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初段に挑戦するシリーズ(9) 徹底 ねばり勝ち将棋 あきらめずに相手を責める |
[総合評価] B 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 青野照市 | ||||
【出版社】 創元社 | ||||
発行:1985年5月 | ISBN:4-422-75059-3 | |||
定価:850円(初版680円) | 190ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
不利なときの粘り方について書かれた本。 将棋の勝ち方は、リードを奪って差を拡大し、優勢のまま押し切れれば理想。しかしどうしても不利に陥ってしまうときもある。だからといってすぐに諦めるのは早計。人間同士の戦いである以上、最後まで諦めずに逆転を狙って指すのが勝負というものである。 本書では、局面が不利なときの粘り方、または勝負手の放ち方を解説。青野の実戦から20局を題材として選び、中盤・終盤でやや不利な局面が各テーマ図として掲げられている。テーマ図で次の一手を考え、その後は実戦の進行に従って終局まで(または局面がはっきりするまで)解説していく。 「次の一手」といってもすでに不利な局面なので、最善手や決め手を探すというものではない。逆転の可能性ができるだけ高くなるように方針を決めるのが主眼。なので、テーマ図の下に書いてある6行程度の解説文は読んだ方が良い。そしてテーマ図を眺め、形勢判断を下してどういう方針で行くかを決める。ある意味、「大局観を鍛える」本でもある。 第1章・第2章は、粘れる場合、または粘っていれば逆転する可能性がある場合の粘り方を解説。勝負どころをいくつも作るのがコツの一つ。 第3章は、粘っても逆転する可能性がなく、ジリ貧になる場合に、勝負手を放つ方法を解説。平凡な手でジリ貧になるかどうかを見抜くことがポイントで、簡単には読み切れないような、最も難しい手を指すのがコツ。ただし、勝負手を放つと勝負どころは一つになってしまうので、正確に対応されれば早く負けてしまう。「粘り」との区別をマスターしよう。 題材はすべて青野(出版時点でA級棋士)の実戦なので、「初段に挑戦する将棋シリーズ」としてはやや難しいと思う。また、不利な局面からスタートしているので、どの棋譜でも途中で「○○と指しておけばまだ後手が優勢だった」という表現があるが、これは仕方ない。「中終盤限定の自戦記」とも言えるが、通常の自戦記は会心譜を解説することが多く、本書のような「不利な局面からの自戦記」はなかなか貴重である。 この本を10年位前に初めて読んだとき、わたしはまだ将棋倶楽部24の4級くらいで、さっぱり指し手が当たらなかった。しかし今読んでみると、8割がた正解できた。本書の場合、1回読んでもよく分からない場合は、少し間をおいてから(何ヶ月か実戦を指してから)読むと効果が上がると思う。 実戦で強くなるというのは、逆転術を覚えるのも一つの方法。定跡書では得られない「実戦術」を、本書で学んでほしい。(2009Dec04) ※各テーマ図のタイトルを問題図の次のページ(裏側)に持っていったのはヒット。タイトルと問題図が同じページに書いてあると、タイトルがヒントになってしまうことがよくあるが、本書にはそれがない。また、タイトルに網掛けが施してあって、裏透けを極力抑えているのも見逃せない。 ※誤植(第1版第1刷で確認) p86 ×「手順に従って打つ」 ○「手順に従って指す」 (編集者のミス?) p89 ×「別れ道」 ○「分かれ道」 p188 ×「▲2六歩と玉手するのが」 ○「▲2六歩と王手するのが」 |
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