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■屋敷伸之の将棋 茫洋

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屋敷伸之の将棋 茫洋 [総合評価] C

難易度:★★★★

図面:見開き6枚
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:B
読みやすさ:A
上級〜有段向き

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【著 者】 屋敷伸之
【出版社】 毎日コミュニケーションズ
発行:1993年6月 ISBN:4-89563-580-5
定価:1,748円 247ページ/20cm/H.C.


【本の内容】
自戦記=22局
【エッセー】将棋はなんて難しいんだろう/僕の奨励会時代/僕の棋聖体験(1)/僕は結構飲むほうなんだ/僕の棋聖体験(2)/ギャンブラーがいっぱい/将棋には気分転換が必要だ/犬に噛まれたことがある/将棋界・噂の真相/茫洋
【参考資料】年度別成績(1988年度〜1992年度)

◆内容紹介(表紙より)
「もう一度、あの酔い痴れたときを取り戻したい」デビュー戦から棋聖獲得のころ、そして四間飛車を駆使する現在まで、みずみずしい感性で綴るユニークな自戦記。めまいとひらめき、青年棋士・屋敷の脈動。


【レビュー】
屋敷伸之六段(当時)の自戦記集。揮毫タイトル・自戦記シリーズの第三弾。タイトルが著者の一番好きな揮毫(扇子に書き入れる文字)になっている。「茫洋」とは「広々としていてとらえどころがない」という意味で、「ぼんやりしている」というニュアンスもあるようだ。屋敷は本書の自戦記でたびたび「ぼんやりとした手が好き」と述べていて、結構お気に入りの様子(現在はどうか知らないけど)。本書の指し手も、鋭い決め手やいかにも次の一手っぽいものは少なく、“茫洋”とした手が随所に見られる。

屋敷は史上最年少でのタイトル獲得で知られる(18歳6ヶ月)。いろいろな戦型を指しこなしていて、その中でもやや目立つのは横歩取り△3三桂と四間飛車。表紙に書かれている「酔い痴れたとき」というのは、屋敷が得意にしていた横歩取り△3三桂戦法のことらしい。「▲4八玉から囲ってくる構想をとがめにいく△4四歩。そしてさらに調子に乗るような感のある△4五歩。この手を指すときはあまりの気持ち良さに自分に酔い痴れていた。」(68p)「今は振飛車ばかり使っているが、また復活するときがあるかもしれない。もう一度、あの酔い痴れたときを取り戻したいと思うからである。」(74p)四間飛車の方はそれほど上手い感じはなく、終盤勝負の印象を受けた。

塚田版や小林版に比べると、投了図や指し手の解説があまりされていない。また快勝譜よりも「屋敷自身が印象に残っている将棋」を優先させているため、敗局や出来の良くない将棋も含まれているのが少し気になった。

なお、本シリーズはこの屋敷版で打ち止めとなった。結構いいシリーズになりそうだっただけに、ちょっと残念。余談だが、本書の担当者は、最近“浅川書房”を立ち上げた浅川浩氏である(当時は週刊将棋の編集者)。(2003Oct02)



【関連書籍】

[ジャンル] 
自戦記
[シリーズ] 
[著者] 
屋敷伸之
[発行年] 
1993年

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