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■永遠の一手 2030年、コンピュータ将棋に挑む

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(上巻)
永遠の一手 2030年、コンピュータ将棋に挑む(上)
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少年チャンピオン・コミックス・エクストラ
永遠の一手
2030年、コンピュータ将棋に挑む
(上)
[総合評価] A

絵:A
ストーリー:A
構成:A
キャラ:A

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【著 者】 伊藤智義/原作 松島幸太朗/漫画
【出版社】 秋田書店
発行:2017年1月 ISBN:978-4-253-25241-6
定価:648円(8%税込) 200ページ/18cm
(下巻)
永遠の一手 2030年、コンピュータ将棋に挑む(下)
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少年チャンピオン・コミックス・エクストラ
永遠の一手
2030年、コンピュータ将棋に挑む
(下)
[総合評価] A

絵:A
ストーリー:A
構成:A
キャラ:A

この本をAmazonで見る

【著 者】 伊藤智義/原作 松島幸太朗/漫画
【出版社】 秋田書店
発行:2017年1月 ISBN:978-4-253-25242-3
定価:648円(8%税込) 208ページ/18cm


【本の内容】
第1話(61p)試し読み(秋田書店公式サイト)

〔上巻〕
第1話 将棋界崩壊の日
第2話 一郎の格闘
第3話 天才プログラマー・翔子
第4話 プロ棋士vsコンピューター
第5話 復活の羽内

〔下巻〕
第6話 彗星2020 特別プログラム
第7話 康晴の素顔
第8話 決戦
第9話 再戦
第10話 奇跡の一手
第11話 永遠の一局
最終話 将棋界復権の日
特別編 異次元サイバースペース(前/後編)

◆内容紹介
(上巻 紹介文)
名人、コンピューターに敗れる! すべてはそこから始まった!!
将棋を愛する者たちの10年に渡る挑戦と激動の物語!!

(下巻 紹介文)
そして10年。全く新しい人間とコンピューターの激闘の幕が上がる
新時代の頂上決戦で見えてくる、新しい将棋の夢の形とは?

(第1話 扉絵より)
名人vsコンピューター ついに激突す!!
その時、僕たちにはできるのか?愛を守り、夢を守り、なおも新しい時代を創ることが!?


【レビュー】
AIと将棋の関係を描いた将棋マンガ。

〔あらすじ〕
2020年、無敵の名人がぽっと出の将棋ソフトに公の場で敗れた。将棋界は、強くなるためにソフトを活用する時代に突入した。

2025年、七大タイトル戦はなくなり、プロ棋士がソフトの支援を受けるチーム戦が、唯一の棋戦として残った。

AIと人間の未来はどうなる!?

〔主な登場人物〕
[増山一郎(ますやま・いちろう)]

プロ棋士。名人がソフトに敗れたことに大きなショックを受ける。チーム戦では唯一、ソフトの支援を受けずに戦い続ける。

[翔子(しょうこ)]
中三の少女。おかっぱメガネ。学生プログラミング大会で優勝している。「父」を倒すために、将棋プログラムを開発する。実は「父」は…。

[羽内将史(はねうち・まさし)]
大半の棋士がソフトに勝てなくなった時期にも、ソフトに負け知らずの無敵の名人だった。公の場でソフトに敗れ、姿を消す。

[プログラマー]
羽内を破った将棋ソフト「彗星」のプログラマー。ソフトが名人に勝ってしまったことにショックと責任を感じ、姿を消す。実は「プログラマー」は…。

[才知理恵(さいち・りえ)]
女医で脳科学者。容姿端麗だが、思考の指向性に難あり。言動は妖しいが、ときに鋭い指摘をかます。


〔寸評〕
・画力は高い。と思ったら、『ショー☆バン』の作画担当だった。
・キャラは全員ステキ。少女から青年、おっさん、老人まで、ちゃんと可愛く、カッコよく、シブく描けている。お母さん可愛いわー、翔子可愛いわー、マッスー熱いわー(笑)
・ストーリーは、ゾクゾクも、胸アツも、クスクスもあった。いくつかの謎の部分が次々とスッキリしていくのは○。
・原作者がコンピュータ開発者で、国立大教授で、将棋歴50年のアマ四段ということで、棋士の所作やAIについても現実との乖離が少なく、「行き届いている」感がある。

・ソフト勝勢の報で、一般ファンの不安、将棋界人の憔悴、ソフト製作者たちの興奮、そして党のプログラム作成者の戸惑いと襲い掛かる自責の念──。表情が良く、高いリアリティを感じます。

・「プロが強くなるためにソフトを活用するが、プロの権威が徐々に失墜し、人間がソフトの手を理解できなくなって、将棋人気が急落」は、あり得るかもしれない未来図。怖いね……

・タッグマッチが主流には…なるかなぁ?(※本作のタッグマッチは、練習時に使うソフトと棋士の組み合わせを固定するもので、対局時のカンニングや相談はできない)
でも、カーレースはすでにその関係が成立してますわね。

・人間がAIの解を盲信して、未知の局面への対応力が下がるっていうのは、どこでもありそうですね…

・おまけのマンガは、翔子が主役で、AIというよりはIoTモノ。便利になるはずが、いろんな制約が発生してしまったというのは、あり得そうな近未来。ただし、こちらの作品はページ数不足のためか、やや消化不良感がある。天才プログラマーならいとも簡単にセキュリティ突破できる、っていうのはちょっとねぇ。


〔総評〕
ずっと、次の展開が気になりながら、一気に読めました。起こりそうな将棋の近未来を題材に、人間とAIの関係の一例をコンパクトにキッチリと描き切った良作だと思います。(※内容紹介文を見た段階では、あまり「おっ、読んでみようかな」とはならなかったんですけどね)

本作は、数年以内に読んでおくべきでしょう。実際に2030年を迎えたとき、笑い話になるか、現実の一部となるのか、考えてみましょう。(2018Jul08)



【関連書籍】

[ジャンル] 
将棋コミック
[シリーズ] 
[著者] 伊藤智義 松島幸太朗
[発行年] 
2017年

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