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■加藤一二三の5手詰め

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加藤一二三の5手詰め
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将棋パワーアップシリーズ
加藤一二三の5手詰め
[総合評価] B

難易度:★★
   〜★★★

見開き2問
内容:(質)B+(量)A
レイアウト:A
解答の裏透け:A
解説:B+
読みやすさ:A
中級〜上級向き

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【著 者】 加藤一二三
【出版社】 創元社
発行:2015年11月 ISBN:978-4-422-75115-3
定価:1,080円 206ページ/18cm


【本の内容】
・詰将棋=202問 (オール5手詰)

◆内容紹介
A級在籍36期。現役最年長の大棋士であり、「ひふみん」の愛称で将棋ファンから熱烈な支持を得ている著者初の5手詰め問題集。棋力アップをはかる問題が202問。詰みの基本ともいうべき5手詰めで、玉を詰める基本手筋や型を自然に覚えられるよう工夫されている。「強くなるためには詰将棋を」という著者の持論どおり、アマに必要な詰め感覚を養い、勝ちにつなげる一冊。ネット世代の若い将棋ファンにとくにオススメ。


【レビュー】
5手詰限定の詰将棋問題集。

「ひふみん」こと加藤一二三は、2017年6月の引退後もバラエティなどで大活躍中。もちろん棋士としても偉大だが、詰将棋も多く作成している。本書は、その中から5手詰だけを集めて一冊にした本である。


5手詰ではなかなか作者の個性を出すことは難しいが、200問クラスの問題が揃ってくると特徴も出てくる。他の5手詰問題集の作者と比較しながら、本書の詰将棋の特長をみてみよう。(※ひふみんの詰将棋作品全体の話ではありません。あくまでも本書の話。)

・ひふみんは形の良し悪しを気にしない。
たとえば浦野真彦なら「盤上の駒数は10個以内に、実戦形にこだわりました」、高橋道雄なら「なるべく実戦で出てくる囲いを意識して作りました」となるところ。少なくとも本書では、形を気にしている感じはなく、退路封鎖や余詰防止用の置き駒が多く見られ、そのため盤上に桂香が多く存在し、駒数もやや多めになっている。

逆に、駒数は多くても玉は狭いので考えやすく、比較的素直な手でも詰ませやすいことが多い。(もちろん「詰将棋」なので、何らかの好手は必要だが)

・ひふみんは同じ手筋を使うことを気にしない。
本書では、同様の手筋で収束する問題が続くことが何回かある。これが森信雄なら「形が少し違うだけで詰め手順も随分変わります」という問題を並べるところ。本書の場合は、「形は違っているけど、初手をこうすれば同じ筋で仕上がります」ということがある。

どちらが良いということはなく、本書のパターンは「実戦で使える手筋を(飽きない範囲で)反復練習できる」といってよい。

・ひふみんは入玉形や中段玉、打歩詰め打開を好まない?
本当のところはどうか分からないが、少なくとも本書では上記3つはほとんど出てこない。中田章道なら「入玉形を多く取り入れて、入玉ならではの筋を魅せましょう」というところ。なお、打歩詰めの問題はいくつかあったが、よくある「大駒や歩の不成で打開」とか「攻め方の攻撃力を弱めて打開」ではなく、別の筋で詰ませましょうという感じ。

・ひふみんは易しい問題を出題することを恐れない。
上記の特徴があるため、本書の問題は総合的に易しめで、難易度は10段階でLv.2〜5くらい。さすがに単なる並べ詰めや変化なしのものはないが、手なりで詰むものは結構多い。他の作家なら、なるべく変化手順・紛れ手順を仕込んでみたくなるところ。

・ひふみんは「作品性」を気にしない。
他の作家なら、「なるべく駒数を減らしたい」とか、「なるべく意外な形で詰むようにしたい」とか考えそうなところ。本書の詰将棋は「読者の役に立つなら何でもいい」という感じがするし、詰め上がりも安定感があるものが多い。ただし、「いかにも実戦形で解きたくなる形」ではなく、「実戦で使いそうな手筋」または「実戦に現れた手筋」を詰将棋にした、という印象もあった。


全体的に易しく、わたしは比較的短時間で解き終わってしまったので、「5手詰200問クラスとしてはちょっと物足りなかったかな」と思ってBにしている。ただし、「易しいくらいでちょうどいい」とか「スジが見える訓練をしたい」という需要を重視するならAでも構わないと思う。

3手詰からステップアップしようとしていて、他の5手詰集がなかなか解けなくてツラい人は、まず本書にチャレンジするといいかも。また、大会前やネット将棋前のウォーミングアップ、寝る前の日常トレーニングにもちょうどよいだろう。


なお、表紙画像の下側2/5は、オビではなく、表紙カバーそのものに印刷されたもの。オビ部だけ外すことはできないので、いつもひふみんと一緒にいられます(笑)。逆に外したい人は、カバーごと外してください。(2017Nov10)



【関連書籍】

[ジャンル] 
詰将棋
[シリーズ] 
将棋パワーアップシリーズ
[著者] 
加藤一二三
[発行年] 
2015年

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