zoom |
将棋─駒落必勝法 | [総合評価] A 難易度:★★★ 図面:見開き4枚 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解説:A 読みやすさ:A 初級〜有段者向き |
||
【著 者】 長口司郎 【監 修】 松田茂役 | ||||
【出版社】 日本文芸社 | ||||
発行:1966年 | ISBN: | |||
定価:350円 | 221ページ/20cm/H.C. |
【本の内容】 | ||||||||||||||||||||||||
|
【レビュー】 |
六枚落から香落までの、駒落ち総合定跡書。三枚落だけは省略されている。 本書では、「じっくり、玉は堅く、駒損しない」が基本スタンスになっている。特に二枚落以下はその傾向が強い。『定跡なんかフッとばせ』(湯川博士,1985)と考え方が似ているが、本書の方がもっと徹底している。たとえば六枚落ちの9筋攻めでは、途中で角を切るのが定跡で、ほとんどの駒落ち定跡書に「角切りがすばらしい好手」と書いてある。しかし本書では、「角を切るな」(29p)と駒損を避ける指し方が紹介されている。また、四枚落と二枚落では、“ツノ銀戦法”という、平手の“風車”に似た戦法が解説されている。 飛香落〜角落編は、わりと一般的な指し方の解説になっている。解説は丁寧でわかりやすいが、多くの人が苦労する飛車落はページが少なく、ややあっさり気味。 あまり他書には載っていない考え方が多く書かれているので、何冊もの定跡書を読んだ方にも新鮮味がある。逆に、本書を駒落ち本の一冊目として読むのは避けた方が良い。ツノ銀戦法は上手が手詰まりになってしまうので嫌われやすく、人によっては相手をしてくれなくなるかもしれないからだ。特に指導対局でいきなり使うのは危険。また、六枚落の9筋攻めでは、十中八九「角を切りなさい」と言われそうだ。考え方そのものは非常に参考になるので、3,4冊目くらいに読むのがいいだろう。そして、「ふーん、こんな指し方もあるんだぁ」と感じればそれで良いかと。(2004Jan26) |