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■PRICE 女流棋士飛翔伝

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PRICE 女流棋士飛翔伝(1)
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バンブーコミックス
PRICE 女流棋士飛翔伝
全3巻
[総合評価] C

絵:B
ストーリー:B
構成:B
キャラ:B

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【著 者】 前鳥八代/漫画 maa坊/原作 広瀬章人/監修
【出版社】 竹書房
発行:2015年3月
   〜2015年11月
ISBN:978-4-8019-5210-2
定価:680円 159ページ/cm
PRICE 女流棋士飛翔伝(1)
≪1巻≫
2015年3月
PRICE 女流棋士飛翔伝(2)
≪2巻≫
2015年11月
PRICE 女流棋士飛翔伝(3)
≪3巻≫
2015年11月


【本の内容】
〔第1巻〕女流の価値/勝利の価値/ソフトの価値/私の価値/執念の価値
〔第2巻〕兄弟子の価値/「女」の価値/決意の価値/挑戦の価値/わらいの価値
〔第3巻〕一番の価値/新芽の価値/家族の価値/擬態の価値/相方の価値

◆内容紹介
〔1巻〕
将棋界という力のピラミッド――私の一手で必ずひっくり返す!!!

奨励会三段リーグを潜り抜け、見事史上初のプロ棋士となった二人の女流棋士。彼女達が自らのその実力を証明するため、壮絶な死闘を繰り広げていく――!!

〔2巻〕
史上初の女性プロ棋士となり、順調に勝ち星を積み上げていく黒川楓。そして次は将棋界の七大タイトルのうちの一つ、飛王戦トーナメントに挑戦することとなった。順調に勝ち上がっていく黒川に対し、同じく女性にしてプロ棋士となった新羅香織は激しい嫉妬の炎を燃やすが――。

〔3巻〕
稀にみる熱戦となった飛王戦もついに閉幕。その熱も冷めぬまま、今度は強豪女流棋士を集めた女流鳳凰戦が開催されることになった。黒川、新羅の二人の女性棋士も参戦するも、詰将棋の天才少女、抜群の記憶力を持つ外国人女性棋士等独特の才能を持つ新たなライバルたちが立ちはだかる――!


【レビュー】
「女性棋士」の価値をテーマに描いた将棋マンガ。

〔あらすじ〕
将棋界初の女性棋士が同時に2人誕生した。「女性」の棋士に美しさは必要なのか?それとも力があればよいのか?
女流棋士・女性棋士の「価値」とは?

〔主な登場人物〕
[新羅香織(しらぎ・かおり)]

1巻表紙(+2巻の裏表紙)。女流五冠。奨励会で最終局を負けたものの、他力で四段昇段を果たす。真面目すぎるところが弱みとされる。

[黒川楓(くろかわ・かえで)]
2巻表紙(+1巻の裏表紙)。史上初の女性棋士(新羅は2位で同時昇段)。登場時はデブ・ブスだったが、四段昇段の記者会見にはスタイル抜群の美人として登場した。苛烈な生い立ちを背景とした、絡み付くような将棋が特徴。


〔寸評〕
・あれ…? 主役は新羅じゃないの…?
・1巻の表紙は新羅だが、実際の主役は完全に黒川で、ダークヒロイン独壇場。新羅は堕ちて這い上がるかと思われたが、完全に咬ませ犬…。

・まさかの広瀬章人が本人役で登場☆

・黒いよ!ほぼ全キャラが黒くて怖いよ!! ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル
・笑顔(というかせせら笑い)が怖いキャラだらけ。サブキャラも含めて。『暗殺教室』の「殺せんせー」みたいな口で笑う(嗤う)んですよ。

・絵がちょっと不安定。だんだん変わっていくのは漫画界ではよくあるが(だんだん線が細くなっていくことが多い)、そういう感じではなく、丁寧に描いた絵とやや雑な絵が混じっている感じ。
・駒の厚さが明らかに薄いシーンが多い。
・盤の高さ、駒台の造形もちょっとずつ違和感がある。

・所作的な違和感が結構ある。
・相手が投了した時にすぐに席を立つ棋士はまずいない。(自分が投了して「感想戦はちょっと」という棋士はいるが)このシーンが何回も出てくる。
・記録係が席を立つこともまずないだろう。
・セリフが画面外に見切れていたのは×。(編集の問題ではあるが)
・×「将棋会」 ○「将棋界」
・振り駒で使う歩が6枚…

・前半は、「将棋界の中での女性の価値」というタイトルに沿った話で、「うわー、このデリケートなテーマにどこまで踏み込むんだろう」と期待した。
・また、ソフトに公の場で清水市代が負け、棋士たちも劣勢になり始めた時期(電王戦を意識)で、「女性棋士がソフトに勝てば時計の針を巻き戻せる(≒またソフトvs女流棋士からやり直せる)」というのもかなり斬り込んだ話で、この辺りは良かった。
・LPSAを意識した団体も登場し、連盟会長との確執がどうなるのかと期待させた。(というか3巻はこのフリが出た状態で終わるので、当然続きがあるはずなのだが)
・後半は、「将棋界の関係者はみんなドス黒い奴」みたいになってしまった。みなさん暗い過去(or現在)があるのはいいとして、もう1〜2歩先で過去を乗り越えたカッコよさを見たかった。特にホワイトキャラであると思われた新羅が一時的ではなく完全にダークサイド堕ちしたところでガックリきてしまった。ダークなのは黒木と会長だけで良かったのでは。
・最後は打ち切り…なんですかね?新キャラ連発した後、全然締めずに終わったけど…

・あと、このテーマだったらたぶん「price」じゃなくて「value」かと。


〔総評〕
テーマ、切り口は良く、キャラの設定や造形も上手くいっていたと思うのですが、「キャラが動き始めた」というよりは、「キャラが負のエネルギーで暴れ出した」という感じで、読後感がきつかったです。という訳で、途中まではBだと思ったんですが、後半はむしろDに近く、総合ではCです…。(2018Sep09)



【関連書籍】

[ジャンル] 
将棋コミック
[シリーズ] 
[著者] 前鳥八代 maa坊 
広瀬章人
[発行年] 
2015年

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