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NHK将棋シリーズ 木村一基の 急戦・四間飛車破り |
[総合評価] A 難易度:★★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:B 解説:A 読みやすさ:A 中級〜有段者向き |
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【著 者】 木村一基 | ||||
【出版社】 日本放送協会出版 | ||||
発行:2005年3月 | ISBN:4-14-016132-9 | |||
定価:1,050円(5%税込) | 224ページ/19cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||
・参考棋譜=6局(ナナメ棒銀=3局、▲4五歩=1局、鷺宮定跡=2局) |
【レビュー】 |
△四間飛車vs▲急戦の解説書。NHK将棋講座のテキストを加筆修正したもので、5七銀左型からの四大急戦をすべて解説。 この木村のNHK講座は「とても分かりやすい」と好評だった。各項のタイトルが短い言葉と符号のみでポイントを的確に突いているのが良い。また本文も非常に分かりやすく、「急戦やりてぇぇ!!」という気持ちにさせてくれる(笑)。実戦譜に一線級の棋士との対局を採用している点もポイント高し。 急戦の本はたくさん出ているので、内容の大部分は他書でも見られるものだが、解説の明快さは群を抜く。また、第4章の(4)〜(6)は「本邦初公開」(174p)の▲3八飛+▲3七銀。「棒銀の堅実な攻めを鷺宮定跡に応用」(同)しようというもので、定跡研究だけでなく実戦採用もしている(参考棋譜(5))。 内容的にはかなり良いが、図面構成に少し難あり。変化が分岐しているときに再掲図がないため、数ページ前を何度もめくるハメに。また、各項の眼目の一手は、盤上で桝目を白黒反転させて強調。これは工夫としては良いが、その駒が残っている局面ではずっと強調されているので、図によっては強調駒が2つ(もう一つは直前の指し手)になっていたりする。せめて網掛けくらいにしてくれれば見やすかったのになぁ。とはいえ、これらの不満点は小さい。 「急戦が成功するか否かのカギはある意味、舟囲いに対する愛情の深さにかかっているといっても過言ではないでしょう」(まえがき)。いや、これは名言です。“舟囲いはメンテナンスをきっちりやれば案外耐久力がある”というのは急戦党には当然のことだが、それを“愛”と表現したところに感動した。これ一発ですっかり木村ファンになりました(笑)。 本書があれば、もう『羽生の頭脳(1)』は要らないかも…。(2005Jul13) |