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必殺!カニカニ銀 究極の二枚銀戦法 |
[総合評価] A 難易度:★★★☆ 図面:見開き3〜4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級〜有段向き |
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【著 者】 児玉孝一 | ||||
【出版社】 日本将棋連盟 | ||||
発行:1992年2月 | ISBN:4-8197-0309-9 | |||
定価:971円 | 222ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
【コラム】アワを食うカニカニ銀(1)(2)(3)(4) |
【レビュー】 |
カニカニ銀の定跡書。 右図がカニカニ銀の典型的な組み上がり図。主に矢倉模様のときに使える。『将棋格言豆事典』によれば、“これほど序盤の格言に反している戦法は他にない。「居玉は避けよ」「玉飛接近すべからず」「玉の守りは金銀三枚、攻めは飛角銀桂」という格言を無視している。(中略)それでもこのカニカニ銀は戦法として成り立っており、優秀だとも言われている。(中略)カニカニ銀は100年に一度の新戦法(後略)”。確かにある意味、スゴイ戦法である。最近でこそ、藤井システムや高田流など居玉も辞さない戦法はいくつかあるが、ここまで居玉の良さを引き出した戦法はカニカニ銀だけだと思う。アマにも使いやすい点も魅力的だ。 カニカニ銀基本的な狙いは、飛角銀銀桂による中央突破。ここまではいろいろな棋書で紹介されるので、わたしもよく知っていた。しかし、本書を読んで「カニカニ銀の最大の特長は、どこでも戦いを起こせること」であると理解した。自陣の二段目が素通しなので飛車が自在に動けるし、角も9七→7五→3九などという具合に縦横無尽に動けるのだ。そのため、盤上全体が戦場になり、相手はかなりの苦労を強いられるハメになる。居飛車党で横歩取り超急戦などが好きな人にはピッタリの戦法だ。多くの本では中央突破の成功例しか書かれていないので、しっかりマスターしたい人には本書は必携。 本書は定跡化しにくいカニカニ銀を上手くまとめていると思う。わたしの場合、先に実戦譜(第3章)を並べてから、第2章→第1章と読んでいったのだが、これがドンピシャで、非常に読みやすく感じた。特にスゴイところがある訳ではないが、戦法の優秀性と使いやすさと、本の構成バランスの良さを高く評価したい。 欲を言えばもう少し実戦譜がほしかった。この手の乱戦は、たくさん棋譜並べした方が感覚がつかみやすいと思うのだ。1棋譜あたり1pくらいでいいから、児玉のカニカニ銀全実戦譜を載せてくれたら最高だったのだが。(2003Aug23) |