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佐藤康光の居飛車の手筋(2) 強襲・矢倉編 3七銀戦法から対右四間飛車まで、緩急自在の佐藤流 |
[総合評価] A 難易度:★★★☆ 見開き1問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:C 解説:B 読みやすさ:A 中級〜上級向き |
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【著 者】 佐藤康光 | ||||
【出版社】 山海堂 | ||||
発行:2007年8月 | ISBN:978-4-381-02291-2 | |||
定価:1,365円(5%税込) | 328ページ/21cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||
・次の一手問題=計150問
◆内容紹介 |
【レビュー】 |
矢倉戦の次の一手問題集。 相居飛車系の次の一手問題集は、2001年の『8五飛を指してみる本』以来、矢倉に限れば1992年の『矢倉マスター』以来、久しく出ていなかった。「振り飛車本の方がよく売れるから」という理由だが、さまざまな戦法の普及という意味では問題だ。本書は居飛車党待望の「矢倉の次の一手問題集」である。 第1章は、後手がおとなしく指したため、先手が3筋歩交換から▲3六銀型を実現させた形。プロではまず見ない形だが(後手が阻止するため)、矢倉の基本の理想形としてマスターしておくべき形だ。ただ、△6三銀型はともかく、△8三飛型(飛の横利きなし)はちょっとないのでは…。再三出てくる「▲5二銀」の攻めが、通常の二段飛車には通用しないので、「▲3六銀-4六角の理想形から攻める」という解説としてはやや違和感を覚える。 第2章は、▲3五歩△同歩▲同角に△4五歩と反発してくる形。これはアマではよく見かける形で、後手番としても実戦的に有力なので参考になる。 第3章は、▲4六銀-3七桂型の最新形「6五歩」型。佐藤の実戦そのままを追う形になっており、前2章と比べるとかなり難易度は高め。しかし、細かく問題が区切ってあるので特に問題はないだろう。 第4章は森下システム。ただしスズメ刺しの攻防や深浦新手ではなく、森下システムのもともとの思想である「相手の指し手に応じて柔軟に反撃する」という展開の解説。▲6五歩から玉頭に厚みを築く展開と、▲4六歩〜▲4七銀の展開の2つがメイン。 第5章と第6章は、△右四間と△左美濃急戦の“対策”。この2つに苦しめられている人には必読の章だ。 基本的には先手番で矢倉を指しこなすための本。第1章はちょっと微妙だが、第5章・第6章は参考になった。個人的には、先手視点ばかりなのはちょっと不満だ。後手としての主張点や、先手が緩手を指した場合のとがめ方などがあればよかったと思う。 とはいえ、貴重な相居飛車本。前作『〜 四間飛車粉砕編』はAとBの境目あたりの出来で、本書もほぼ同等。前著は『四間飛車を指しこなす本』(全3冊)という決定版的なライバルがあるのでBとしたが、本書はライバル不在なのでAとしておきたい。本音を言えば、矢倉だけで3冊くらい出してほしかったのだが、やっぱり無理かな(笑)。(2007Dec11) ※第53問解答(p122)に「この手を発見できた人はプロ級の筋の良さと自慢しても結構です。」と書かれていたので、自慢しておきます。(笑) ※このレビューを書いている途中で、「山海堂が倒産」というニュースが入りました(2007.12.05)。本シリーズは続編が予定されていましたが、出ないかもしれません。 |
【関連書籍】 |
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