T章 |
特別講演 |
●脳の可能性〔羽生善治〕
対局は暗中模索のなかで進む/局面が進むとともにマイナスの選択肢がふえる/長考しているときの心理状態/大事な棋譜は盤と駒を使って覚える/知識やデータは必ずしも役立たない/知識を得るためのプロセスは役に立つ/まっさらな心境は新しい発想の創出のもと/局面の正確な把握には訓練が必要/新手を考えるより、その対策を探すほうが楽/新しい発見がモチベーションに/先手・後手どちらが優勢か |
20p |
U章 |
脳を知る |
●将棋棋士の直観を脳活動から探る〔中谷裕教〕
棋士の直観/棋士の思考の特徴/なぜ、棋士の直観を調べるのか/将棋を用いて思考の研究を行う利点/研究体制と脳活動の計測/思考をどのように捉えるか/思考の小脳仮説/棋士の直観を脳活動から探る/問一 局面の素早い理解にかかわる時間は/問二 局面を脳のどこで理解しているのか/問三 直観による指し手の案出にかかわる脳部位/問四 読みによる検証と判断にかかわる脳部位/まとめ |
34p |
V章 |
脳を創る |
●経験を積んで直感を養う:コンピュータ将棋と機械学習〔近山隆〕
人工知能研究の流れ/統計的機械学習/コンピュータ将棋プレイヤ/必勝手の探索/ミニ‐マックス探索/コンピュータ将棋プレイヤの勘所/探索の効率化……枝刈り/どこまで読むか/選択深化の手法/静的評価関数/直感の重要性/詰判定にかける時間の制御 /データから学ぶコンピュータ/コンピュータ将棋の(近い)将来 |
26p |
W章 |
脳を守る |
●統合失調症の脳病態と早期介入〔笠井清登〕
精神疾患は一般人口において多い/精神疾患は人生早期に発症/精神疾患の社会的損失は甚大/国家の富は「精神の富」/統合失調症の臨床的な特徴/統合失調症の発症過程/臨床病気の特徴/統合失調症の病態仮説/進行性脳病態仮説の再検討/前駆期の脳病態/早期診断に向けて/まとめ |
28p |
X章 |
脳を育む |
●発達期の神経回路機能の再編成〔鍋倉淳一〕
胎児の発達と行動/行動の発達と神経ネットワーク/活動する配線がかわる/余剰シナプスの除去は神経活動に依存する/余剰回路の除去によってより細かな機能が可能となる/神経細胞間の情報のやりとりがかわる/障害からの回復は発達の繰り返しか/生きた動物で脳回路の変化を見たい/生きた動物の脳の深部構造/ミクログリアによるシナプス監視/障害回復期における機能回路の再編成 |
23p |