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■盤上のパラダイス | < 前 | No.---- | 次 > |
三一将棋シリーズ 盤上のパラダイス 詰将棋マニアのおかしな世界 |
[総合評価] A 難易度:- 内容:(質)A(量)A レイアウト:A 読みやすさ:A 将棋を愛する人に |
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【著 者】 若島正 | ||||
【出版社】 三一書房 | ||||
発行:1988年12月 | ISBN:4-380-88239-X | |||
定価:1,200円(10%税込) | 210ページ/19cm |
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河出文庫 盤上のパラダイス |
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【著 者】 若島正 | ||||
【出版社】 河出書房新社 | ||||
発行:2023年4月 | ISBN:978-4-309-41953-4 | |||
定価:1,089円(10%税込) | 240ページ/cm |
【本の内容】 |
(序)詰将棋とは何か (1)詰パラとの出会い
(2)鶴田主幹 (3)詰パラの歩み (4)詰将棋作家
(5)解答者 (6)検討者 (7)読者 (8)主幹の死 (9)新編集長の誕生 ◆内容紹介(あとがきより抜粋) 『詰将棋パラダイス』という小さな雑誌の存在を、その楽園に集う数千人のマニアたちの存在を、もっと多くの人々に知ってもらいたい──ただそれだけの動機で。この作品は生まれた。 ・誰よりも詰将棋を愛し、誰よりも詰将棋に愛された故鶴田諸兄に本書を捧げる。 ◆内容紹介(文庫版) マニアたちが熱愛する雑誌『詰将棋パラダイス』。創刊編集長の生き様と、そこに集う数奇な人々を活写した愛の物語。解説=芦沢央。 |
【レビュー】 |
詰将棋──。このパズルの存在自体は、将棋を指さない人でもほとんど知っている。新聞の日曜版、スポーツ紙、週刊誌などさまざまなところに詰将棋は載っている。実際に詰将棋本を一冊以上持っている人となると激減するだろうが、社内報の五手詰を解くくらいの人はわたしの周りの“一般人”にも大勢いる。 そして、「詰将棋パラダイス」、略称「詰パラ」。この“詰将棋専門誌”は、一般の知名度はほぼゼロだ。将棋ファンでさえ、知らない人の方が多数だろう。なにせ、書店では売っていない、同人誌扱いの雑誌である。しかし“詰将棋ファン”であれば認知度はほぼ100%。詰パラを定期購読しているとなれば、詰将棋マニア確定だ。 ※週刊将棋の定期購読でも、一般人から見れば将棋マニア確定ですが… ○| ̄|_ 本書は「詰パラをめぐる、詰将棋マニアたちのエピソード集」である。著者の若島正も日本を代表する詰将棋作家であり、詰パラとともに人生を歩んできた一人だ。 詰パラを創ってきたのはどういう人たちか…? 詰パラを読むのはどういう人たちか…? 読者は、そして投稿者はどのような気持ちで詰パラの到着を待つのか…? そんな話が満載である。特に面白かったエピソードは下記の5つ。 ・詰パラの創設者・鶴田諸兄(もろえ) ・スポンサー&解答王・七条兼三 ・奇人(?)詰将棋作家・鳥越九郎(とりこしくろう) ・愛すべき解答者・大谷孫八と三好泰造 ・検討者・(玉)(マルタマ)氏からの「余詰!」 わたしは詰パラを購読していないが、一冊丸ごと面白くて一気に読んでしまった。特に鶴田の話は、将棋ファンなら必読だと思う。わたしは500冊を越える棋書を読んできて、鶴田の名に出会ったのは2〜3度だ。指し将棋の世界では、Webでも雑誌でも鶴田の名を目にすることはほとんどない。しかし、本書を読めば「鶴田氏は歴代名人に匹敵する将棋功労者」であると知る。その鶴田はいまはいないが、詰パラの命脈は確実に引き継がれている。 詰将棋マニアよりも、むしろ一般の将棋ファンに読んでいただきたい一冊。(2006Feb23) ※なお、各章の扉には、詰め上がりが章番号になる曲詰めが掲載されている。 ※本書のカバー裏にある近刊の紹介で「流行戦法グラフティ」というのがあるのだが、どうなってしまったのだろう…? |