zoom |
アクションコミックス 盤上の詰みと罰 全2巻 |
[総合評価] B+ 絵:A ストーリー:B+ 構成:B キャラ:B+ |
||
【著 者】 松本渚 戸辺誠/監修 | ||||
【出版社】 双葉社 | ||||
発行:2014年11月〜2015年11月 | ISBN: | |||
定価:648円 | 158ページ/cm |
【本の内容】 |
〔1巻〕 第1話 将棋ひとり旅 第2話 将棋の神様 第3話 格上のライバル 第4話 17歳の女の子 第5話 一期一会 第6話 本性 〔2巻〕 第7話 棋は対話なり 第8話 恋と将棋と 第9話 盤に託した恋心 第10話 最後の対局相手 第11話 罪と罰 最終話 答え ◆内容紹介 ふらりと現れたその不思議な少女は、明るくて可愛くて、そして何よりも将棋がメチャクチャ強かった!! 霧島都、元6冠王の女流棋士。 5年前のとある対局をきっかけに、1ヵ月ごとに記憶がリセットされるようになってしまった。 忘れてしまったその相手を探し出すため、彼女は全国将棋ひとり旅へ! 笑顔と愛と謎が渦巻く本格青春将棋マンガ! |
【レビュー】 |
記憶がリセットされる元女流棋士が主人公の将棋マンガ。 〔あらすじ〕 元女流六冠・霧島都は、ある対局のショックで記憶が1か月ごとにリセットされるようになってしまった。その対局の相手を思い出すことができない。都は、「彼」を探して、将棋の旅を5年間続けている。「彼」はどこにいるのか── 〔主な登場人物〕 [霧島都(きりしま・みやこ)] 元女流六冠。中学生のときにすでに女流六冠を獲得していたが、17歳の時にある対局のショックで倒れ、その後の記憶が1か月ごとにリセットされるようになった。倒れる直前に指していた対局相手を求めて、JK姿で「全国将棋ひとり旅」を続けている。現在は22歳?普段は天然で明るい将棋バカ。 [神乃河新也(かみのかわ・しんや)] 芸大生。都と同い年(たぶん現在22歳)。表情に乏しく、薄幸そうだが、記憶力に非常に優れている。将棋は指さないが、長い棋譜も暗唱できる。両親を失った都を神乃河家で引き取り、ともに暮らしていた。現在は、都の記憶がリセットされる前に帰宅させ、リセット後に状況の説明をするなどの面倒を見ている。 [その他の登場人物] 表紙を取ると、他の登場人物のプロフィールがある。項目は、名前、誕生日(月日)、星座、血液型、身長、好きなもの、嫌いなもの、好きな戦法、好きな異性のタイプ。都、新也を含めて11人分。 〔寸評〕 ・設定はややぶっ飛び気味ながら、使いこなされている。 ・「記憶のリセット」はかなり時間に正確であることに注意。 ・タイトルの「詰みと罰」は、もちろん「罪と罰」にかかっている。「罪と罰」のままのほうが良かったかも? ・第1話からずっとラストが意識されていて、収束は綺麗にまとまっていた。 ・ただし、多くの登場キャラは、各話ごとでは話の中心にいるものの、全体としてはモブ扱いになってしまっているのは惜しい感じ。特に、「この1ヶ月で私(都)の将棋が少し変わった」というのが終盤のキーになるため、これまでに出会ったキャラたちのエピソードが生かされると良かったかも。(あえてカットしたのかもしれませんが) ・屋久杉歩を主人公にして一作品見てみたいなー。(個人の感想です) ・都がたまに豹変するのが、ちょっと怖かったです。なお、1巻と2巻の表紙はどちらも都。絵が変わったわけではなく、表情違いです。 ・将棋が分かる人は、ぜひ各巻末の棋譜を並べてみよう。戸辺六段の解説も併せて読むと、どうしてこの棋譜が選ばれたのが理解できます。(将棋監修の)戸辺先生、いい将棋を選ぶわ! ・クライマックスに近いシーンの、第2巻p146〜p150は、マンガ内での盤面が逆になっているような…。特にp150で都が△5四玉に触れているシーン。なので、勝敗が逆だと勘違いしてしまって、棋譜を並べるまでは結末を少し誤解してしまってました。(なお、盤面は雰囲気だと思ってセリフだけを読んでいれば、そのような勘違いは起こりません) ・第2巻p90〜91の盤面も誤りみたいですが、こちらはストーリーに影響ありません。(△1三香が描かれているので、本文中の読み筋が成立していない。△1一香か△1二香になってればOK) 〔総評〕 将棋マンガとして短くコンパクトにまとまっていました。最初から2巻までのつもりでしたかね。将棋ファンも将棋を知らない人も読めるように、ギリギリの線を衝いた感じがしました。 各エピソードも結構好きです。各エピソードと全体に流れるストーリーが融合すればさらに良かったかと。 「記憶のリセット」という設定を受け入れられるかどうかは、読者の好みが出るかも。(2018Aug05) |