zoom |
最強将棋21 右四間で攻めつぶす本 |
[総合評価] B 難易度:★★☆ 〜★★★☆ 見開き2問(天地逆) 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 中級〜上級向き |
||
【著 者】 中川大輔 | ||||
【出版社】 浅川書房 | ||||
発行:2006年12月 | ISBN:4-86137-015-9 | |||
定価:1,575円(5%税込) | 235ページ/19cm |
【本の内容】 |
第1章 四間飛車を攻めつぶす 第2章 矢倉を攻めつぶす 第3章 プロレベルの右四間 ◆内容紹介 「中川流」右四間飛車の定跡を独特のスタイルでまとめる。駒組みは簡単、狙い筋はたくさん、さらに破壊力抜群でプロが相手でも通用する必殺戦法がマスターできる。実戦ですぐに応用できる定跡書。左頁を天地さかさまに印刷。 |
【レビュー】 |
右四間飛車の次の一手問題集。いわゆる「指しこな」シリーズの一つ。見開きの右側に問題図と解説文を集中させ、巻末まで進んだら本をひっくり返して読んでいく構成を採用している。 基本的にすべて△右四間飛車の解説。先手が先に角道を止め、それに対応して飛先不突きの右四間に組むので自然。特に矢倉戦では先手が先に角道を止めるため、右四間は後手の戦法である。本書では、すべて右四間側を手前にして解説し、棋譜は「便宜上先後逆」になっている。 第1章は▲四間飛車vs△右四間。主に以下の3つを扱う。 (1)▲四間飛車▲5六銀型 vs △右四間+箱入り娘+△9三桂型 (2)▲四間飛車▲7八銀型 vs △右四間+舟囲い+△9三桂型 (3)四間飛車以外の対振飛車(特に対▲角道止め石田流への超急戦) 第2章は▲ウソ矢倉vs△右四間+左美濃。序盤は振飛車か矢倉か分からない状態からスタートするが、途中からは通常の「▲矢倉vs△右四間」と同じ。右四間と左美濃は相性が良く、堅さと攻撃力を兼ね備えた優秀な戦法だと思う。 本章(+次の第3章)で特に強調されているのは、△3九角の筋(2八飛と6六の地点を狙う)と、▲5五銀△同銀▲同歩となったときに△5五歩とこじ開けていく筋。この二点がマスターできれば、一通り右四間で戦うことができるだろう。 第3章は▲矢倉vs△右四間+居玉。メインは「中川新手△4二金」による実戦的な戦い方で、中川七段の実戦譜がベースになっている。居玉での速攻により、先手の態勢が十分に整わないうちに戦いを始めるとともに、大駒の打ち込みに強い。また、△4二金は△5四歩の突き上げ(角交換を狙う)をより効果的にするためのものである(△5四歩▲同歩のあとの▲5三歩成に備えている)。 参考棋譜をいくつか挙げておこう。…と思って 棋譜でーたべーす で調べてみたが、中川の△4二金の棋譜は意外なほど見つからなかった。あれっ? というわけで、中川以外の棋譜も登場順で挙げます。 ・▲中井広恵vs△清水市代(倉敷藤花戦,2001/11/05) ・▲南芳一vs△中川大輔(NHK杯,2002/03/25) ・▲中井広恵vs△清水市代(女流王位戦,2003/10/07) ・▲宮田敦史vs△田中魁秀(順位戦,2004/11/09) うーん、これだけしか見つからなかった…。 個人的な感想としては、第1章(対四間飛車)はやや中途半端な感じがした。第2章〜第3章(対矢倉△右四間)は、先に読んだ『矢倉急戦道場 棒銀&右四間』(所司和晴,MYCOM,2002)を後手の立場で復習できたのが収穫だった。特に△5四歩の突き返しの手筋はあまり頭に入っていなかったので、読んで良かったと思う。(2009Nov30) ※「実戦で先手番の場合は、より有利となるわけです。」(p2)とか、「先手番の場合はさらに破壊力が増します」(p235)というのはちょっとマユツバ。対△四間飛車で先手右四間の場合は先に形を決めなければならないし(例えば不急の▲2六歩など)、3手目▲4八銀と決め打ちする場合は別のリスクも伴う。なによりも先手番のときにより良くなる具体的な理由が本書には書かれていない。 |
【他の方のレビュー】(外部リンク) ・ギズモのつれづれ将棋ブログ ・桐蔭学園高校将棋部 ・棋書解説&評価委員会 ・Amazon.co.jp: カスタマーレビュー |