(外箱) zoom |
日本将棋大系
第一巻 初代大橋宗桂・二代大橋宗古 |
[総合評価] B? 難易度:★★★☆ 図面:見開き2〜3枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 勝浦修 | ||||
【出版社】 筑摩書房 | ||||
発行:1979年12月 | 0376-69201-4604 | |||
定価:2,400円 | 264ページ/23cm/H.C・箱入り |
【本の内容】 | ||||||||||||
【推薦】日本将棋連盟 【監修】木村義雄・升田幸三・大山康晴・中原誠・二上達也・塚田正夫 【編集】山本亨介
(平手=16局、右香落=5局、角落=4局、飛落=1局) |
【レビュー】 |
江戸時代の棋譜解説書・第1弾。メインは、初代家元の大橋宗桂・二代目家元の大橋宗古と本因坊算砂との御前対局。算砂は囲碁が本職であるが、将棋も当時としてはトップクラスの腕前で、“ゼロ代目家元”ともいえる存在。本書には算砂の棋譜が21局も収められており、「主役は算砂?」と思うくらいだ。その他、宗古と在野のアマ棋士との大駒落ち対局も収められている。 当時は将棋の草創期であり、現代の考え方とはずいぶん違うところがある。特徴的なのは、(1)位負けを極端に嫌う、(2)居飛車でも振飛車でも、三段目に二枚銀を並べる、(3)堅い囲いよりも上部の厚みを重視する、という感じ。美濃囲いはまだ出現しない。矢倉囲いは、1621年の香落ち戦にて初登場となる。 残念ながら、棋譜のレベルは高くない。現代の段級でいえば宗桂がアマ四段くらい、算砂が二段くらいだと感じた。ただし算砂の方は老齢ながら成長を続け、最後の方は四段くらいに達している。後半の宗古vs算砂15番勝負では、新しい手筋が次々に登場するので、将棋の技術進歩を楽しむことができる。 もっとも、本シリーズの価値は別の所にある。古棋譜を現代人にも読みやすい形でまとめ、保存版としての装丁を施し、プロ高段棋士の目で解説を付けたことは、将棋史において非常に有用であろう。 たまには古い棋譜を並べ、感覚の違いを楽しんでみるのも良いものである。(2003Dec14) |