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将棋パワーアップシリーズ 3手必至問題集 |
[総合評価] B 難易度:★★★ 〜★★★☆ 見開き2問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:B 中級〜上級向き |
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【著 者】 高橋道雄 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2012年11月 | ISBN:978-4-422-75128-3 | |||
定価:1,050円(5%税込) | 208ページ/18cm |
【本の内容】 |
・3手必至とは=2p ・必至問題のルール=1p ・3手必至=200問 ◆内容紹介 これまでにはないオール実戦形の必至問題を集めたのが本書。矢倉、美濃囲い、舟囲いの玉などに対して必至をかける3手必至だけを200問厳選した。 将棋は、どんなに劣勢であっても相手を詰みにさえすれば勝ち。「将棋は終盤力」といわれるのもそのためだ。必至問題は、相手玉に受けがないかを丹念に読む必要があるため、読みと詰み力をつけるのに最適。詰将棋問題集で好評な著者による、実戦形の必至問題集の決定版! |
【レビュー】 |
3手オンリーの必至問題集。 本書は、「本当の実戦形」で好評を博している「X手詰将棋」シリーズからスピンオフした問題集。「X手詰将棋」シリーズと同様に、大部分の問題が実戦で現れる囲い(または囲いが崩れたもの)であり、実戦的な必至手順が多く含まれている。 駒の配置も非常に実戦的。おそらく、実際の対局の終盤から部分図を抜き出したものだと思われる。ただし、『寄せの手筋200』(金子タカシ,浅川書房,2010)に出てくるような、習作的な問題とは違って、実戦の中で囲いを崩していったような問題が多い。つまり、本書の内容を暗記して使おうというのではなく、実戦での読みと、「必至がありそうだ」という感覚を磨くためにチャレンジするのが望ましい。 難易度表示は、すべて「5分で○級(○段)」と表示されている。棋力の部分はMin.5級〜MAX.三段。 3手必至なので、手順は「詰めろ→(玉方の対応)→詰めろ」か、「王手→(玉方の対応)→詰めろ」になるのだが、本書の必至問題では初手はほとんど王手になる。ちゃんと数えていないが、おそらく9割くらいは初手が王手だった。なので、形を決めやすく、比較的紛れが少ない易しい問題が多い。難易度の高い問題は、必至後の詰め手順が長いものになる。 解説については、やや不満あり。丁寧ではあるものの、「なぜ必至なのか」については不十分なことが多い。必至問題の解説では、やはり金子タカシの著書のような、決まり型を明記した精緻な解説が望ましい。 裏透け対策は完璧。もともと透明度の低い紙を採用しているのにくわえて、解答の指し手の反対面はベタで塗られている。 ●囲い 登場する囲いの比率は下図の通り。「X手詰将棋」シリーズの3冊と並べて比較してみた。過去作と比べて、いろいろな囲いがバランスよく収録されている。矢倉・舟囲い・右玉の比率が増えているのは、もともと詰ませにくい囲いなので、その分必至をかけることが多くなるのだろう。 |
●感想・総評 自分ルールとして、制限時間を1分以内(できれば10秒以内)に設定して解いてみた。その条件で解けなかった問題は、200問中29問。100問くらいは10秒以内に確認までできたかなと思う。 実は、冒頭の第2問・第3問が解けなくて、「えっ、これは結構難しい問題集なのか?!」と焦った。後で見返してみると、それほど難しい問題ではなかったし、それ以降は比較的スラスラと解けているので、杞憂だった(笑)。 初段から三段くらいまでの人が日々のトレーニング用にするにはちょうど良さそうだ。解説がヌルいのはやはり残念なところだが、ある程度必至慣れしている人なら問題はない。必至問題集の一冊目としてはオススメできないが、金子タカシの著書などで必至のコツをつかんだ人が、次の一冊として選ぶなら価値が高く、Aとしても良いかもしれない。(2013Apr06) |