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将棋パワーアップシリーズ 3手詰将棋 |
[総合評価] B 難易度:★★ 〜★★☆ 見開き2問 内容:(質)B+(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:A 解説:B+ 初級〜中級向き |
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【著 者】 高橋道雄 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:2014年9月 | ISBN:978-4-422-75117-7 | |||
定価:1,080円 | 208ページ/18cm |
【本の内容】 |
・3手詰=202問 ◆内容紹介 「こう指す、こう来る、そこでこう指す」という「三手の読み」が将棋の基本の考え方。本書はこの「三手の読み」を身につけ、詰めの力を養うオール3手詰め問題集。将棋を覚え、1手詰めが解けるようになったばかりの初級者に、特に挑戦してほしい。本書を解き終えたころには、初段への道がひらけているはずだ。また、基本に立ち返って詰め手筋を確認したいという有段者にもすすめたい実戦形の詰将棋。 |
【レビュー】 |
3手詰オンリーの詰将棋問題集。 将棋のルールを覚えて、次にまずマスターすべきは1手詰め。「詰み」が理解できて、初めてゲームを終わらせることができるからだ。そして次のステップは「3手の読み」。「(自分が)こう指す、(すると相手は)こう来る、そこで(自分は)こう指す」という「先読み」ができて初めて、将棋というゲームを楽しめるようになってくる。そして、3手の読みをマスターするのに最適なのが「3手詰め」である。 本書は、「3手の読み」を練習するのに最適な3手詰め問題集である。 本書は、「本当の実戦形」で好評を博している「X手詰将棋」シリーズの第5弾。一応、これで一桁手数がすべてそろったことになる。これまでと同様、大部分の問題が実戦で現れる囲い(または囲いが崩れたもの)であり、易しく実戦的な詰め手順が多く含まれている。 登場する囲いの比率は下図の通り。前3作と並べて比較してみた(『1手詰将棋』はまだ読んでいないので載せていない)。 |
配置はこれまでと違って、囲いの原型が分からなくなっているものも結構多い(なので、カウントする人によっては数が違ってくるかもしれない)。3手という超短手数では、囲いを保った玉型から詰ますのはちょっと難しいのだろう。 また、オーソドックスな3手詰では、初手が捨て駒の好手であることが多いが、本書の場合は凡手や俗手の類もランダムに含まれている。例えば、第94問、第120問などは、捨て駒なしで2枚の持駒をベタベタ打つ問題である。 このような問題を「詰む将棋」といって「詰将棋(つめしょうぎ)」と区別することもあるが、本書の場合はこれで良いと思う。通常の3手詰問題集では捨て駒ばかりなので、平凡な手を逆に見落としがちになる副作用があるからだ。本書では、妙手、手筋(よくある好手)、俗手、凡手までランダムになっているので、さまざまな体験をすることができる。 1手詰から3手詰へのステップアップは、実は相当大変だ。初心者にとっては、頭金の詰みであっても確認すべきことが5つもあった(どこに逃げても玉を取られる、頭金を取っても取り返される)。もちろん、慣れてくれば一瞬で詰みの確認ができるようになるだろう。 これが3手詰になると、2手目の玉方の応手も数種類あり、それに対して3手目で全ての変化を詰まさなければならない。そして、攻め方の駒が余る変化は、玉方が最善を尽くしていないことになるので、不正解となる。逆に、駒が余らなければよいので、正解が複数あることもある。 また、「合い利かず」も厄介だ。「詰将棋」のルールでは、合い駒しても無効(合駒を取られても詰みの形が変わらない)の場合は、手数に数えずその形のままで詰みとなる。これになじめず、つまづく人も多いようだ。(本書の場合は解説に逐一書いてあるので、安心してほしい) とはいえ、1手詰から3手詰へのステップに近道はない。初心の人は、何としてでも3手詰めを解けるようになってほしい。本書は、その1冊目としては十分オススメできるだろう。(2015Feb01) |