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■最強アマ直伝!勝てる将棋、勝てる戦法

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最強アマ直伝!勝てる将棋、勝てる戦法
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マイナビ将棋BOOKS
最強アマ直伝!
勝てる将棋、勝てる戦法
[総合評価] B

難易度:★★★☆
  〜★★★★

図面:見開き4枚
内容:(質)A(量)B
レイアウト:A
解説:A
読みやすさ:A
上級〜有段向き

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【著 者】 今泉健司
【出版社】 マイナビ
発行:2014年4月 ISBN:978-4-8399-5134-4
定価:1,663円 224ページ/19cm


【本の内容】
第1章 角交換型     20p
第2章 相中飛車編 第1節 対後手△4四歩型
第2節 対後手△6四歩型
第3節 対△3五歩型
40p
第3章 対一直線穴熊 第1節 美濃囲い編
第2節 相穴熊編
42p
第4章 左穴熊の戦い 第1節 対三間飛車編
第2節 相穴熊編
第3節 対向かい飛車編
48p
第5章 向かい飛車編   18p
第6章 次の一手   48p

・【コラム】(1)今泉さんの真実 (2)G中飛車? (3)今泉さんが中飛車を指す理由

◆内容紹介
アマチュア将棋界のレジェンド今泉健司が「本当に勝てる戦法」を伝授!

「これにて先手良し」プロがそのように結論する場合、それはプロ棋戦の持ち時間とプロの終盤力を前提としています。
しかし、アマチュア大会で、それで本当に勝てるでしょうか?

実際はプロが有利と教える場面からも勝ち切ることは難しく、それ以前に、プロが想定する局面にならないことがほとんどではないでしょうか。

本書はアマ棋戦で数々のタイトルを総なめにしている今泉健司アマ七段がアマチュア同士の戦いで「本当に勝てる戦法と指し方」を解説したものです。
今泉アマが勝てる戦法として推奨するのは「中飛車」です。理由は100%その戦型に誘導できること、相手の対策がある程度限定できることだといいます。

よって、本書は
中飛車戦法の指し方を解説したものですが、語られているのは純粋に局面が優勢かどうかではなく、あくまで「勝ちやすいかどうか」です。しかも、「アマチュアにとって勝ちやすいかどうか」です。また、本書に出てくる進行例は今泉アマの実戦から採用されているため、アマ大会で現れる可能性は十分あります。「角交換型」「対一直線穴熊」などの他、アマを中心に流行の兆しが見える最新戦法「中飛車左穴熊」も解説されています。

大会やネット対局などで、本当に勝ちたい方はぜひ読んでください。アマ同士の対局で勝ち続ける技術がこの一冊に凝縮されています。


【レビュー】
▲中飛車の戦術書。一部は▲向飛車も扱う。

本書は今泉健司四段(2018年8月現在)がアマ時代に著したもの。

今泉は、奨励会三段で二度次点を取っていたが、当時はフリークラス編入制度がなく、1999年にいったん奨励会を退会。アマとして活躍し、竜王戦6組でもプロも連覇するなどして、2007年に新設された三段編入試験に合格して、再度三段リーグを戦うが、4期以内に昇段できずに再び退会。またアマに戻って活躍し、今度は2014年にプロ編入試験を受験し、見事合格した。

本書は、今泉がまだプロ編入試験を表明する前に、「最強アマ」として、自信が「勝ちやすい戦法」とする▲中飛車を解説したものである。

「はじめに(まえがき)」によれば、▲中飛車(+▲向飛車)は、自分の意思で戦型を決めることができ、「勝ちやすい局面」を目指すことができる、とのことである。


各章の内容を、チャートを添えながら紹介していこう。


第1章は「角交換型」で、角交換型の先手中飛車。

初手▲5六歩から先手中飛車に構え、先手から角交換して、手損にはなるが、確実に5筋歩交換を行う。また、居飛穴などの堅い囲いを阻止できるメリットも大きい。コツとしては、「駒組みに入ったら、なるべく位負けしない」(p23)こと。



第2章は「相中飛車編」。アマでは中飛車党同士がぶつかることも多く、頻出の戦型といえる。途中までは同型で進むことも多く、どのタイミングで「マネ将棋」から離れるかがポイント。

第2章第1節 △4四歩型
・角交換のタイミングに注意。
・角道を止めるのは、自玉を相手より堅くできるとき。
・一方的に攻めると勝ちやすい。

第2章第2節 △6四歩型
・基本的に角道を止めない。
・同型から三間飛車に振り直す。
・△6四歩は7筋の受けを作る意味がある。

第2章第3節 △3五歩型
後手がさらにマネ将棋を続ける場合、角交換〜7筋歩交換〜▲5四飛が有力。



第3章は「対一直線穴熊」。対▲中飛車の構えはいろいろあるが、少ないリスクで堅く囲えるため、本書でも「最大の難敵」(p68)とされている。持ち時間の短いアマ将棋ではなおさらだ。

第3章第1節 美濃囲い編
一直線穴熊を阻止することはできないが、「美濃囲いでも手段を尽くせば先手指せる」(p87)。ただし、「手段を尽くす」のは相当に大変。ガチガチに囲われる前に、▲6五銀から速攻を狙おう。

第3章第2節 相穴熊編
いくつかの作戦があるが、本節では3筋交換型に絞っている。今泉が(当時)最有力視している作戦。

p94からの▲3九金は、他書ではあまり良くないといわれたものもあるが、今泉の研究では「先手も指せる」。▲5九金が研究手で、拠点を作ってから玉を固める方針。



第4章は「左穴熊の戦い」。中飛車左穴熊が単行本に初登場したのは、わたしの記憶が確かなら『相振りレボリューション』(杉本昌隆,2010)だが、紹介レベルだった。単行本で本格的に解説されたのは、本書が初めてといってよいだろう。比較的初期から流行期に書かれたものなので、左穴熊の狙いやポイントが分かりやすい。

第4章第1節 vs三間編
・左穴熊の初期型では、▲5六飛で後手の3筋交換を防ぐ。
・手損は気にしない。例えば、▲2六飛で△2四歩を突かせて、△2四飛を消す手筋は手損になるが、形の得の方を優先する。
・手詰まりにならないよう、いろいろなところで手を付けられる可能性を残しておく。
・ただし、速めに▲5六飛は軽すぎて、手厚い形(△4四銀型など)に弱い。
→この対策として、菅井流の改良形で、3筋を受けない(すぐに▲5六飛と浮かない)という発想が出てくる。
・2筋・3筋は▲3八銀でカバーする。

第4章第2節 相穴熊編
押さえ込まれ形になりにくいので、さほど怖くない。

第4章第3節 vs向飛車編
向飛車もそれほど怖くはない。手損を気にせずに▲2八飛と戻って受ければ、右銀の活用が楽になる。



第5章は「向かい飛車編」。▲中飛車とセットで、初手▲5六歩に△8四歩から後手が早く飛先を決めてきたときに、変化球として出せる戦法だ。この形は升田流向飛車ともいう。

いろいろ変化はあるが、△4二玉に角交換から▲7五角といきなり動くのが今泉のオススメ。



第6章は「次の一手」で、今泉の実戦から、中終盤の実戦的な好手を出題。本書のメインコンテンツである▲中飛車・▲向飛車とは関係ないものもある。

〔ピックアップ〕
第1問 △3二飛戦法
第2問 ▲中飛車に飯島流引き角は使えないかも?
第21問〜第30問 「今泉さんしか指さない」シリーズ。自陣を超重視する。
第31問〜第36問 苦戦時の戦い方
第37問〜第40問 「苦い思い出」シリーズ
第41問〜第46問 「気持ちよく決まった」シリーズ

網掛けで解答の裏透け防止ができているのは◎。


〔総評〕
▲中飛車を得意戦法としている人にとっては、相手の様々な対抗策に対する有力作戦が記されているので、大いに参考になるだろう。レビュー時で出版から4年半経過しているが、まだまだ実用的で使いやすいと思う。分量的に惜しくもBとしているが、読みやすくて頭に入りやすいので、オススメできる一冊。


※誤字・誤植等(初版第1刷で確認):
p147棋譜 ×「▲5六飛」 ○「▲5六歩」



【関連書籍】

[ジャンル] 
中飛車
[シリーズ] マイナビ将棋BOOKS
[著者] 
今泉健司
[発行年] 
2014年

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