文字通り、谷川vs羽生100番勝負の実戦集(正確には106番)。谷川浩司と羽生善治の公式戦100対局達成の記念に編纂されたもの。
プロの公式戦で同一カード100局というのは大変な偉業である。これまでに達成されたのは大山vs中原、中原vs米長など数えるほどしかない。ある時代に双璧として君臨し、タイトル戦で何度も顔を合わせなければまず達成できない数字である。本書の「谷川vs羽生」はかなり早い100局達成であり、現在も両者ともにバリバリのトップ棋士なので、初の同一カード200局が期待されている。(2004年8月時点で既に140局超)
本書には、1986年10月18日の谷川vs羽生初対決から、2000年6月9日の100局達成までのうち、谷川と羽生が選んだベスト局が自戦記として1局ずつ、残りの98局を解説付きで収録している。おまけ(?)として、100局達成後に一気に指された6局が、解説なしで棋譜のみの掲載。棋譜解説部は見開き1局で綺麗にレイアウトされており、非常に見やすい。解説は1局につきA、B、a、bの4箇所。ポイントを絞った解説なので、有段者向きだ。
また、谷川vs羽生の戦いについて、観戦記者の鈴木宏彦氏と高橋道雄九段、島朗八段、真部一男八段の各棋士が考察を加えている。
本書を購入してから約4年、ようやく全棋譜を並び終えることができた。もちろん、本書だけに没頭していれば2〜3週間で完遂できたはずだが、それにしても106局というのは凄い数だった。しかも一局一局が最高レベル。両者ともオールラウンダーなので、戦型も多岐にわたり、最新の流行形だったり独自の工夫を凝らしたりと、とても並べ甲斐のある内容だった。純粋振飛車党には不向きだが、居飛車党やオールラウンダーの方には、ぜひその片鱗に触れていただきたい。
たった一つ残念だったのは、巻頭カラー写真に乱丁印刷乱れがあったこと。もちろん書店で交換してもらったが、2冊目もよく見ると同じ場所にかすかな乱丁印刷乱れがあった(気づいたのはずいぶんあと)。たぶんたまたまだと思うが、せっかくの「永久保存版」(まえがき参照)なので、購入時はちょっと気を付けてみてください。(※2009Jul14追記:「乱丁」はページ順のミスとのことで、修正しました。かをるさんよりご指摘いただきました。本書カラー写真の印刷乱れは、ページにしわが入っていて、しわ部の内側が真っ白になっていた(インクが乗っていない)という状態でした。)
いずれ『谷川VS羽生200番勝負』が出版されるかもしれない。そのときも、私はきっと全棋譜を並べるに違いない。(2004Aug31)
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