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■花村流実戦将棋

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花村流実戦将棋
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花村流実戦将棋
─鬼手・妙手入門─
[総合評価] B

難易度:★★★☆

図面:見開き4枚
内容:(質)B(量)B
レイアウト:A
解説:B
読みやすさ:A
上級〜有段向き

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【著 者】 花村元司
【出版社】 土屋書店
発行:1976年 0276-000057-4808
定価:680円 219ページ/18cm


【本の内容】
・自戦記=16局
第1局 遊び駒は敗北の原因 二枚落,vs中学一年生(アマ初段) 12p
第2局 将棋の面白さ、難しさ 二枚落,vs上野道場常連(アマ二段) 14p
第3局 勝ってかぶとの緒を締めよ 二枚落,vs奨励会員(四級) 14p
第4局 苦戦の中に光る▲8二歩 飛香落,vs連盟支部(アマ初段) 12p
第5局 さすが「プロの卵」 飛香落,vs奨励会員(一級) 12p
第6局 中盤の駒まとめは、お見事 飛落,vs道場常連(アマ四段) 14p
第7局 上手一流の駒捌き 飛落,vs奨励会員(二段) 12p
第8局 素人と専門家の違い 角落,vsH氏(アマ六段) 14p
第9局 鮮やかな下手の寄せ 角落,vs奨励会員(三段) 12p
第10局 鬼手成功で勝星 vs中原誠名人 12p
第11局 穴熊攻めの妙技 vs塚田正夫九段 12p
第12局 素晴らしい仕掛け▲4五歩 vs米長邦雄八段 12p
第13局 角打ちの秘手 vs熊谷達人八段 12p
第14局 古い指し方にも妙手あり vs北村昌男八段 12p
第15局 乱れ駒をまとめるのが専門家 vs田丸昇五段 12p
第16局 寄せ間違いを注意せよ vs加藤一二三九段 12p

・【エッセイ】わが放浪記=13p

◆内容紹介(まえがきより抜粋)
花村流の将棋は面白いといわれます。花村流の鬼手・妙手が全ての局面に躍動しているからです。(中略)本書では、私の実戦局面をご披露しながら、初歩の方でも十分に妙手が学べるように解説してあります。(中略)駒落ち編では、私が指導する目的を浮き彫りにしながら、勝因・敗因を読者の皆さんといっしょに勉強できるようにしました。平手編では、私の指し手順・心構えなどをよく読み取ってください。(後略)


【レビュー】
花村元司九段の自戦解説。駒落ちが9局、プロ相手の平手が7局。駒落ちは、アマチュア相手の指導将棋と、奨励会員相手のガチンコ勝負。駒落ちの棋譜で、上手が感想を述べたり、プロが解説を添えるのは割とよくあるが、上手自身の自戦記というのは割と珍しい。

花村は“駒落ち名人”として知られ、上手で勝つ極意が分かる。大駒落ち・二枚落ちの上手は厳密には最善手ばかり指すわけではないので、棋譜の質としては微妙だが、「上手の呼吸」という感じが伝わってきて面白かった。


 ・「(二枚落ちで)プロの先生は相手が強いと見れば△5三金型を多く指します」(34p) そうだったのか…
 ・「“二枚落ちは終盤が勝負だからね”といわぬばかりに悠々とした態度でいないと、下手を安心させてしまうのです。」(41p)
 ・「この辺は私の腕の見せ所で、(定跡では)先に指すべき手を後に、後に指すべき手を先にといった調子です」(62p)
 ・「必要以上に上手が読むと、自分の実力で相手の指し手を進めてしまうので、どう指しても上手がよくならない。(中略)相手の実力に応じた指し手を決めて読んでいくことが必要です。」(77p)


平手の方は、妙手・鬼手も多いが悪手・緩手も多いという出入りの激しい将棋で、非常に花村らしい。第10局の対中原戦は、ちょっと前に読んだ『棒銀戦 3度将棋が強くなる』(中原誠,大泉書店,1985)に載っていたものと同じ将棋。見比べてみると両者の見解の違いが面白い。

自戦記集としてはちょっとボリューム不足だが、「上手の駒落ち自戦記」を高めに評価してB。(2005Feb05)



【関連書籍】

[ジャンル] 
駒落ち実戦集
[シリーズ] 
[著者] 
花村元司
[発行年] 
1976年

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