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中原誠の3度将棋が強くなるシリーズ 居飛車穴熊 〔3度〕将棋が強くなる |
[総合評価] C 難易度:★★★ 図面:見開き2枚 内容:(質)B(量)C レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 中級〜上級向き |
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【著 者】 中原誠 | ||||
【出版社】 大泉書店 | ||||
発行:1987年10月 | ISBN:4-278-08119-7 | |||
定価:650円 | 216ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||
・自在「居飛車穴熊」の勝ち方
・居飛車穴熊の『次の一手』=17問 |
【レビュー】 |
居飛車穴熊戦法の解説書。 本シリーズでは、上段(2/3くらい)で戦法を解説し、節目の局面では次の一手問題が出題される。解答は三択で、出題ペースは約10ページに1問の割合。読者が考えるので読んでいて飽きにくく、急所の変化を理解しやすくなっている。また、下段(1/3くらい)では問題集で、今回は「実戦詰め手筋」。“詰将棋”ではないので、駒が余っても良い。 今回の戦法解説部は、実質的に実戦4局で、初手から投了までになっている。第1部は「△四間飛車vs▲居飛穴で、四間飛車の作戦をかわして居飛穴が勝ち切る」。また、第2部は「▲中飛車(+高美濃)のとき、居飛穴側の対応の違い」。 解説は丁寧で詳しいが、実戦解説4局のみというのはやっぱり少ない。第1部は居飛穴の堅さを生かした攻めと捌きなのでまずまずだが、第2部は先に薄くされてから勝ち切る感じなので、いわゆる穴熊の必勝パターン「堅い、攻めてる、切れない」からはほど遠い。題材としてはちょっとイマイチ。現代では居飛穴の組み方そのものが違うので、本書を無理して読む必要はないだろう。感覚を吸収したい人は、古くてもいいから実戦譜をたくさん並べたほうが良い。 なお、「3度将棋が強くなるシリーズ」は、本書を最後に全10冊で完結。前半は易しめで良質の定跡書が続いたが、後半の6冊はほとんど実戦解説のみになってしまったのが残念。本シリーズで採用された「三部構成」自体は、易しめの定跡書向けには最高レベルの出来だと思うので、ぜひ現代での復活採用を望みたい。(2005Feb24) |