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このページの盤面図は、柿木義一氏作の将棋棋譜管理シリーズのKifu for Windowsを用いて作成しています。
同氏作のK-Viewを用いると、さらに見やすくなります。どちらもここからゲットできます→柿木氏のHP


音無U(音無三間)
〜右四間見せ陽動三間飛車〜


1.音無U(音無三間)とはなんぞや?
2.音無Uの基本的な組み手順
3.音無U 実戦譜



1.音無U(音無三間)とはなんぞや?

先手音無の場合、相手が矢倉模様に来ることがあります。▲2六歩△3四歩▲4八銀△4二銀。△の作戦は矢倉以外にも雁木、中飛車、三間飛車、向飛車が考えられます。四間飛車に対しては思い切り主導権を握れる音無ですが、これらの戦法には模様が取りにくく、角道を開けて通常形に戻ることが従来の対策でした。

△4二銀の時点で四間飛車はない。しかし何とか音無の出だしを生かして主導権を握りたい。そうでなければ、音無は不完全な戦法で終わってしまう。ずっとそう考えていました。

矢倉・雁木・中飛車などに有効な作戦はないか。ありました、右四間飛車です。相手が受けを失念すれば、あまりにも破壊力抜群な戦法、それが右四間飛車です。ただし、相手の受けが完璧ならば、右四間ではなかなか潰せない場合もあります。しかしそれは裏を返せば、相手が受けに偏っているともいえます。ならば、それらの受け駒を無効にしてしまえれば儲けものです。

本戦法【音無U】は、右四間による一気の攻めを狙いながら(もちろん成立するときは仕掛けます)盤上全体での作戦勝ちを狙います。これは音無(T)の、飛車先交換を狙いながら玉を固めて作戦勝ちを狙う、その精神とも一致しています。とくに飛車先不突き矢倉と雁木には有効だと思います。音無(T)は藤川さんの創案ですが、音無UはRocky-and-Hopperのオリジナル戦法です。機会があったら試してみてください。(*^-^*)






2.音無Uの基本的な組み手順

以下は音無Uの基本手順。(太字はほぼ絶対手順)
相手が四間飛車以外で、飛車先を突いてこないときに有効。
(対 矢倉/雁木。対 三間/中飛車にはそのまま右四間を使う)


先手番の場合、初形から、
▲2六歩▲4八銀▲7六歩▲4六歩(A図)
▲4七銀▲3六銀▲3七桂(B図)
▲7八飛(C図)
A.初期図
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀 ・v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・ 歩 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=7  ▲4六歩  まで

相手が四間飛車じゃないのなら、5六歩と7八銀は無用。

B.途中図
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩v金v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩  桂 ・ 歩|七
| ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=14  ▽4三金右  まで

この態勢で右四間を見せる。相手の受けに遅れがあればそのまま右四間で攻めていい。4七銀の待機がポイント。

C.基本形
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v金v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 銀 桂 ・ ・|七
| ・ 角 飛-←-←-←-←-・ ・|八
| 香 桂 銀 金 玉 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし
手数=17  ▲7八飛  まで

相手が受けに偏ってきた場合、えいっと飛車を振る。
例えば上図では、矢倉がバカになっている。角も使いにくくて、玉を囲いづらい。矢倉に入城したとしても、藤井システムばりの玉頭攻めもある。

D.発展理想形
後手の持駒:なし
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v玉 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v角v金 ・ ・|二
| ・ ・v歩v歩 ・v金v銀v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v銀v歩v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 ・ ・ 歩 歩 歩 歩|六
| 角 歩 桂 歩 歩 銀 桂 ・ ・|七
| ・ ・ ・ 銀 金 ・ 玉 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手の持駒:なし

石田を目指す。右四間を見せたため、相手の右金が棒金に使えなくなっているのもポイント。模様によっては自陣は美濃に戻す。相手は攻めにも自陣の整備にも苦労する。




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