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ジャンプコミックス ふたりの太星 全3巻 |
[総合評価] (1巻時点) B? (最終評価) D 絵:A ストーリー:B? →C 構成:B? →C キャラ:A? →B- |
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【著 者】 福田健太郎 | ||||
【出版社】 集英社 | ||||
発行:2019年9月〜2020年1月 | ISBN: | |||
定価:475円(8%税込) | 192ページ/cm |
【本の内容】 |
『ふたりの太星』公式サイト(第1話の試し読みあり) 〔1巻〕 (1)太陽と星 (2)What's your name? (3)School of Rock (4)フガ (5)負けた気持ち (6)頼んだわけじゃない (7)自分の名前 ・巻末=another story 孤独の十三 ◆内容紹介 〔1巻〕 天才棋士・天童太星は昼は品行方正な“太”、夜は自由奔放な“星”となる二重人格を持つ。プロ試験を受ける太は対局の最中、突如星に変わってしまい!? 交われぬ運命の2人の天才──太と星の将棋物語の幕が開く!! 〔2巻〕 星と和泉は互いの人生を盤面でぶつけ合う。白熱した対局を制するのは!? 一方、星の前に現れた“天童世代”の4人の棋士。太を目標に実力をつけた彼らに己の将棋を否定された星は本気を見せられるか…!? 〔3巻〕 天童世代最後の一人・堂々巡と対局をすることになった星。しかし、堂々の思いもよらぬ行動によって事態は意外な局面を迎える!そしてプロ棋士をかけた最終戦へ!太と星が歩んできた将棋譚、ここに完結! |
【レビュー】 |
二重人格の天才少年を描いた将棋マンガ。 〔あらすじ〕 中学生棋士を目指す天才少年・天童太星は、実は二重人格。 〔主な登場人物〕 [天童太星(てんどう・たいせい)] ・14歳、♂。美少年。 ・奨励会で三段リーグまで負けなし。中学生棋士を目指している。 ・母親は「スナック 太陽と星」のオーナーママ。店は自宅兼用。 ・幼い頃から完全な二重人格で、昼の「太」と夜の「星」に分かれている。 ・突然豹変する訳ではなく、人格交替前にいったん眠りに落ちるようだ。 ・互いに記憶のやり取りはないが、太と星で「交換日記」を付けており、互いの存在は知っていて、情報は交換されている。 ・4歳から5年間、太と星で1手ずつ将棋を指していた。戦績は星の29戦全勝。 ・二重人格であることは、本人・母親・奏しか知らないようだ。 [太(たい)] ・太星の昼の人格。 ・太のときは、前髪が下りている。 ・性格は品行方正。多くの女子生徒から羨望のまなざしを受けている。モテオーラ全開。 ・星には将棋で1回も勝てていないが、9歳で小学生名人戦で優勝し、奨励会では三段まで無敗。(※ストーリーより推定) [星(せい)] ・太星の夜の人格。 ・星のときは、前髪が跳ね上がっている。 ・性格は破天荒で飽きっぽいが、正義感が強く、人気者。ただしモテオーラはない。 ・将棋は圧倒的に強かったが、昼の世界で指す場所はないと気づき(?)、太に将棋の道を譲り、自身は将棋を辞めた。 ・以来、さまざまなことに手を出したが、長続きしない。 ・やっぱり本当は将棋を指したかった? [春川奏(はるかわ・かなで)] ・太星の幼なじみで、同級生。 ・ロングヘアの美少女。髪色は少し明るめ。 ・自宅は「春川ピアノ」(店)。本人も子供にピアノを教えられるくらいの腕前はありそう。 ・自宅は隣同士で、2Fの窓から互いに出入り可能。 ・太星の二重人格を誰よりも早く理解していた。それぞれを別人格として尊重しており、「太ちゃん」「星ちゃん」と呼び分けている。 〔寸評〕 ・タイトルの「ふたりの太星」は、「太」と「星」の二人で「天童太星」を共有している、ということらしい。 (読む前は、「“太星”という人物が二人いる」ということなのかと思っていました。もしかしたら、ダブルミーニングもあり得るかも?) ・奏の家に「たまたま」あった将棋盤がすごい豪華。脚付き四寸盤くらい?親は何者? ・現実の奨励会と少し異なる描写・設定がある。 −「奨励会の対局で負けなし」のことを「公式戦無敗」(奨励会の対局は「公式戦」ではない) −「三段リーグ」のことを「プロ試験」と称している −三段リーグの対局が週1回で1局ずつ(実際は月2回、三段リーグは1回に2局ずつ) ただし、これらは、作者が一般読者(将棋通ではない)への分かりやすさを重視して、意図してやっていることと思われるので、OK。 ・対局相手が、普通人と超変態が交互に来る…。 〔総評〕 美麗な絵と、2つの人格で1つのカラダを共有していく展開は、あの『ヒカルの碁』を髣髴とさせます。 「自分の中にもしかしたらもう一つの人格がいるのでは…?」というのは、実際にはほとんどないながらも、多くの人が感じたことはある感覚なので、第1話時点(第1巻の約1/3)では、非常に好感度が高かったです。 と思ったら、第2話から、常軌を逸した変人が登場し、しかもストーリーの重要部分を占めるので、共感性がガクッと下がる一方で、「え、え、この話ってどうなっちゃうの…?」という不安感を抱えたスリルがある(?)展開になっています。 『ヒカルの碁』では、塔矢アキラという超人気ライバルの存在が大きかったと思いますが、本作では1巻時点でライバルといえるキャラは出てきていません。あえて言えば、太と星の二人が、仲間であり、同志であり、ライバルだということでしょうか。 いろんな意味で目が離せない作品となりそうです。 (2020Jan17追記) ※完結3巻を読んだ後 2巻からつまらなくなりました。orz 登場キャラが超変人なだけでなく、行動も意味不明で、応援したいキャラ・共感できるキャラがゼロでした。作者は羽賀十三(「常軌を逸した変人・1人目」)を随分と気に入っていたようですが(主人公たちが霞むほど)、こういうのはファンタジーものでやってください。 奨励会のルールがでたらめなのも気になります。プレーオフとかないですし。「分かりやすさ重視で、あえて」というのは理解はできますが、こういうのだったら「裏・奨励会」とかにしたほうがいいんじゃないでしょうか。 『月下の棋士』の劣化版、という印象です。 |