第63期将棋名人戦 | [総合評価] C 難易度:★★★☆ 図面:見開き2〜3枚 内容:(質)B(量)C レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級以上向き |
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【編】 毎日新聞社 | ||||
【出版社】 毎日新聞社 | ||||
発行:2005年8月 | ISBN:4-620-50483-1 | |||
定価:1,890円(5%税込) | 215ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【名人】森内俊之 (防衛) 【挑戦者】羽生善治
・森内名人が振り返る全7局=8p |
【レビュー】 |
名人戦の観戦記。 前期、羽生から名人を奪取し、一時三冠(名人・竜王・王将)で棋界トップに躍り出た森内。しかしこの1年で竜王と王将を失い、虎の子の名人だけが残った。一方、一冠(王座)のみとなった羽生だったが、王位・王将・棋王を奪取し、再び四冠に。このリターンマッチは、どうみても羽生に分があると思われた。 第1局から第3局までは角換わり。ただし一手損角換わりが2局あるなど、3局とも少しずつ含みの違う将棋だった。3局とも非常に力のこもった熱戦だったが、第3局で森内が後手番でブレークしたのが大きかった。 第4局は△ゴキゲン中飛車にあえて5五の位を取らせ、それを目標に金銀を上手く操った森内の完勝。「これぞ森内」という感じの、丁寧に受け止める将棋だった。 第5局は、名人戦では、というよりタイトル戦では非常に珍しい相横歩取り。公式戦初登場の△8六歩(ただし練習将棋・指定局面戦には出現しており、新手ではない。11年前に出版された『羽生の頭脳 9 激戦!横歩取り』(羽生善治,日本将棋連盟,1994)にも記載あり)にキッチリと対応した羽生の完勝。カド番をしのいだ。相横歩取りの研究熱心な方は必ず要チェックだ。 第6局・第7局は相矢倉。この2人で大きな勝負が懸かっているときは必ず相矢倉になっている気がする。第6局は後手の羽生が1・2筋方面のB面攻撃と玉頭攻撃を上手くミックスし、快勝。敗因の難しい将棋で、流れは羽生に傾いたように見えた。しかし第7局で先手番を得た森内は再び相矢倉を挑み、表紙(オビ風の部分)にもあるように「渾身の▲2六桂」で勝ち切り、フルセットの末に羽生を降した。 第4局・第5局のように一方的に終わった将棋もあったが、それもお互いに読みをぶつけ合った結果であり、ポカではない。全体的に見所が多い七番勝負だったと思う。 なお、オビのようでオビでない表紙(オビのように見える部分は表紙の一部)は今期限り。(2008Sep09) |