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ヤング・レジャー(39) 内藤国雄の 袖飛車戦法と石田流 ハンディ版 |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き3〜4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:B 解説:A 読みやすさ:B 上級〜有段向き |
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【著 者】 内藤国雄 | ||||
【出版社】 ひばり書房 | ||||
発行:1984年5月 | ISBN:4-8280-6008-1 2076-313930-7108 |
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定価:680円 | 222ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
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【レビュー】 |
奇襲・ユニーク戦法の定跡研究書。 解説されている戦法は、袖飛車・雁木・升田式石田流の3つ。タイトルが「袖飛車戦法と石田流」なのに、なぜか雁木戦法もたっぷりページを取っている(笑)。それぞれ「新」と付いているのは、それぞれ従来の指し方とは違う、(当時としては)新しい指し方を紹介しているから。 たとえば袖飛車戦法は、従来は後手の振飛車模様に対して、先手が早々と舟囲いに組んだときに、玉頭を強襲するという奇襲色の強いものだった。それが本書では、単純な奇襲にならないように工夫されている。ただし、「袖飛車戦法」は同じ内藤の著書『空中戦法』(筑摩書房,1983)でも同じくらいの量が解説されている(この本も、なぜ「空中戦法」なのに袖飛車が…)。本書の方が少しあとで書かれているので、違いを見比べてみるのも良いが、基本的には似たようなことが書かれている。 個人的な注目は第3章。升田式の解説(第3節以降)に入る前に、早石田の変化を扱っているが、基本変化以外で他書ではあまり見かけない変化が解説されている。たとえば、▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四歩▲7六飛△8五歩▲4八玉に、「△8八角成▲同銀△4五角は▲7六角で、先手の角の方が働きが良く先手良し」というのが一般的な棋書の解説。本書ではそこからさらに深く斬り込んで検討していて、実際は難しい勝負だということが分かる。また、▲7四歩△同歩▲2二角成△同銀▲5五角の基本変化も、「▲2二角成で▲7四同飛ならどうか」というのはあまり他書では書いていない。この辺は、古い定跡書でも役に立つ好例だと思う。 レイアウトがいまいちで読みづらいのが残念だが、内容は良い。この3戦法の使い手は、ぜひともチェックしておきたい一冊。(2004Jul15) |