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花村流実戦将棋 ─鬼手・妙手入門─ |
[総合評価] B 難易度:★★★☆ 図面:見開き4枚 内容:(質)B(量)B レイアウト:A 解説:B 読みやすさ:A 上級〜有段向き |
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【著 者】 花村元司 | ||||
【出版社】 土屋書店 | ||||
発行:1976年 | 0276-000057-4808 | |||
定価:680円 | 219ページ/18cm |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・自戦記=16局
・【エッセイ】わが放浪記=13p |
【レビュー】 |
花村元司九段の自戦解説。駒落ちが9局、プロ相手の平手が7局。駒落ちは、アマチュア相手の指導将棋と、奨励会員相手のガチンコ勝負。駒落ちの棋譜で、上手が感想を述べたり、プロが解説を添えるのは割とよくあるが、上手自身の自戦記というのは割と珍しい。 花村は“駒落ち名人”として知られ、上手で勝つ極意が分かる。大駒落ち・二枚落ちの上手は厳密には最善手ばかり指すわけではないので、棋譜の質としては微妙だが、「上手の呼吸」という感じが伝わってきて面白かった。 ・「(二枚落ちで)プロの先生は相手が強いと見れば△5三金型を多く指します」(34p) そうだったのか… ・「“二枚落ちは終盤が勝負だからね”といわぬばかりに悠々とした態度でいないと、下手を安心させてしまうのです。」(41p) ・「この辺は私の腕の見せ所で、(定跡では)先に指すべき手を後に、後に指すべき手を先にといった調子です」(62p) ・「必要以上に上手が読むと、自分の実力で相手の指し手を進めてしまうので、どう指しても上手がよくならない。(中略)相手の実力に応じた指し手を決めて読んでいくことが必要です。」(77p) 平手の方は、妙手・鬼手も多いが悪手・緩手も多いという出入りの激しい将棋で、非常に花村らしい。第10局の対中原戦は、ちょっと前に読んだ『棒銀戦 3度将棋が強くなる』(中原誠,大泉書店,1985)に載っていたものと同じ将棋。見比べてみると両者の見解の違いが面白い。 自戦記集としてはちょっとボリューム不足だが、「上手の駒落ち自戦記」を高めに評価してB。(2005Feb05) |