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定本 大山の駒落ち | [総合評価] S 難易度:★★★★ 図面:見開き3〜4枚 内容:(質)A(量)S レイアウト:B 解説:A 中級〜有段向き |
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【著 者】 大山康晴 | ||||
【出版社】 池田書店 | ||||
発行:1979年11月 | 0076-100103-0316 ISBN:4-262-10103-7 |
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定価:1,300円 | 430ページ/19cm/H.C. |
【本の内容】 | |||||||||||||||||||||||||||
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【レビュー】 |
駒落ちの総合定跡書。 本書では八枚落ちから角落ちまで、幅広い駒落ちを解説しているが、他の駒落ち総合定跡書と少し違うテーマがある。「力のつく戦法」に絞って解説されているのだ。 駒落ちには、下手が勝ちやすい戦法がある。六枚落ちなら「5七角+4七銀型」、四枚落ちと二枚落ちなら「銀多伝」、飛落ちなら「▲6五歩位取り」などだ。いずれも玉を固めた上で、戦力差を前面に出して陣形勝ちする戦法であり、棋理にかなった優秀な作戦である。しかしこれらは、「すでに力のある人が、力を発揮できる戦法」の側面が強く、「これから力をつける戦法」の意味合いは薄い。 本書で解説されている戦法のほとんどは、「わずかな違いで紛れやすく大変だが、マスターすれば相当な力がつく戦法」である。たとえば、八枚落ちは初級者に教えるときの手合いだが、本書のような勝ち方をするには二段くらいの力が必要だと思う。逆にいえば、本書の八枚落ちをマスターできれば、部分的には二段の力がついたと言ってもよい。駒落ち定跡を勉強することで力をつけたいと思っている人は、できるだけ厳しい勝ち方を本書で学ぶと良い。まずは勝ちたいという人(σ(^-^;)わたし?)は他の本の方がいいかも…。 ところで、「歩三歩(ふさんびょう)」の項が結構面白い。ルールを把握している人はどれくらいいるのだろうか?わたしの記憶では、「歩三兵」が正しいと思っていたし、「上手裸玉+持ち歩三枚」で、上手の狙いは△8六歩▲同歩(悪手)△8七歩で角を殺すというだけの、単なる“初心者殺しの駒落ち”だと思っていた。このルールならば、△8六歩に▲7八金で上手指し切りとなる。しかし本書によれば、「上手裸玉+持ち歩三枚+上手のみ二歩OK(“三歩”もOK!)」というのが正式(?)ルールらしい。これはうっかりすると有段者レベルでもつぶされてしまう、恐ろしいルールである。どう恐ろしいのか興味がある方は、ぜひ本書をご一読あれ。(2003Jul05) |