2.6KB

<< 直前のページへ戻る
 

■龍と苺

< | No.1280 | >

トップページ > 棋書ミシュラン! > 龍と苺
龍と苺(1)
zoom
少年サンデーコミックス
龍と苺
(1)〜(2)
[総合評価]
(1巻時点の暫定で)
A
なんですが、いろいろあります

絵:A
ストーリー:A??
構成:A
キャラ:A??

【著 者】 柳本光晴
【出版社】 小学館
発行:2020年8月〜 ISBN:
定価:499円(8%税込) 184ページ/cm
龍と苺(1)
≪1巻≫
2020年8月
龍と苺(2)
≪2巻≫
2020年11月


【本の内容】
(1巻)
(1)命懸け (2)ケンカの続き (3)化け物 (4)女子供 (5)積み重ね (6)動揺 (7)覚悟の差

◆内容紹介
〔1巻〕
命懸けで闘うものが見つからず退屈した日々を送る、藍田苺、14歳。

将棋好きの元校長に、才能を見いだされた苺は初心者のまま、将棋の市大会に参加することに!!!

そこは女だから、子供だから、と言われるような「見えない壁」がある場所だったが…

そんなことは関係ない。苺は真っすぐ、自由に、猛烈に、暴れまわる!!!

連載開始直後から、大大反響!

一手一手、強くなる。“闘う”将棋マンガ、開幕!!



【編集担当からのおすすめ情報】
「盤上では、年齢も、性別も、棋歴だって関係ない。」

芯強く、まっすぐ生きる14歳女子が理屈をこねる”大人”をばったばったとなぎ倒し、猛者ひしめく将棋界を駆け上がります。

将棋ファンはもちろん、バトルやアクション好きの方、昨今の将棋ブームで将棋に興味を持ち始めたライトな将棋好きも楽しめる、王道少年マンガです!

『響〜小説家になる方法〜』で天才を描ききりマンガ大賞2017大賞受賞、実写映画化など大旋風を巻き起こした柳本光晴、満を持しての最新作!

〔2巻〕
竜王戦ってのに、出る!!

初心者で臨んだ市大会での優勝後、伊鶴八段相手に惨敗を喫した藍田苺、14歳。

再戦の機会を求め、苺が目標に定めたのは、アマチュアにも出場枠のある棋界最高峰のタイトル戦・竜王戦!!!

将棋部・滝沢とともに乗り込んだ「アマ竜王戦神奈川県予選」は曲者揃いの“戦場”で―――

真っすぐで、愛らしい14歳が将棋に打ち込み始める第2巻!!!!


【レビュー】
中二の女子が天才性を発揮していく将棋マンガ。

〔あらすじ〕
中二の女子・藍田苺は、命を懸けられるような何かを探している。ある日、教室内でのトラブルから面談したスクールカウンセラーに何気なく将棋を教えられる。自分のやる気よりも才能が先走る苺。次第に、「将棋なら年齢も性別も関係ないケンカができる」と、苺は将棋に目覚めるが…。


〔登場人物〕
[藍田苺](あいだ・いちご)]
中2、♀。ベリーショートでややツリ目。
ぬるい日常は嫌。「命懸けで何かしたい」。常軌を逸した言動が時折見られ、“抜身のナイフ”のよう。「売られたケンカは買う」。
教室内で暴力沙汰を起こした後、カウンセラーから将棋を教えられ、いきなり命を懸ける。呑み込みが異常に早く、才能を見出される。

[宮村](みやむら)]
スクールカウンセラー、♂。中学校の校長を定年退職後、カウンセラーになる。
苺の才能を見出し、プロ棋士になるように誘う。



〔寸評〕
・冒頭での「将棋界には女性蔑視の雰囲気がある」的な描写、その次の教室内での低レベルな会話。のっけから嫌悪感があります。
・学校のイスで後ろから頭殴ったら死んじゃうよ!

・おっさんたちが「女こども」を蔑視しているというのも、どうなんだろう…。将棋大会でこどもが相手だったら「相当強いのかも」って思いますけどね。
−実際、そういうことを言っている人を見たことはありますが、現在では少数派だと思います。「女性蔑視を天才が打ち破る」がこの作品のテーマっぽいので、仕方ないのですかね。「将棋を指しているおっさんの頭の中はこうなんだ」って思われるのはイヤだなぁ。
・と思ったら、主人公自身が「女こども」に対する偏見があるって、どうなってるんでしょ。

・プロ棋士編入試験の解釈が間違っている気がします。「アマ大会で抜群の成績なら編入試験」みたいな前提ですが、「アマの全国大会で優秀な成績→プロ公式戦に出場→公式戦で一定以上の好成績→プロ編入」のはずなので(奨励会編入もありますが)、地方都市の大会でどれだけ優勝を重ねても意味はないし、基準が決まっているので「周りの評価」も関係ないかと。

・タイトルの「龍」が何を指すのかは1巻時点では不明。

・雑誌での連載時に盤面のミスが何度かあったらしく、「駒配置ミス謝罪のコーナー」が設けられています。そこで、「雑誌手はこうなっていた」という絵が掲載されていました。
−最初の「二歩」は確かにその通りでした。
−2回目と3回目の「玉が二つあった」は、最初は何のミスなのか分かりませんでしたが、「駒は“将”と“将”が一つずつ」ということに対するミスのようです。ただ、アマ大会で使うようなプラ駒では「両方とも将」というのもよくありますし、高級駒でも稀に「双玉」の駒はあるので、別にいいんじゃないかしら。

〔総評〕
本作は、「天才」「女性・こども・権威に対する偏見」というものをテーマとして、かなり強調されて描かれているようです。

また、「相手を見た目や周辺情報で判断し、ありのままを見ずに、過大評価・過小評価」する人たちも多く描かれています。(フラットな目線のキャラも少しはいます)

わたし自身は「本当の天才」と思える人を目の前で見たことがありませんが、「ルールを覚えてすぐに超絶的な上達っぷり」という設定自体は非現実的ではあるものの、AIがそれをやれてしまう時代なので、あっても別に不思議じゃないかな、と思います。(先崎九段は、将棋を覚えた日には二段になった旨の話をされてますし)

一方、「偏見」の方は、わたしも本作のような例を目にしたことは何度もありますので、むしろ現実的ではあります。ただ、作品のほとんどすべての登場人物(主人公からモブまで)が偏見だらけというのは、フィクションで強調された世界とはいえ、気分のいいものではありませんでした。

わたし自身はすでに「おっさん」側の領域の人間ですが、自分の所属している属性(将棋好き、男性、人生後半組、など)が何度も何度も醜い姿を描かれていて、読んでてちょっとツラいです(>_<。) また、彼らは主人公にやられてただ未練がましく屈服するだけで、目が覚めるということもなく…。

ただ、1巻の最後の方で、こういった陰鬱な感じをクリアにしようとしているのでは?と思えるような希望的な展開を感じました。また、少年誌連載マンガなのになんで中二女子を主人公にしたのかも、なんとなく分かりました。

これまでの将棋マンガの中でも「異端感」がハンパなく、「天才とはこういうものだ」ということを描き切れたら、すごいマンガになりそうな予感はします。「天才なりの苦悩」とか、「一人の天才が周りの凡人を生まれ変わらせていく」とか。ただ、その前に打ち切りとか、話が破綻しないか心配です。ネットで賛否両論がすごい(Amazonでは「否」側も多い)のも分かる気がします。

キャラに憧れたり感情移入したりできないという点では『月下の棋士』と通じるものがあり、わたしの中でも、AからEまで揺れ動いていますが、現時点では期待を込めて暫定でAとしておきます。「天才が凡人たちを薙ぎ倒していく」というだけのマンガになってしまったら、C以下に修正します。

(2020Oct10)



【関連書籍】

[ジャンル] 将棋コミック
[シリーズ] 
[著者] 柳本光晴
[発行年] 2020年

< | >

トップページ > 棋書ミシュラン! > 龍と苺


Copyright(C) 1999-2020 【将棋 棋書ミシュラン!】 All Right Reserved