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マイナビ将棋文庫SP 将棋・ひと目の決め手 |
[総合評価] B 難易度:★★★ 〜★★★☆ 見開き1問 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 解答の裏透け:B 解説:B 中級〜上級向き |
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【著 者】 渡辺明/監修 | ||||
【出版社】 マイナビ | ||||
発行:2013年8月 | ISBN:978-4-8399-4823-8 | |||
定価:1,155円(5%税込) | 384ページ/16cm |
【本の内容】 |
・次の一手問題=計185問 第1章 初歩クラス=58問 第2章 上級位クラス=67問 第3章 初段クラス=60問 ◆内容紹介 「一手を争う終盤戦。勝利を決める一手があったのに、それを逃してしまって、いい将棋を勝ち切れなかった。そういう経験が皆様にもあるのではないでしょうか」(渡辺明 監修のことばより) 渡辺明竜王全面監修の次の一手問題集完成!! 本書には自玉には少し余裕があるものの、相手玉にもまだ詰みはないという局面での次の一手が出題されています。 そのような局面で求められる一手こそ「決め手」です。 鋭い寄せ、あるいは確実な必至。勝敗の天秤が揺れる混沌とした終盤を、勝利というゴールに一気に導く一手。 本書で決め手を発見する力をつけて、ぜひ実戦で相手を驚かせてください。 |
【レビュー】 |
終盤戦の次の一手問題集。 本書は、週刊将棋に掲載されている「段・級位認定次の一手」から、1984年3月7日号〜1988年12月28日/1989年1月4日合併号の初歩・上級位・初段クラスの問題をまとめたもの。逐一検証はしていないが、時期的には『終盤の定跡(2) 応用編』(週刊将棋編,MYCOM,1989/2003)に収録されたものと重なっているものがあると思われる。 本書の次の一手問題には、以下のような共通の特徴がある。 (1) 先手玉に詰めろがかかっていない。 −「詰めろ逃れの詰めろ」はない。 −ただし、完全なゼット状態とは限らない。渡す駒によっては自玉が詰まされることがある。 (2) 後手玉に詰みはない。 −つまり、渡す駒に注意して必至をかければよい。 (3) 正解手はただ一つ。 なお、相手玉に必至がかかるまでの手数はさまざまで、クラスに関わらず、1手必至〜9手必至くらいまである。また、いわゆる「受けても一手一手」になるものもあり、完全に必至がかかるまでの手数がハッキリしていないものもある。 本書では、問題図での表示項目は以下のようになっている。 ・ヒント=3行 ・制限時間=特になし ・掲載時の正解率=あり (ただし、掲載時は三択だったのであまりあてにならない) ・選択肢=なし (掲載時はヒントなし、三択あり) 上記のように、本書では三択ではなくなっているので、3つのクラスからの出題ながら、問題の難易度はおおむね同程度となっている。 問題の並び順は、週刊将棋掲載時の正解率が高い順(≒易しい順)になっている。掲載時は選択肢(三択)があったので、50%以下なら「やや難しい問題」、33%以下なら「かなり迷いやすい難問」と言っていいだろう。 参考までに、 ・第35問は、正解順の3手目が詰めろでないため、「詰めろの連続で必至をかける」と思い込むと解きづらい。 ・初級クラスでも、必至がかかるまでやや長いものもある。 ・初段クラスは、3手目や5手目の攻守を読む必要がある問題が増えてくる。 各クラスの正解率の低い問題でミスが増える傾向があったものの、正解率20%以下の問題はクリアできており、全体的な難易度は一定の範囲に収まっていると思う。 実戦必至問題集としてはなかなか良質。ある程度必至問題に慣れた方がトレーニングをするのに適している。有段者でも「ひと目」のものばかりではないが、早指しでも急所に目が行くように練習するとよいと思う。(2013Oct04) ※誤字・誤植等(初版第1刷で確認): 第119問 問題図・解答図 ×「1筋で▲1五歩と▲1六歩があって二歩になっている」 ○「▲1六歩を削除」 第163問 ヒント ×「先手玉は角や金をもう一枚詰まされてしまいます」 ○「先手玉は角や金をもう一枚渡すと詰まされてしまいます」 |