歩を保留することで△8七飛そのものを封じてしまおうという作戦だ。2筋と8筋の歩のタタキから▲5六角を絡める急戦が手ごわい。ちょっとした形の違いで成否も応対も変わってくるので、後手番側は特に注意が必要だ。 全体的に質は高い。しかし、定跡編の情報量がちょっと少ない。「△8五飛戦法」とタイトルにつけるからには、自戦記を減らしてでも▲5八玉型や『横歩取り△8五飛戦法』以降の新展開を解説してほしかった。(2003Jun16,2011Mar04追記) |